EP4 4人の幹部
傭兵団【シルバーフラスコ】との団員達と邂逅したセア。そんな中アジトに一通の手紙が届く。ついにセア達の伝説が幕を開けようとしていた。
「はーい注目~!みんな降りてきてー!」
エルナが上にいる4人に言うと
『はーい!』
しっかり返事をしてそそくさと降りてきた。
(慕われているんだな…)
セアはエルナの方を見ながらそう思った。
「新しく入るセアだよ、まずは自己紹介かな?加入順にお願いね」
エルナは4人を見てそう言うと
「じゃあまずは俺だな!」
1人の男が声を上げた。大柄でセアより10cmは高いだろうか、赤紫色の髪にがっしりとした体型で年は20代真ん中ぐらいだろうか、正直ちょっと怖い。
「俺の名前はゴルメッシャ!突撃隊隊長だ!」
威勢の言い声でゴルメッシャはセアを見る。
「さっきは悪かったな!でも、さすがエルナがわざわざ選んだだけはあるな!」
(人当たりはいいんだな、良かった)
セアが安堵していると
「ゴルメッシャは風の才能を持ってていつも先陣を切ってくれるんだよ」
「ちょ!エルナ!?それは言わないでくれよ!」
「なんでよ!仲間なんだからいいじゃない!」
「初見で才能を見せてドヤりたかったんだよ!」
(意外とかわいい理由だった)
セアはゴルメッシャに親近感を覚えていると
「まぁ…もういいけど、次はやらないでくれよ…」
ゴルメッシャは少し拗ねながらエルナを見た。
「じゃあ次は僕だね」
ゴルメッシャが終わったタイミングをずっと見ていたのか意気揚々と前に出て来たのはナゴンだった。
「あーナゴンはパスで」
「え?」
エルナの発言にナゴンは唖然としていた。
「もう自己紹介したじゃん」
「軽くあいさつしただけじゃないですか!?もう一回させてくださいよ!」
「もう…今回だけよ」
「これ僕が悪いんですか?」
ナゴンはセアを向いて
「改めて僕はナゴン。情報屋をしているよ。たまに全線にも出るからその時はよろしくね」
「じゃあ次」
エルナは食いぎみに言った
「僕の扱い雑じゃないすか?」
ナゴンがぶつぶつ文句を言ってると
「………シェパレ………始末屋」
ナゴンの隣の女の子が呟いた。小柄な体に短い水色の髪と一見可憐な印象を受ける。
(でも始末屋って?)
「あの時僕の隣にいた子だよ。僕とシェパレは同期で2人1組で動いているんだ。」
ナゴンが付け足したように言う。
「人見知りだけど優しい子だから仲良くしてね」
エルナもチラッとシェパレを見てから言った。
「最後はガルンだね」
全員がガルンを見ると
「ガルンだ!よろしくな!【シルバーフラスコ最強】でやらせてもらってる!」
ガルンと名乗った男はそう言った。よく見ると自信満々な目をしていた。身長はセアと同じぐらいでオレンジ色の髪をしている。筋肉はまありなさそうだが体は締まっている。
「最強っているのには語弊があるね。正確には1対1(タイマン)最強かな?」
エルナとゴルメッシャは対抗心むき出しな目をしてガルンを見た。
「どういうことですか?」
セアはエルナに聞くと
「才能の関係だよ。1対多なら私やゴルメッシャの方が強いってことだよ。でもガルンが言う通り1対1ならガルンが1番強いね」
「まぁ俺の才能を楽しみにしといてくれよ!」
「この4人が幹部よ」
エルナが4人をみんなを見た。
ガルンは快活な笑顔をしてセアに聞いた。
「お前は何の武器を使うんだ?」
『あ…』
セアとエルナは大事かことを思い出した。
(そうだ!俺は何を使ったらいいんだ!?)
「えっと…セアは身体能力は高いけど戦闘経験がほとんどないんだ」
「どうするんだよ!最近抗争は激化してんだぞ!戦い方を教えてる暇はねぇんだぞ!」
ゴルメッシャは明らかに焦って喚いた。
「エルナが連れて来たから即戦力だと思っていたのに…」
ガルンもあからさまに落胆した。
「………育成選手………今要らない」
シェパレをセアを見つめている。
「あー、だからあの時団長がやったのか」
ナゴンも府に落ちたように手を叩いた。
(言われてるな…)
セアの顔が暗くなっていくのをエルナが察して
「みんな」
『!?』
エルナが覇気を出して4人に呼び掛けるとすぐに膝をついた。
「申し訳ありません!」
ナゴンが真っ先にエルナに謝罪すると
「いいのよ。次からは私の話を聞いてね」
エルナは笑顔を浮かべていたがとても怖い。
「私の目的を忘れた?そのためには今後みんなのような人がもっと必要なの」
エルナの目はいつの間にか本気になっていた。
「分かったよ…エルナがそう言うならいいが、その間の武器はどうするんだ?」
ゴルメッシャはエルナ聞くと
「そんなの剣でいいんじゃない?合わなかったら変えたらいいだけだし。」
「なんか雑じゃないか?」
「いーの!セアはまだ自分の適性が分からないから色々試させれば、それがセアの長所でしょ」
(ちゃんと考えてくれていたんだ)
ゴルメッシャとエルナのやり取りを聞いたセアは安心した。
「ナゴン」
エルナがナゴンを呼ぶと
「はーい」
「訓練用の剣を持ってきて」
(訓練用の剣?なんでだ?今から訓練か?)
セアが考えていると
「持ってきましたー」
「じゃあセア、これをあげるね」
エルナが訓練用の木製の剣の刃を銀にしてセアに渡した。
「すげー…」
(やっぱりすごいな)
セアが感嘆していると
「重さはどう?」
「いい感じですね」
エルナの声に剣を振りながら答える。
「じゃあ早速やってみようか」
エルナが手を叩いて言うと
「セア、ゴルメッシャと戦いなさい」
「え?無理ですよ!?」
セアは必死に否定すると
「さっきは即戦力として採ってないと言ったけど戦闘経験は多く積んどいた方が良い」
エルナの目がまた本気になっていた。
「まぁセアは殺す勢いで良いよ、どうせゴルメッシャは死なないし」
「フッ…」
ゴルメッシャがドヤ顔をした気がした。
「対してゴルメッシャは木製の槍で才能もセーブさせるから安心して戦って良いよ」
「なら良いですけど…」
「よく言った!」
セアが言った直後、ゴルメッシャは大声を上げて訓練場に向かった。
「みんな行くよ」
エルナもゴルメッシャについていったのを見てみんなも追いかけた。
訓練場は屋内に作られたとは思えないほど広いに加え銀製の武器が数多くある。
(やっぱりすげーな)
セアは剣を振りながらそう考えていた。
「じゃあやるか!」
ゴルメッシャがセアに言うと
「ああ!」
「じゃあ審判は僕が」
ナゴンが手を上げて
「よーい、始め!」
掛け声と同時にゴルメッシャの槍の中心に小さな竜巻が発生した。
「ははは!これが俺の才能【ウィンドバースド】だ!いくぞ!」
ゴルメッシャが槍を横向きの薙ぎ払うと竜巻によって地面が抉れながらセアの方向へ向かって来る。
「おらぁ!」
セアは切りかかって勢いを止めようとしたが
「無駄だ!」
ゴルメッシャが叫ぶと竜巻の範囲が広がり、竜巻がセアに直撃した。
「うっ!」
セアの体には多くの小さな切り傷が出来ていてふらついていた。
「どうした!どうした!それじゃすぐ死ぬぞ!」
ゴルメッシャは叫びながら向かって来る。
「くそっ!」
悪態をつくセアの顔は笑っていた。
「おいおい!やりゃ出来るじゃねぇか!」
セアの体から広場の時と同じ金色のオーラが出ていた。セアはゴルメッシャを見て
「さぁ…やろうか!」
「おう!」
セアの呼び掛けにゴルメッシャが勢いの良い声で答えた。
ようやく初期のメンバーが出せたからよかった。最後の言葉通りになれるように頑張って書いていきます。