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【漫才】トナラー

作者: 結城トウジ
掲載日:2026/07/07

二人「はい、どうも~」


ボケ「トナラーって言葉、聞いたことあります?」


ツッコミ「あ~、駐車場空いてんのに隣に駐車してくるやつでしょ」


ボケ「いや、君には聞いてないんだよ」


ツッコミ「俺に聞け! 誰に聞いてんだよじゃあ」


ボケ「そこの、舞台の袖に立ってるマネージャー」


ツッコミ「俺に聞けよ! なんだマネージャーって、せめてお客さんにしろよ」


ボケ「トナラーって言葉、聞いたことある?」


ツッコミ「だからあるって! 二度手間すんな。さっき言ったろ、駐車場で隣に駐車してくるやつでしょ」


ボケ「僕に言わせれば、駐車場で隣に駐車してくる人なんてトナラーの中でも普通クラスですから。飛行機でいえばエコノミークラスってとこですよ」


ツッコミ「なんだエコノミークラスって。じゃあお前はファーストクラスとか言うつもりか」


ボケ「そのとおり。ファーストクラスのトナラーです」


ツッコミ「なんかかっこつけてるけど別にかっこよくないからね? トナラーって」


ボケ「ファーストクラスになると、隣に駐車しませんから」


ツッコミ「えっ、じゃあどうすんだよ。どこに駐車すんの?」


ボケ「助手席に座ってますから」


ツッコミ「怖ぇな! なんで見ず知らずの人の助手席座ってんだよ! 事件だろもう」


ボケ「ファーストクラスですから」


ツッコミ「いやファーストクラスかなんか知らねぇけど、他人の車に乗り込んでくんな」


ボケ「たとえば、映画館でめちゃくちゃ空いてるのにわざわざ隣に座ってくる人いるでしょ」


ツッコミ「いるなぁ。えっ、ファーストクラスになるとどうなんの?」


ボケ「おんなじ席に座りますから」


ツッコミ「隣行け! 無理やり同じ席座ろうとすんな! 邪魔くせぇ」


ボケ「だってファーストクラスの席ですから!」


ツッコミ「ファーストクラスうるせぇな! 一つの席を二人で座ろうとすんな。エコノミー以下だろその席」


ボケ「男ならわかると思うけど、トイレで小便器たくさん空いてるのに隣に来る人いるでしょ」


ツッコミ「……同じ小便器使うのか!? 気持ち悪ぃな! 隣でやれって!」


ボケ「まだなにも言ってないでしょ! 勝手に話進めないで! そんな同じ小便器使ったりするわけないでしょ! 『なにやってるんだお前!』ってなるじゃん!」


ツッコミ「じゃあなんだよ。ファーストクラスのトナラーはどうすんだよ」


ボケ「おんなじ個室使いますから」


ツッコミ「一緒じゃねぇか! 人が入ってるとこに無理やり入ってくんな! 『なにやってんだお前!』って言われるだろ! なんで個室なら言われないと思ってんの? 隣っていう概念飛び越えてくんなお前は」


ケ「たとえば、子供の入学式。看板の前で親と一緒に写真撮ったりするでしょ。そういうときにも隣にいますから」


ツッコミ「邪魔すんな! なに他人の子供の写真に写り込もうとしてんだよ! 空気読むってことしろ!」


ボケ「そんな、僕だってさすがに子供や親の隣にいたりしないよ。それくらい空気読めますよ」


ツッコミ「じゃあどこにいんだよ」


ボケ「だから看板の前ですね」


ツッコミ「どけそこ! 全然空気読めてねぇじゃねぇか! なにがそれくらい空気読めますよだよ」


ボケ「あとはほら、ラーメン屋さんによくあるじゃん、腕組んでズラーッと並んでる写真。あれ撮るときにも隣にいますから」


ツッコミ「だから邪魔すんなって! なに無関係のお店の写真に写り込もうとしてんだよ!」


ボケ「ちゃんと空気読んでみんなと同じバンダナとか服装とかしてますから!」


ツッコミ「だからって無関係のお前が写ろうとすんな! あんな奴いたっけってなるだろ」


ボケ「腕は組まないですけど」


ツッコミ「腕組めよ! なんでお前一人だけ棒立ち状態だよ! あきらかに浮くだろ!」


ボケ「だって腕組んだらいかにもそのお店の店員さんみたいに見られちゃうじゃん」


ツッコミ「だったら最初から混じろうとすんな! なにがしたいんだよお前は」


ボケ「たとえば、芸能人が不倫で謝罪会見するとき。ああいうときにも隣にいたりしますから」


ツッコミ「お前誰だよ! 無関係のお前が隣で映ろうとすんな! 記者も戸惑うわ、なんでこの人隣にいるんだろって」


ボケ「ちゃんと空気読んで一緒に謝りますから!」


ツッコミ「余計おかしいだろ! なんかお前と不倫したみたいに映るじゃねぇか! そこは棒立ちでいろよ! 全部外してんだよな、空気読むとこ」


ボケ「ファーストクラスのトナラーですから」


ツッコミ「だいたい、なんでいちいち隣にきたがるわけ? 空いてるんだったら好きなとこ行けばいいじゃん」


ボケ「うん、だから好きなところ行くと、それが他人の隣なわけ」


ツッコミ「あぁ、そうなの。でも普通の人はそれ嫌がるんだよ。パーソナルスペースってのもあるし」


ボケ「あっ、じゃあ君もトナラーってこと?」


ツッコミ「なんでだよ。俺はトナラーじゃねぇよ」


ボケ「だって嫌がってないじゃん、今」


ツッコミ「えっ? いや、今はいいんだって! おかしいだろ、漫才だっていってんのに二人が遠く離れてたら!」


ボケ「ビジネスクラスのトナラーってことね」


ツッコミ「だからトナラーじゃねぇっつの! いいかげんにしろ」


二人「どうも、ありがとうございました~」


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