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第1話 どうかあなたが幸せでありますように。

 ガイア。迷子の賢者さまは幽霊のいる霧深い森の中。


 どうかあなたが幸せでありますように。


 清らかで霧の深い森の中。そこには大きな石の石板と古い立派な剣があった。

 石板は大地の上にある石の台座の上に立っていて、その石板に寄りかかるようにして古い立派な剣は鞘におさまったままで、置いてあった。

 とても長い年月が過ぎているようで、石板には緑色の苔が生えていて、古い立派な剣は黄緑色の草の蔓が石板と一緒にくるくると絡まっていた。(その草の蔓のおかげで、剣は倒れることなく、ずっと石板に寄り添うようにして立っていた)

 石板には文字が貼られているのだけど、その文字はどうやら古代文字のようで、私には読むことができなかった。(かなり古い文字のみたいだった。おそらくは古の王家の文字だと思う。たぶんだけど)

 石板のところには、かすかに森の木々の隙間から日の光が差し込んでいる。

 私はその場所に立ってしばらくの間、ずっとその大きな石板と古い立派な剣を見ていた。

 やがてしゃがみ込んで、じっと石板を見ていると、ふとこの大きな石板はもしかして石板ではなくて『誰かの(きっとこの古い立派な剣の持ち主の)お墓』なのではないのかと思った。(その予感は当たっているように思えた)

 私はそう思う瞬間まで、古い立派な剣にふれて、その剣を抜いてみようと思ったのだけど、(実際に手を伸ばしていた)その大きな石板がお墓かもしれないと思って、(手を引っ込めて)古い立派な剣にふれて剣を抜いてみることをやめることにした。

 私は立ち上がってぐるりと森の中を見渡してみた。

 とても美しい森だった。

 清らかで、怖い動物たちにも今のところ会うこともなくて、(その気配もどこにもなかった)美しい花が咲いていて、なんだかとても神聖な感じがした。(聖地と呼ばれるようなところみたいだと思った)

 ざっ、と小さな足音が聞こえたのはそんなときだった。

 私はびっくりしてすぐに足音がしたほうに目を向けた。

 すると少しして深い霧の中から一人の白いローブを着ていて、ローブについている白いフードを深くかぶっている金色の三つ編みの髪をした(白い花の髪留めをしていた)美しい少女があらわれた。

 その美しい少女は私を見て、にっこりと微笑むと、まるで小さな子供みたいに、とことこと早歩きをして私の前までやってきた。

「よかった。やっと誰かに会うことができました。あの、えっと、私はガイアと言います。よろしくお願いします」

 とにっこりと笑って、とっても可愛らしい声でガイアは言った。

 私はガイアの着ている白いローブが『賢者の証』(それもかなり高位の、世界に数人といないくらいの)であるとわかったので、警戒することをやめると「私こそよかったです。ずっと誰かを探していたんです。『私を救ってくれる誰かを』。実はこの森の中で迷子になってしまって、ずっと、とても長い間、森から出ることができなくなってとっても困っていたんです。私を救ってください。賢者さま」

 と私は両方の手を合わせてしゃがみ込んで、祈るようにして、ガイアに言った。

 するとガイアは「まあ。それは偶然ですね。実は私もおんなじなんです。『迷子のお姫さまの幽霊』さん」と大きな青色の瞳を丸くして、嬉しそうな声でくすくすと笑いながら私の合わせた手をそっと両手で包み込むようにしてふれて、そう言った。(ガイアの小さな手はとっても冷たくてひんやりとしていた)

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