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篠崎かおりさんの日常(2)解説編

 篠崎かおり(20)/ヒロインネーム(以下hn):シルバーコメット(?)


 本編の主人公つかどっちかっつーとマスコット的存在。小柄で童顔、たまーに中学生に間違えられたりする彼女だが、オフィスではくるくるよく動きよく働く優秀社員。手際良い資料整理、はきはきした電話の受け答え、タイミング・温度・味ともに完璧のお茶出しと、新人ながらいずれもすでに熟練者さながら。

 非のうちどころの無いOLである……彼女の配属先が総務でなかったら。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……()()()()

 この時代、職場に紛れ込んできた宇宙人を退治するのは、どこの会社でも大抵総務もしくは庶務の仕事。ところがかおりちゃん宇宙人(つか運動一般)が大の苦手。二十年の生涯で宇宙人撃破数なんとゼロ(※注1)、出撃の度に壁に激突、自ら彫った人の形の窪みにハマってピクピクしている姿はもはや近藤商事の名物。よその部署の社員からは完璧に「アホの子」と思われているのが実に悲しい。

「アホの子」じゃないぞ!「ドジな子」だもん!

 スーパーヒロインとしての彼女の能力は「高速移動」と「巨大化」。

 ……あとのやつもすげー問題なのだが、説明がややこしくなるのでとりあえずおいとく(※注2)として、見るからに運動センス0の彼女がなぜ「高速」を選択したのか?事実この能力が災いして上記のような無惨な結果になっているというのに?!

 その理由は彼女の趣味にある。常軌を完全に逸した「靴」マニアなのだ!

 ひとり暮らしの彼女のマンションは玄関の広さが約6畳、広大なそのスペースを埋めつくすパンプス、ハイヒール、ブーツ、駒下駄、サンダル、紳士靴、子供靴(キュポキュポ鳴らして遊ぶ!)、ゴム長(花瓶!)、地下足袋(植木鉢!)などなど、雑然としているように見えて、実はどれもが彼女の厳選による一級品。

 そろそろ賢明なあなたにはお分かりだろう。

 彼女が「高速」ヒロインになった理由、それは!

「変身ブーツは高速タイプが一番履きやすくて快適でかっこよくて可愛いからでーす」(本人談)

 速く走れるかどうかなんて、彼女にとっては問題じゃない。高速戦闘用変身ブーツだけどな(※注3)!

 でもというべきか、当然というべきか、御自慢の高速ブーツは超高級品、フルセパレート式ってのは違いのわかるプロ仕様。両足分でお代はなんと総額128万円は、なんとF1ランレーサー(※注4)並み!

 あれ、びっくりする前に色々おかしいぞ?就職したばっかでどうしてそんなにお金持ちなの?6畳の玄関って広過ぎじゃね?……ってかそれ自分の持ち家なの?!

 運動がだめでも頭が良くて手先の器用な彼女は、ハウスメイドのオーダーシューズ職人さん、かつ一流のシューフィッター。1足5万円セミオーダーから受けてる注文が、半年先まで予約でいっぱいというからその腕前は知れようもの(※注5)。

 ……おいおい、だったらどうしてOLになったんだ!

「靴はあくまで趣味ですから。仕事にしちゃったらワクワクできません」(本人談)

 そのセリフなかなか言えねえぜ……

 ちなみにみんな誤解しているが、「シルバーコメット」は実は先程紹介した御自慢ブーツの名前。免許(※注6)に記載されたかおりの本当のhnは「変身かおりちゃん」。

 書けば書く程、実はこの時代レベルでも「普通のOL」から遠ざかっていくような……でも、カワイイから許して!


 解説コーナー(かおり編):担当 一ノ瀬良子


「はじめまして、近藤商事秘書課の一ノ瀬と申します。『作者さん』が『本編』をきちんと書く気がないらしいので、せめてみんなに出番を、と思い、解説を作中人物一同交代ですることになりましたの。

 わたくし自身の紹介もどなたかが後ほどしてくださいますので、この場は以上で。

 では、篠崎さんのプロフィールで、皆さんに分かりにくそうなところを順に御説明いたしますわね」


解説1:

 生まれて初めて宇宙人を倒すことを通称「お初」といいます。ただこの世界には変身さえしていればキリギリス並みに弱い宇宙人も山程おりますので、大抵の方は「お初」を小学校卒業までには済ませているものなんですけれど……


解説2:

 うーん、問題ですわね「巨大化」。この時代、大怪獣は大型戦闘ロボットで倒すのが主流で、「巨大化」はほとんど使われないマイナー能力なんですのよ。ホントにどうしてこんな免許取ったんでしょう?

 実は……言ってしまっていいのかしら?……小柄な彼女は足のサイズが23cm、コレクションの一部である「紳士靴」をきちんと履いてみたかったからだとか。

 頭のいい筈の篠崎さんもこの時はちょっとうっかりなさっていたようですわね。変身していないと巨大化できないし、変身中は変身ブーツを脱ぐことはできませんの。

 つまり巨大化して大きな靴を履く、というのはそもそも不可能なんです……

 ちなみに篠崎さんの巨大化免許は2級(最大40mまで)。

 どこまで巨大化可能なのかは「体質」次第。そう、そもそも「巨大化」は「先天的な体質」に100%依存する変わった技能で、訓練の必要が無く訓練する余地も無い。つまり取れない人には絶対取れない免許!

「試験官さんが一生懸命勧めてくださって。せっかくだからって。それで、ギリギリまで取ってみたんです」とか。

 それにしても「最大40m」……それは流石に無駄すぎかと……

 そして、「巨大化」はそういう特殊な能力ですから、他の装備品との併用はできませんの。つまり篠崎さんは巨大化用にもう一着、それ専用のスーツを持っている筈なんですが、誰にも見せてくれません。

 その……「ひたすら格好悪い」という一般の噂は聞いておりますわ……

 等身大から身長40mまで伸び縮みする素材なんてこの時代でも存在しませんから、等身大の状態では極限まで折り畳んで、雪だるまの着グルミ状態。そして当然素材は超々極薄……だから巨大化すると……全身の体のラインが細部までくっきり……身長40mサイズで!

 確かに。女性としてはどちらも、人に見せられる姿ではございませんわね……


解説3:

 このブーツを篠崎さんがどんなときに使うのか、聞いてみたことありますのよ。

「お天気の日に公園でお散歩したり、ウインドゥショッピングとか、あとはなんと言ってもお風呂タイム!」

 その……ことのほか嬉しそうにお話されるので、何も言えなくて……

 あ!篠崎さんが誤解されるといけませんから、御説明いたしますけれど、現代のわたくしたちにとって、「変身スーツ」と「普段着」はかけ離れたものではございませんのよ。外で何でもないときに変身して歩いても、そこはそんなにおかしい事ではない。むしろ日常茶飯事と言ってよろしいかと。なにしろ便利ですし。

 そうですわね……

 これからちょっと、というより大幅にかおりさん自身から離れたお話をいたしますが、ぜひ、おつきあい下さい。個人個人の紹介という体裁をとっておりますけれど、作者さんとしてはそういう「個々的なライフスタイルを通じて、仮想未来社会のありかたを透かしてみたい」らしいんですの。ですから、わたくしがこれから申し上げるようなお話の方が、むしろ本筋なのかも知れませんの。今後わたくし以外の方も、必要に応じて、紹介されている方と関係ない「未来よもやま話」をいろいろなさるはず。御承知くださいませ。

 というわけで。「日常における変身スーツの使い方」とでも申し上げればよろしいのかしら?これをざっと御説明いたしますわね。

 まずは「作業着」として。もともと対宇宙人用戦闘兵器として開発された変身スーツには、着ている人間の筋力を増幅する機能がついていますから。力仕事が当然楽にこなせます。そして、完全気密・完全防水・高度耐熱耐寒耐酸耐アルカリ等の性能を備えていて、つまり、変身スーツは極めて汚れにくい服。「作業着」にはうってつけなんです。

 建設・土木・工場作業員等々のいわゆる「ブルーカラー」の方々は仕事中普通は変身してますし、当然会社が「制服」として変身スーツを支給してくれます。

 一般の主婦の方とかでも、「お部屋の模様替え」とか「庭いじり」・「引っ越し」などにはとても便利。

 あと、この範疇になりますかしら?日常で最もよくある使い途、「雨具として使う」。急な大雨でも慌てる方はほとんどいらっしゃらない、お布団を干したりしていなければね。「雨・即・変身」、だから現代では「傘」も「雨ガッパ」もほとんど生産されていませんのよ。昔話に聞くだけの懐かしいアイテム……古い時代背景のお芝居などで、小道具に使われるくらいでしょうか?今では作れる方がとても少なくて、貴重品なんですの。

 もちろんわたくしも、生まれてこの方使ったことがございません、傘。

 続いて「スポーツウェア」として。

 まず、「登山」「スキー」「海水浴」。アウトドアスポーツにつきものの難点「遭難事故」から命を救ってくれます。もちろん生身でないとスポーツにはなりませんけれど、たとえば「雪崩・即・変身」は冬山の常識。海でも、ライフセーバーさんなどの負担は昔よりずっと軽い。「こむらがえり・即・変身」、これだけでも命にかかわる事故は随分減りましたわね。

「球技」。「変身野球」・「変身サッカー」・「変身バレー」!生身で普通にプレーするのと並行して、どれも普通に行われておりますのよ。変身してプレーする理由はいろいろです。メンバー間のハンディキャップの解消というのが一つ。男女差、年齢差、そして身障者と健常者のハンデを埋めることも、スーツの出力性能や可動性の調節で自由自在ですから。幅広いメンバーを募ることが出来て、サークル活動が活発になります。もう一つは、もちろん!変身スーツのパワーを使って豪快に楽しむ、ですわね。野球のピッチングでも、素人さんでも時速300kmなんて当たり前、それを打ち返した打球がどんなものか!押して知るべしでしょう?

(唐突に『作者さん』登場……今後もこういうことありますんでよろしく!)

作「あの~、一ノ瀬さん?時速300kmのボールを打ち返すのは変身してても無理じゃないかな?反射神経がついていかないと思うけど?」

 ええ?いまさらあなた、何をおっしゃいますの?この「台本」にそう書いてあるじゃ……

 あ!ご、ごめんくださいませ、うちわのもめ事で失礼いたしました……

(コホン)それから!「武道・格闘技」なども。もちろん、きちんと生身で戦うのが、この時代でも本式。ただ、練習のときは。「初心者」や「年少者」の事故防止ですとか、「男女混合戦」「ハンデ戦」などにとても便利かと。

 こういう「急所を保護して安全に戦い方の基礎を学ぶ」のと反対に、「急所の位置だけ防御力を低下させて行う組み手」なども。きちんと急所にヒットさせなければ、相手はいつまでたっても倒れてくれませんから、結果として技の精度が上がりますでしょう?などなど……わたくしの知る限りでは、伝統のよほど古い流派でも、熱心な指導者ほど練習の場でスーツを上手に使っていらっしゃいますわね。

 あとは例えば……「プロレス」!変身時代でも健在ですのよ。普通に生身で試合を始めて、そして「凶器=変身」&「場外乱闘・即・変身」!観客も通路際&リングサイドの時は当然変身、これなら選手も場外で安心して暴れられます。ついうっかりお客さまにパイプイスが当たってしまっても、大事になるようなことはほとんどございません!むしろ、熱心なファンはひいきのレスラーに「殴られに行く」ものだときいておりますわ。

 とまぁ、こんな感じで。プロ・アマ・趣味レベル、プレイ中・観戦中を問わず、スポーツの際に変身しているのは珍しいことではありませんの。

 次に、もう少し本来の用途に近いところで、「身を守る」!宇宙人から身を守るのは当然として、その他、日常のあらゆるアクシデントから身を守ってくれます。

 交通事故、火事、その他もろもろ。とくに幼児やお年寄のようないわゆる交通弱者は「通行中常時変身」していてもなんらおかしくありません。警察や自治体や教育関係者、福祉団体など、関連団体も常時変身を奨励しております。妊婦さんとかも。大体三ヶ月くらいから皆さん「マタニティ変身スーツ」をあつらえますの。赤ちゃんと母体をしっかり守ってくれます。大きなおなかになっているのに変身していないのはむしろ非常識、お医者様に注意されますし、旦那様にも叱られてしまいます。

 あとそう、体の具合が悪いのにどうしても外出しなければいけないときも欠かせませんわ。「風邪ひき・即・変身」。体力が弱った状態で動くのは辛いものですけれど、スーツが労力を軽減してくれますし、そういう時は頭がぼうっとして注意力が散漫になっていますからね。危機管理には変身が一番。

 そして見逃せない用途がもう一つ。変身それ自体を「楽しむ」!

「変身スーツ」はすでにファッションの一部なんですの。デザインの美しさや格好良さを楽しんで、着飾って。そうゆうスーツが、今申し上げたような実用の地味なものとは別に、高級百貨店とかおしゃれなブティックとかでマネキン人形に着せてあったりするんです。「体形補正機能」とか、「体脂肪計測」とか「今食べたもののカロリー計算」とか、女性にうれしい機能もいろいろ付いていますし。

 そして、「ファッション」ですから!もちろん「外で着て歩く」。

「ペアルックスーツでデート」とか、若い方はよくおやりになってますし、年配の方がそれを見て、びっくりしたりめくじら立てるような時代でもありませんの、今は。

 そう。こうして見てくると篠崎さんの場合は、この「ファッション派」と言えるのかと。

 ただ……「お風呂タイム」?これだけは……ああ、言ってあげたほうが親切だったのかしら?

 変身スーツは完全防水が基本、お風呂に入ったことにならない。それとも「サウナ」なのかしら?いずれにしても……「変身してお風呂」は、想像するだにへんてこ過ぎる光景、この時代でも!にこにこしながら人に言いふらすのはあまり……


解説4:

 変身スーツはハイテクの固まり、動力系、制御系、支持系などたくさんの役割を受け持つたくさんの部品で作られています。でも、一般の人がそれを意識することはほとんどありませんわね。普通の人が普通の宇宙人と戦うならメーカーさんが「オールインワン」で作ったもので充分。パーツごとに性能や相性を考えながら自分で組み合わせてつくる「フルセパレート」は、今では大抵の宇宙人相手にはオーバースペックですし、調整もデリケートで。

 この時代でも特殊な職業の人が特殊な用途につかうための高級品です。

「ランレーシング」は自動車のかわりに変身スーツで変身して足で走るスピード競技、「ランレーサー」はもちろんその選手のこと。特殊な職業ですわね。

 スポーツのところで説明しきれませんでしたけれど、今はこういう「変身することそのものを前提にした競技」もたくさんございますの。

 超耐圧変身スーツで、深海4ケタmに挑む「ディープダイビング」ですとか。

 雪山の頂上にダイナマイトを仕掛けて、変身スノーボードで雪崩を乗り切る「ダイナミック・ボード」ですとか。

 もちろんこの種の競技は、現代でも危険な競技なんです。スーツ無しでは生存確率0の状況に身を置いているわけですし、かといって、「防御性能」を重視すると、えてして成績は落ちる。ギリギリまで調整して(調整するのも競技の一部です)、そして、完璧に調整できたとしても!人間の作ったものに故障0はありえないし、そもそも故障しやすい限界状況下に身を置いているんですから。「ランレーシング」でも、実は毎年何人もの選手が死傷事故を起しています。カーブで減速しきれずフェンスに激突、たいていの事故から身を守ってくれるはずの変身スーツが、この場合は何の役にも……より速いスピードを出すために、防御性能を極端に落としていますから……

「ランレーサー」。今も昔もレーサーは同じ。「スピ-ド」のみに自分の全てを賭けていらっしゃる方々!

 と、まぁ?本来はそういう人達の持ち物なのですけれど、「フルセパレート」ブーツなどというものは……


解説5:

「婦人物の革靴」専業で、フルオーダーなら10万円から。決して高くはございませんのよ、製品見本を見せていただきましたけれど、デザインも品質も、あれほどの物は見たことがございません。「好きこそものの上手なれ」ということかと。でもあれでどうして「趣味」の範疇なんでしょう?それだけがどうも……

 ブランド名は「シュー・マイスター・かおり」。ごく普通です。ただその、ロゴマークが……「星印の中に焼売」……

「マークのメタルパーツはスナップ釦式で取り外し可能です。そういうふうにして欲しいってお客様の御希望が多くて。なんででしょう?」とのこと……気づいていらっしゃいませんのね……

 でも、篠崎さんはこのマークが大のお気に入りで、ブーツはもちろん、スーツ本体のあちこちに付けてあったり書いてあったり。

 そうそう、「シルバーコメット・スーツ」のデザイン、簡単にご説明しますわね。本当は、イラストなどあるといいんですけれど。

「シルバー」ですから、基調のカラーは当然銀色。ただし、つるつるメタリックではなくて、シルキータッチというか、レオタードの生地の様な感じを思い浮かべていただければよろしいかと。

 体の脇に、パステルピンクとパステルグリーンのストライプ。

 そしてあのブランドマークがストライプと同じ二色で全身にちりばめてあります。パジャマの柄みたいですわね。

 肩アーマー、肘・膝ガード、真ん丸のヘルメットの透明バイザーが例のマークの形。

 ちょっと少女趣味?でも、よくお似合いですのよ。もちろん、全部ブーツのデザインにあわせたとか。

 スーツ本体の製造メーカーは医療器具メーカーの「ウムロン」社製です。パワー出力は並、でも、実は見かけと違って、防御力・耐久力は最高レベル!ここだけの話……あんなに丈夫なスーツは「法律違反」なんです。

 というか!嫌ですわね、気の利かない法律!だって、篠崎さんには「絶対に必要な性能」ではございませんこと?

 変身スーツの性能についての法規制。たいへんやかましい割には「根本的な不備」が……

 いえ!これはわたくしから申し上げるのは敢えてやめますわ。きりが無くなってしまいそう。適任ではございませんの、()()()()()()()()だけに。お話を戻しましょう。

 もちろん、篠崎さんは変身ブーツ・セッティングも本当にお上手。わたくしのブーツを篠崎さんに診ていただいたら、フィット感が向上して蹴り足がすごく軽くなりましたの。自分で随分追い込んであったつもりでしたけれど、「プロの技術」(そう言ってしかるべきかと!)はやはり違うものなんですのね。

 ……つまりその……きっと調()()()()()なんです……


解説6:

 「ヒーロー(ヒロイン)ネーム」制度は、変身スーツが一般にそれほど普及してなかった時代の名残りです。変身できる人が犯罪を起こさないように、変身した時の姿に名前をつけて、免許と一緒に警察に登録したんですわね。

 ただ、2200年代の今ではデパートでもコンビニでも変身スーツが手に入りますし、事実スーツを複数着持っているのはごく普通です。だからこの制度は実は完全に形骸化しているんですけれど、なぜか廃止にするという話は出たことがございませんのよ。何故でしょう?

 そう、みんなこの制度がお気に入りだからです!

 自分の好みや個性に合わせて技能を選び、勉強したり訓練したり。苦労して手に入れた免許に、お気に入りのスーツ姿の自分がかっこいいホログラム写真で登録される、いわば第二の自分の勇姿に名前をつけたいと思うのは、むしろ当然の感情だとわたくしも思うのですけれど。だから。

 ……ブーツには素敵な名前をつけて、hnがおざなりな篠崎さんはやっぱりちょっと……

作「変わり者かと?」

 ……かわいらしい方かと!「変わり者」だなんて?そんなひどいこと、誰がおっしゃいますことやら?

作「おやおや」

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