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幕間 その4 家族

ウィルがエドガーとの決戦に赴く直前、ガゼルを殴り飛ばした後の話です。

「クソッ油断した…!」


ガゼルは目を覚ました。まだ雨の降り止まない街中で、地面に腕を叩きつける。


「お父さん…」「親父…」「貴方…」


家族が皆自分の元に駆け寄って来た。先ほどまではいなかったカーネルも一緒だ。


「ウィル君は…?」


「言っちゃった…」


悲しそうなユノ。


「止められなかった…」


悔やむダイン。


「1人で、貴族と事を構える気のようね…」


「いくらなんでも無茶が過ぎる…」


先ほど戦った時、まだ手元に優れた装備を持っていたのには驚いたが、あの傷だらけの体では無理がある。そもそも貴族と事を構えてただでいられる訳がない。


ふと、思い出す。


(「必ず、ユノを、ダインを選んでくださいね。」)


少年の悲痛な宣告。そんな事を言っておいて、寂しそうな目をしたいた。


「俺は…」


もしここでウィルを手伝えば、次は自分も貴族を敵に回すことになる。自分だけじゃない。愛する妻に娘と息子、この20年近くで培って来たものを全て失うかも知れない。ウィルが言っていたことだ。


しかし、その決断を下す前に、


「わたし、ウィルを助けに行く。」


ユノは誰よりも速く決断していた。


「お父さんやお母さんに迷惑をかけるかもしれない。けど、ウィルは、ウィルはわたしの弟!血が繋がってなくたって変わんないわ!」


「オレだって!オレだって、兄貴は兄貴っす!助けに行きたいっす!」


「ウィルは、悲しんでる!わたしたちが、お父さんを殴ったぐらいで自分を嫌いになったって!悲しんでる!そんなわけないでしょ?!お父さん!」


「お、おう。もちろんだとも。」


自分の扱いが少し悪いような気がして少したじろいてしまうガゼル。しかし、


「お前たちの感情を心配してしまったオレの方が馬鹿だったよ。なあ、カーネル」


「ええ、そうね。」


妻は出会って30年間、いつもとわからないように、全てわかっているという笑顔でガゼルの目を見つめてくる。


どんなにガゼルが無茶をしてもカーネルが補佐して、切り抜けて来た。これからだって、変わらないはずだ。


「ダイン、ユノ。ウィシュタリアを離れる。その覚悟はあるか?」


2人に問う。ウィルのために、どこまでできるのかを。


「もんちろんだ。親父。」


「もちろん!けど、お父さんは?」


「オレとカーネルは残る。誰かが責任を取らなくてはならないからな。」


「そ、それは…」


みんなで逃げるつもりだったのか、ユノが悲しそうな顔をする。最近は少し大人びできたと思っていたがやはり、まだまだだな。


「ユノ、この都市を出たら、お前が年長者だ。家族を、仲間を第一に考えられるか?」


娘の緑色の瞳を見て真剣に問いかける。


「うん…、できる、できるよ!」


「ダイン、姉をちゃんと支えてやれよ?喧嘩してもいいが、本当に大切な時、必ずみんなで協力するんだ。分かるな?」


「もちろんだ。親父。」


「最後に、お前たちも、ウィル君、いや、ウィルも含めて、三人とも皆オレの子供だ。必ず、いつか帰って来い。分かるな?」


「「もちろん」」


「よし、じゃあダイン、今からあのエドガーとかいう小僧の荷馬車を襲いに行くぞ。」


「ええ、そこまでやんの?」


「やるならとことん、だぞ。オレがウィシュタリア様から預かった素材を、ウィシュタリア様のお望み通りの人物に渡す手伝いをするだけだ。ユノ、お前はカーネルと一緒にウィルの様子を見守っておけ。その命が危ないようなら…」


「うん、先に助けだすよ…」


ユノの顔に宿る強い覚悟。ダインには悪いが、それなりに冒険者業に勤しむダインより、未だ全力で戦ったユノの方が強い。


「じゃあ行くぞ。家族全員で、新たな家族を助け出すんだ!」


「「「お〜〜〜!!!」」」

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