幕間 その1 三児の母
ウィルが初めてガゼルの家に泊まった時と料理大会終了後、ガゼルの家にまた泊まっている時の話です。
本日中に幕間4話投げて、明日一章ラストを投稿して一章は終わりです。
「みんな寝てしまったのかしら?」
カーネルは子供部屋の子供達の様子を見に来たところだった。先ほどウィルは、ガゼル達にウィルより自分の子供、ユノとダインを大切にしろ、とあの年にして残酷なことを言ってのけた。それを否定することが、カーネルにはできなかった…。
「ユノ、貴方のお友達はどんな過去を持っているのかしらね…」
そう思って音を立てないよう三人が寝ている部屋に入った。特に竜との戦闘で疲弊しているであろうウィルは起こしたくなかったのだが…
「スー、スー、」「Zzzzzz」
「ふふ、こうしてみると可愛らしいのにね…」
その時、足元に落ちていたものを蹴飛ばしてしまったのだ。
『ガシャッ!』 「あっ」
それは、そこまで大きな音ではなかった。しかし、
「ッ?!!!!!!」
ベットから飛び上がる影。ウィルだ。跳ね起きて屈んだ前傾姿勢をすぐに取る。
「ご、ごめんなさい。起こしちゃったわね…」
「…………カーネルさんか。ヤベ、こいつらは…起きねえか、よかった。」
一瞬、この少年は全力で警戒していた。猫のように毛を逆立て、手が武器を探していたのが分かる。
そのあと危険がないことに気付いて、2人を起こしてしまったのか気にしていたが、じきに寝た。
気を使わさないようそそくさとカーネルは部屋を出たが。
過酷な環境にいた期間が長かったのだろう。そう思うと胸が痛い。しかし、少年がそう言うように、自分たちは、あの子の親ではないのだ。
それでも、ユノ達と日々を過ごし、笑う少年は、段々と馴染んでいった。
料理大会が終わった時、
ユノが妨害を受けたのに気付いた時、少年は誰よりも早く、動き出そうとしていた。いかれる感情のままに運営に殴り込みをかけていたかもしれない。
そんな少年をら愛しい娘が止めた。自分が一番悲しくて、悔しいはずなのに…
「何を、感謝してんだ…!俺は…!」
「ありがとう。わたしのために、そんなに怒ってくれて。」
「違う!俺は…!!」
娘に頭を撫でられ、段々と怒りを鎮めていく姿は、まるで、まるで…
その日、家に帰ると、疲れで眠ったウィルをダインが、ベットに運んでいた。
「フー、スー、フー、スー。」
穏やかな顔を晒して、寝ていた。見守っているつもりだったであろうダインも、横で眠ってしまっている。
「あ、この姉を置いて2人とも仲良さそうにして〜!!」
「あ、ちょっとユノ!」
大きな音を立ててベットに飛び込むユノ。大きな音だ。ウィルはまた目を覚ましてしまう。そう思ったが…
「フー、スー、フー。」
「スー、スー、スー。」
「Zzzzzzzz」
「起き、ない…?」
ユノはあっという間に寝てしまうし、ウィルはまるで起きる様子はなかった。狭いベットに三人も体を寄せ合ってなる様はまさに、まさに…
「家族みたい、ね…。」
「そうだな。」
その姿を夫と見守りながら、そんなことを語った。
少年がどう思うと知ったことが、この子達は、皆自分たちの家族だ。何があろうと守って見せる。1人だけしか救えないなんてこと、させない。




