〜第1話〜部活帰り
これはよくある異世界転生の物語だと思っていた。目の前の神とやらの話を聞くまでは…
学校からの帰り道、部活で遅くなってだいぶ暗くなってしまった。時間は18時を周り日は完全に落ち街灯などはなく暗闇をひとりぼっちで歩いていた。
「あ〜、どうして本番になると力んじゃうのかな…」
先週サッカーの試合でフリーキックの際、練習ではあまりミスした事の無い意味からのキックで緊張し、あらぬ方向で飛ばしてしまったことを反省して、今日も遅くまで練習していた。
「気分転換にマンガでも読もう…」
そういっていつものアプリを起動させ、大好きな異世界系のマンガを読んでいた。
「俺もこれぐらいイケメンで何かしらの特筆した特技があったらモテるのかなー………にしてもこのマンガ、凄い面白いな。って、ん?」
次の話を読もうとスクリーンをタップすると見た事のない広告が現れた。
「なになに、異世界で生活をしてみませんかだって?いくらマンガ大好きでもそんな幼稚な広告には引っかからないぞ!あれ、」
広告を消そうとするが消すための表示が見当たらない。一度アプリを落とそうとホームに戻るがその広告は表示されたままだった。
「最悪だ、変なウイルスでも入ったのか?押してみて消えてくれたらいいか。」
そう思い広告を開いてみる。すると携帯が突如、熱を持ち目を瞑ってしまうほどの光に見舞われる。
「うわっ!……………………前が見えない。」
目を開くがゲームなどの閃光弾を使われた時のような視界が真っ白になる現象が起きていた。するとそこへ呪文のような声が聞こえた。
「ーヒールー」
体が暖かい何かに包み込まれるように覆われ、瞬く間に視界が回復して行く。
「こ、ここは……」
目の前には金髪巨乳で超が着くほどの美少女が居た。
「か、か、かわいい……」
「年寄りにそんなことを言っても何もでてこんぞ」
「…え?」
声は見た目通りなのだが口調がどうも古臭くジジくさい。
「ふむ、なるほど、このスキルが発動しているのか。」
そういって少ししたあと見た目がどんどんボケたような年寄りになっていった。
「な、なんだそれ!」
年寄りはすまない、というような素振りを見せて口を開く。
「お主には今から話すことをよく聞いて欲しい。」
「はぁ、」
起こっている事が非日常すぎて現状を受け入れる前に話し始めたためあまりまともな返答が出来るはずもなく流れに身を任せたまま話が始まる。
「今からお主には君たちで言う異世界というものに転移してもらう、そこである事が起きるためそれを防いで欲しい。」
話を聞いて行くとだんだんといつも読んでいるラノベや、マンガのような話になって行く。
「まずはこの間である程度修練を行ってもらう、その後に向こうの世界へ赴きある出来事を止めに行ってもらうのだが、ここまでは大丈夫だな?」
「いや、大丈夫もなにも、質問したいことが山ほどあるんですが、」
年寄りは少し申し訳なさそうに喋り出す。
「すまない、いきなりの事で動転しておったな、お主がしたい質問はある程度読み取れる、順番に説明していこう。」
まず、自分のことを魔の神ーーヴォルス・ジン・グラヴと名乗った。その次に何故自分なのか、そして止めて欲しい出来事、この転移を拒否することは可能なのか、という聞きたかったことは全て教えてもらった。
「なるほど、ではあなたは僕にその事件を止めてもらい最終的には魔の神を継いでほしいと、そういうことで合ってますか?」
「魔の神の座を受け継ぐかどうかはお主次第だ、まずはその事件を止めてさえくれればあとは好きにしても構わない。」
話を聞く限りは命がいくつあっても足りないような事件だ。そんなことを考えていたが心が読み取れるようで、その疑問にもすぐに答えられた。
「そのための修練の間と修練内容を用意してある、まずはそこで基礎を学び、魔法、武器の心得を学んだ後に本格的な戦闘スキルを磨いていく。そのため異世界に出る頃には玄人ほどの者にはなっているだろう。後はどうしても異世界に入ってみなければ学べるものも少なかろう。」
みっちりとした修練をした後の異世界ということは少しでもマンガのようなハーレム展開や、世界最強系を想像したが自分には無理と高を括る。
「先程拒否権はないと言ったがお主の人生は前の世界じゃ目に見えておる、ならば次の人生はわしに預けてみないか?」
魔の神が言うんじゃあまりまともに聞こえないこともないが確かに前の世界は恵まれたような生活では無かった。この人生の大きな分岐点で冒険をしても悪くないのかもしれない。そう思い、声を大にして答える。
「お願いします。この人生をあなたに捧げます。なので新しい異世界へ連れて行ってください。」
魔の神は微笑みこう答えた。
「魔の神と聞いてもそう答えるか、では早速、修練を始めるとしよう。心の準備はもう大丈夫そうだな、では始めるとしよう。」
魔の神は両手を合わせ少し開くと呪文を唱えた。
「魔の神、ヴォルス・ジン・グラヴが命ずる。第20位階魔法ーー魔門ーー」
そう唱えた途端魔の神の後ろに東京タワーほどの高さの大きな門が出現する。
「修練は中に入ったら直ぐに始まる。心してかかれ、では、私はこの辺で去るとしよう。次に私が現れるときは最終修練の時だ。お主は私自ら見込んだ転移者だ。期待しているぞ。」
そういうと魔の神は煙の様に流れ、消えていく。
「まさか俺の人生がこんなことになるとは思ってなかったけど日本で暮らすよりは絶対にマシになるようにしか考えれないんだよな。…………さて、いくか、ここで何かを考えで仕方ない。」
その小さい背中は大きな門へ吸い込まれるかの様に姿を消して行った。
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