最後の盗み
道山は、突然ピンクジュエルが現れた事に一瞬驚いたものの、不敵な笑みを浮かべた。
「お前がピンクジュエルだったか…、まぁいい。やれ!」
道山は待機していた警備員達を呼びつけ、一斉にピンクジュエルを確保しようとした。
「多勢に無勢もいいところね!」
ピンクジュエルは刑事をすり抜ける為にワイヤーで空高く飛び上がった。
ところが、天井に仕掛けられていた罠に掛かり、ピンクジュエルは宙吊りになってしまった。
「しまった!」
「このままお前の身柄を警察に引き渡してやろう」
「警察に逮捕されるのは、あんたの方よ!」
「果たしてそうかの…?」
道山はニヤリと笑って『クリスタルオルゴール』を弄った。
青葉は屋敷の防災システムでピンクジュエルが現れた事を知った。
「ピンクジュエルが現れた?!」
「青葉…、いや、アクアマリン君、頼めるかね?」
「アクアマリンさん!」
青葉はアクアマリンの姿になって、涼平とりんかにこう言った。
「みんな、行こう!」
涼平とりんかは頷き、アクアマリンの後ろを走って行った。
「これが最後の大舞台だ!」
三人は無線を頼りにピンクジュエルの所に向かった。
ピンクジュエルは宙吊りになりながらも、『クリスタルオルゴール』に向かって手を伸ばした。
「まだ諦めないのか、往生際が悪いな」
「諦めないわよ私は…」
ピンクジュエルは縛られながらも、縄から抜け出す方法を探していた。
しばらく経って、アクアマリン達が大広間にやって来た。アクアマリンは五星道山の姿を見るとすぐさまその名を叫んだ。
「五星道山!」
厄神警部は警察手帳を前に出して、道山に近づいた。
「すみません、警察の者ですが、事情を聞かせてくれませんかね?」
「ああ…、ピンクジュエルを引き取って頂きたいのですが」
「いや、事情を聞きたいのはあなたの方ですよ」
ピンクジュエルは、道山が厄神警部に気を取られている隙に、『クリスタルオルゴール』に向かって手を伸ばした。
「やった?!」
ピンクジュエルは道山の手から『クリスタルオルゴール』を抜き取った。そして、拘束から抜け出し、大広間から逃げだす。
「あっ!」
「ひっ捕らえよ!」
道山は、警備員達を指示して、ピンクジュエルを確保しようとした。厄神警部も警官達を指示して、ピンクジュエルを確保しようとする。
ピンクジュエルは必死に逃げたが呆気なく道山に捕まってしまった。そして、強引に引っ張ると、そのまま警察から逃亡した。
道山はピンクジュエルを引き摺りながら外に出ていった。道山は警察から逃げ切ったらしく、周囲には人が誰も居ない。
「何する気なの?!」
「どうせ捕まるなら…」
道山は庭の真ん中にある池にピンクジュエルを連れて来た。そして、『クリスタルオルゴール』を奪いかえし、ピンクジュエルの髪の毛を掴んで突き落とした。
ピンクジュエルはしばらく藻掻いていたが、意識は闇の中に引き摺りこまれ、そのまま静かに沈んでいった。
道山は沈んでいったピンクジュエルを物を見るような目で見た後、警察の元に歩いて行った。




