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放課後のワルツ    

朝、元は布団から起き上がりテレビをつける。

テレビには今日の夜行われるパーティーの準備をする様子が写っている。

元は時間を確認した後、準備を終わらせテレビを消し、家を出た。

日中は学校で授業を受けて放課後、その日はそのまま家に帰らず学校の近くにある公園で時間を潰し18時になるのを待った。

18時前に公園のトイレに入り鞄の中にしまってあった仕事着を着て準備を済ませ、今日の仕事へと向かった。

公園から少し離れた場所にあるホテル近くでゲンはミルクと合流した。

とあるパーティーに出席するプロダンサー”ミランダ”の護衛というのが今回ミルクが持ってきた仕事内容で、ゲンとミルクが今いるホテル近くのこの場所で合流することになっているのだが当の本人はまだ来ていない。

「ミルク、今何時だ?」

「18時10分、約束の時刻からもう10分過ぎてるわ」

集合場所について10分ちょっと。ミランダが集合場所に来る気配は未だない。

「まさかとは思うが集合場所が違うなんてことはないよな?」

「そんなことはないわ、でもあとあるとするなら、、、」



時刻は18時30分を少し過ぎた頃

「本当にすいません!!集合場所を間違えてしまいましてぜんぜん違うところにいました!!」

と息を切らしながらミランダが集合場所へとやってきた。やはり集合場所を間違えていたようでようやく集合場所へと到着した。

「それでは会場に行きましょうか」

三人はパーティー会場へと向かった。パーティー会場に入るとそこは一風変わった景色が広がっていた。

天井にはシャンデリアが飾られきらびやかな装飾があちらこちらに飾られている。

「随分ときれいなパーティー会場ね」

ミルクは不思議そうな表情をしている。

「それはこのパーティーに結構有名な人が多く出席しているからですね。

 ほらあそこにいるのはプロダンサーの雅家さん」

ミランダが指さした方向には随分と顔の整ったの人が立っていた。

「へぇー、雅家さんって間近で見るとこんなに整った顔してたんだ、きれいな人だな〜」

プロダンサー雅家零子(みやびやれいこ)31歳

社交ダンスやフォークダンスの優勝経験を持ちワルツの申し子と呼ばれている。

「もともとは無名のダンサーだったんですけどとある大会で優勝してから知名度をどんどん上げていって今の雅家さんがあると言っても過言じゃないの」


(だが雅家には黒い噂がある。雅家が優勝した大会に出場予定だった優勝候補たちが大会前に何人も怪我によって出場を辞退している。噂の域を出ない話だが大会の裏で何かが行われていたと言われていたり、それに雅家が関与しているとの話もある。)

ゲンはミランダに聞かれないようミルクに小声で耳打ちした

「あの雅家ってやつなんだが」

ゲンが最後まで言い終わる前にミルクはゲンが言いたいことをわかっているかのように親指を立ててウインクをした。



19時過ぎにパーティーは始まった。

ゲンはミランダに自分たちのことを気にせずパーティーを楽しんでほしいことを伝えた。

「ミランダ、あんたは気にせずこのパーティーを楽しんでくれ」

「でも」

「あなたのことを狙っているやつはあなたがパーティーを楽しんでいる間何もできなようにしておくから気にしないでくれて大丈夫よ」

そうしてミランダはゲンが言ったことを素直に受け入れ現在パーティーを楽しんでいるようだ。

「ミランダさんパーティーを楽しめているようね」

「ああ、そうしてくれたほうがこっちとしても助かる」

(ミランダのことを狙っているやつは俺達のことを知らなしはずだ。ミランダが怪しい行動を取ることでこっちに気づかれるのは少々厄介だ)

「それじゃあ手分けして探そう。俺は会場の外を探す、ミルクは会場内を頼む」

「OK!!」

「あとさっき行ったことも頼んだぞ」

「わかってるって」


二人は会場内、会場外をくまなく見てまわり、怪しい動きがないかを探った。

会場外は主に食堂に客室にフロントや駐車場を、会場内は厨房やトイレを見て回ったがとくに怪しいところはなかったため、一度会場内で二人は合流した。

「そっちは何かあったか?」

「いやー、何もなかったなー。”そっちは”ってことはそっちも?」

「特に怪しいところはなかったな」

怪しい動きが特に無かったためミランダを狙うやつを探す手がかりが掴めないまま時間だけが過ぎていく。

時計の針は21時を指している。特に動きのないままパーティーが始まって2時間が経過した。


「今回は怪しい人がいないってことはない?」

ミルクはその場にしゃがみこみうなだれながら言った。

「いや、それはないと思う、多分」

二人は完全に行き詰まってしまい、そもそもこの会場にいるのかすらも疑わしくなってきていた。

その時だった、突然会場全体が暗くなりある一点に光が集まった。

光の中には雅家が仮面を被りポーズを取って立っていた。どこからともなくゆっくりとした3/4拍子で1泊目にアクセントがある演奏が始まり暗闇の中から雅家のパートナーと思しき仮面を被った男が出てきて二人は踊りだした。

周囲からは歓声が湧きその場にいた全員が二人のダンスに釘付けだった。

ゲンも二人のダンスを見ているといつの間にいたのかミランダがゲンとミルクに話しかけてきた。

「やっぱりきれいね、雅家さんが踊る姿は。でも”少し変”なんだよね」

ミランダはそう言いながら少し首を傾げていた

「”少し変”というのは?」

「雅屋さんてダンスを踊るパートナーは結構誰でもいいみたいなんだけど自分よりダンスができるか自分と同等ぐらい踊れないと組まないはずなんだけど、今一緒に踊ってる彼、素人目からしたらわからないかもしれないけどド素人だと思うんだよね」

「なんだって!?」「なんですって!?」

ミランダの言葉に二人は驚く

「あれ雅家さんがかなりフォローしてるから踊れているように見えてるけど、一つ一つの動きに全然布がないから素人って丸わかりだよ」

そのことを聞いてゲンはミルクに目配せをして伝えたいことを伝えた。ミルクは会場内にあるとある場所へと走っていった。


ミランダと話をしている間に一曲目が終わり、二曲目に入っていた。二曲目からは会場にいた人々も踊りだし、パーティー会場は一瞬にしてダンス会場へと変わった。

この場で踊っていないのはゲンとミランダだけになっていまい、ミランダの提案で怪しまれないよう二人も踊り始めた。

「俺はワルツなんて踊ったことないからな。下手でも文句言うなよ」

「大丈夫、私がなんとかしますから。最悪見られても今は暗いですから、なんとかなりますよ。」

ゲンは何がなんとかなるだと思いながらも見様見真似で踊った。

それから数分後曲は三曲目に入り、曲に合わせて雅家たちを照らしていたライトも消え、会場には月明かりだけが差し込んでいた。

曲の中盤、ゲンは遠くで何かが月明かりで光ったのを確認した。

(今のはナイフ!?まさかこの会場にミランダを狙っているやつがいるのか!?)

月が雲に隠れた瞬間先ほど光った方から何かが飛ぶ音がした。

「すまない、ミランダ!!」

ゲンはミランダを突き飛ばし飛んできたものを躱した。

雲が移動し、また月明かりが会場に差し込む。

ゲンとミランダの後ろの壁にはやはりナイフが刺さっており、明らかにこちらを狙っているのがわかった。

ナイフが投げられた方向には雅家と男が踊っていることを確認する。

雅家と踊っていた男は何かを確認して顔をしかめて会場の外へと走り出し、ゲンもそれを追うように会場の外へと走った。



男はホテルの外に出て位路地裏を走っている。

「くそ、失敗か。だがまだチャンスはある、やつを殺すのはまた次回にするか」

「誰を殺すのは次回にするって?」

男の進路を塞ぐようにミルクが立っている。しかし男からは月明かりに照らされミルクの姿をしっかり捉えることはできない。

「追い詰めたぞ!!」

男を追っていたゲンも合流し男をはさみうちに。

「くそ、挟まれたか、こんなとこで終わってたまるか!!」

男は懐からナイフを取り出しミルクに襲いかかった。

「ミルク!!避けろ!!」

ゲンは声を上げるもミルクはその場を動かない、そのまま男と接触するその瞬間

「でやぁぁぁ!!」

ミルクは男を投げ飛ばし地面に叩きつけ、その衝撃で男は気を失った。

「これでも昔柔道やってたんだからね!!こんな男朝飯前よ!!」

男を紐で縛り上げて捕まえミルクはそのまま本部に連れて行った。ゲンはミランダのもとに戻りミランダを狙っていた男を捕まえたことを伝えるためにホテルの外にでた。雅家も同行させて。

「さてミランダ、アンタのことを狙っていたやつは俺達が捕まえた」

「本当ですか!!ありがとうございます!!」

ゲンの言葉に雅家の顔が少しゆがむ

「だから安心して大丈夫だ、残りのパーティーも楽しみな」

ゲンの言葉を聞いて嬉しそうに手を振りながらミランダは会場に戻っていった。

そしてゲンは雅屋に話を振った。

「さて雅家、俺がお前に声をかけた理由はわかるよな?」

「さてなんのことでしょうか?」

「証拠は上がってんだ。俺達が捕まえた男はお前と踊っていたやつなのもわかってるし元々一緒に踊る予定だった男はトイレで眠らされていたのも俺の仲間が確認済みだ。さらに監視カメラを確認したらお前と捕まえた男が話しているところがバッチリ写っていたよ。音声付きでな」

ゲンとミルクが手分けして怪しいやつを探していたときにミルクに頼んでこっそり雅家に盗聴器をつけさせていた。

「そんな」

雅家は膝から崩れ落ちた

「お前は自分より実力が上のやつを潰していたそうだな」

「そうよ、私が出た最初の大会もミランダもね。あの子はすごいわ。あの子のダンスを見る目は一級品よ」

「だから殺そうとしたのか」

「ええ」

「お前は自分の実力に自身が持てていないんだな。お前が最初に優勝した大会だが、その時の審査員の言葉が新聞に乗っていたぜ、『優勝候補がいたとしても雅家が勝っていただろう』ってな」

「え、、、」



後日、雅家がこれまでやってきたことが明るみに出て雅家は表舞台から姿を消した

そしてミランダは今日も元気に何処かで踊っている

話の都合上ミルクの所属している組織を”殺し屋対策組織”から”犯罪対策組織”に変更します

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