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第5話 DD51と寝台特急

 次の日も学校では一人で過ごす。


 鉄道好きと言う一面は出来る限り、人には見せない。

 人に見せると、後々で面倒な事になりそうだから。


 鉄道好きになったきっかけは、「銀河鉄道の夜」や「銀河鉄道999」を読んで、列車で宇宙旅行が出来たらいいのにと、子供心に思っていた時、旅行で、東京駅から寝台特急「出雲」に出雲市まで乗車して、出雲大社へ行ったのだ。その際、B寝台車の中で22時頃には眠れていたのは良いが、未明の変な時間に起きてしまい、そのまま眠れず、窓の外を見ると大きな都会の駅に停車したところで、駅名標を見ると京都駅だった。京都駅にドアも開かないのに停車した後、発車すると、東京駅から牽引していたEF65電気機関車が切り離されていた。窓の外、前の方を見ると青いEF65ではなく、紅いディーゼル機関車が牽引していた。


 紅いディーゼル機関車は、未明の真っ暗闇をヘッドライトで照らし、時折、寂し気な汽笛を鳴らしながら、列車を引っ張る。ちょうど、保津峡の辺りを走っていた時にふと、空を見上げると、満天の星が見えていた。

 未明の景色は時折小さな灯りが見え、夜空は満天の星という車窓を見ている内に、本当に自分は銀河鉄道の夜の列車や、銀河鉄道999号に乗って宇宙を旅しているという気分になり、夜が明けると、見知らぬ山陰地方の景色の中を走っていた。この経験で自分は鉄道好きになったのだ。


 そして、この時、京都から「出雲」を牽引していたのが、紅いディーゼル機関車DD51だったのだ。


 その後、暇を見つけては鉄道旅をするようになった。


 それも、電車や気動車ではなく、出来る限り電気機関車やディーゼル機関車が牽引する客車列車を求めて。そして、最も銀河鉄道に乗って宇宙旅行をしている気分を味わえたのは寝台特急ブルートレインだった。「出雲」の後にブルートレインに乗れたのは、上野駅から青森駅まで、寝台特急「あけぼの」のゴロンとシート(B寝台車の寝台をセットせず、指定席として販売していた物)に乗った時で、これが最初で最後だった。


「あけぼの」は「出雲」と違い、DD51が牽引する事は無かったが、ちょうど群馬県を走行中に見えた赤城山麓の夜景は宝石箱をひっくり返したような美しさだった。特に、利根川鉄橋を渡った時や諏訪峡にそって水上の温泉街を走っている時は、銀河鉄道に乗っていると感じた。


 しかし、銀河鉄道に乗っていると感じる列車は、今やほとんどが廃止された。

 DD51だって、定期運用を持つ物は無いだろう。


 ふと、スマホを見ると、都会の駅から地元の駅まで、DD51が工事列車を牽引して来ると言う情報。今日はバイトだが、バイトが終わる時間に行けばギリギリ間に合う。


(行こう。)


 と、自分は決める。


 放課後、バイト先へ飛んでいき、ポスティングのバイトをさっさとこなしたら、夕陽が沈む洋館の町を駅へ急ぐ。


 急ぎつつも、道路交通法は守る。


 そして、駅に着くと、駅をまたぐ歩道橋に登って、構内を見てみる。

 貨物ホームの機回し線に、DD51‐842が停車していた。

 自分がこの前購入した鉄道模型と同じ型番のDD51だ。


 工事列車と言う割には他の車両が見当たらず、単独でDD51はやって来たらしい。

 だが、最近はまるで動かなかった都会の機関区のDD51‐842が久しぶりに動いたのだ。

 自分はスマホながらも、写真を撮りまくった。


 自分がやって来て5分くらいで、DD51‐842は機回し線から本線への入換をして、都会の機関区へ帰って行く。それを見送って、予定にはなかった上、閉店間際だけど、パン屋に寄ってみる。


「あっちょうどいいところに!紅いディーゼル機関車が呼んだのかな。」


 と、年上の女子大生が微笑んだ。


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