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どうなる?!プリンス・トパーズVSグラマラスキャット

 ピンクジュエルとトパーズは、二人で紅蓮荘に侵入した。紅蓮荘は前来た時と変わらず、壁も床も赤黒かった。

「で、何処に『アシスカ四世のクラウン』があるの?」 

「マダム・ルビィの宝物庫は二つあるんだ。一つは君が『ブラッドルビー』を見つけた所だよ」

「そのもう一つの宝物庫は何処にあるの?」 

「この本館とは別の棟だよ」

 紅蓮荘は、二つの建物からなる屋敷だ。一つは、今居る本館、もう一つは別館だ。別館は本館よりも規模が小さいが、本館と同じくらいの広さの宝物庫がある。

 別館は、狭く、迷路のように入り組んでいた。それなのにトパーズは、一度行った事があるかのようにスイスイと進んでいく。

「もうすぐだよ」

「もうすぐって…」

ピンクジュエルは、まだ目的地に辿り着いていないのに、荒い息を上げて一度立ち止まった。



 アクアマリンは、りんかと厄神警部と臼井刑事、それから子連れ刑事の勇吾とちえりと一緒に紅蓮荘の警備をしていた。

「今日は中学生探偵は来ないのか」

「そうですね…」

アクアマリンが辺りを見回しても、涼平の姿は無かった。それどころか、この屋敷の主人であるはずのマダム・ルビィも現れない。

「以前訪れた時は現れたのに…」

「マダム・ルビィは警察が嫌いなんですよね?」

すると、突然ちえりがアクアマリンの側に来てこう聞いてきた。

「アクアマリンさん、警察が嫌いな人ってどんな人なの?」

「う〜ん…、なんだろ…」

アクアマリンは色々考えたが、それをちえりに話せる程まとまっていなかった。その時、厄神警部がちえりの目線に合わせて、こんな事を言った。

「警察は正義の味方じゃない」

「どういうこと…?」

ちえりはそう言って首を傾げた。

「警察も人間だ。泥臭い事に呑まれながら、自分の中にもある悪意と戦いながら、人々の安全を陰ながら支えてるんだ。別に格好いいと思われなくていい、光が当たる仕事じゃないからな」

それを見て、臼井刑事もちえりにこう言った。

「過ちを犯すのが人間なら、それを正すのも人間の役目だ。嫌われてもいい、だが、人を傷つけたり罪を犯したりする人間は放っておくわけにはいかない。法で裁かれなくてはならない。」

「正義と悪で真っ二つになる程、人間は簡単に出来てないんだ」

厄神警部はそう言って、別の場所に向かう。そのやり取りを見て、勇吾は警察達から目を背けていた。


 ピンクジュエルとトパーズは、別館の宝物庫に辿り着いた。二人はゆっくりと中を開け、様子を見る。

「ここだな」

「何処にあるの?」

トパーズは中に入って奥に向かう。すると、一人の警官が居た。

「警備されてるんだな…」

トパーズは、爆音が鳴る装置を、扉の向こうに投げた。すると、爆音が鳴り、警官が気づいて部屋から出る。

「何で警官が一人見張ってたの?」

「恐らく、主人に在り処を教えて貰ってないから、部屋毎に配備したんだろうな」

「そうなんだ…」

 トパーズが更に奥に入ると、棚と棚の間が広く開いている事に気づいた。棚を動かしてみると、マンホールの蓋のようなものがある。

「隠し扉だ、ここの中だな」

二人は隠し扉の中に入って先に進んだ。


 アクアマリン達は、遠くで聞こえた爆音に気づき、別館に向かった。すると、小さな装置を前に立ち尽くしている一人の警官が居る。

「まさか別館があるとはな…、何故このような装置が置かれてあるんだ?」

「分かりませんが…、何者かが投げ込んだらしく…」

厄神警部は、扉の向こうに宝物庫がある事に気づいた。

「まさか、彼奴が中に!」

アクアマリンとりんか、それから大勢の警官達は宝物庫の中に入って行った。


 ピンクジュエルとトパーズは隠し扉の中に入った。中は思ったよりも物がなく、中もただ穴を掘ってそのままにしただけだった。二人はその奥に入っていく。

「『アシスカ四世のクラウン』はここにあるはずなんだ…」

「何で分かるの?」 

「あいつは、盗んだ一番大切な宝は奥に仕舞うから…」

すると、奥の方から声が聞こえた。

「来たわね、坊っちゃん」

 そこから現れたのは、レオタードと網タイツを着て、猫耳と尻尾を身に着けた女性だった。

「グラマラスキャット!」

「あら、お嬢ちゃんまで居たの?」

グラマラスキャットは鞭を振り回しながら、ピンクジュエルを意外な目で見つめる。

「『アシスカ四世のクラウン』を返してもらうぞ」

トパーズがそう言うと、グラマラスキャットは嘲笑った。

「あら?いつからあんたのものになったの?あんたの方が泥棒なくせに」

トパーズはグラマラスキャットがそう言い終わる前に、『アシスカ四世のクラウン』が入ったケースの前に立った。

「いつかお前は言ったよな?宝は最後に奪った奴のものだって」

トパーズは、ケースを持って地下室から抜け出す梯子を登る。

「あんたにそれが出来ると思ってるの?いつかの坊っちゃん?」

 グラマラスキャットは、鞭を伸ばしてトパーズから『アシスカ四世のクラウン』を奪おうとしたが、ピンクジュエルがトパーズの前に立って、それを防いだ。ピンクジュエルに鞭が巻き付き、右腕を締め上げる。

「いつから手を組む事になったのかしら?」

「そんなのあんたに関係ないでしょ!」

「次はあの坊っちゃんを血祭りにあげようかしらね、あの時の坊っちゃんの弟のように!」

グラマラスキャットは、梯子からピンクジュエルを突き落とし、トパーズを追った。置いていかれたピンクジュエルは、鞭で右腕を強く縛り付けられたままで、動かす事が出来なかった。


 トパーズは、『アシスカ四世のクラウン』を持って必死にグラマラスキャットから逃げた。途中、警官の一人が二人に気づき、追い掛ける。

「さっさと諦めなさい!」

グラマラスキャットはナイフをトパーズと警官に向けて投げた。一方のナイフは警官の足に刺さり、警官はその場に跪いた。もう一方のナイフは、トパーズに向かったが、トパーズは間一髪で避けた。

 宝物庫に居たりんかは、廊下を走っている二人の足音を聞いて、警官達よりも早く駆け付けて来た。りんかは二人を追い掛ける。

「待て!プリンス・トパーズ!」

「邪魔者が入ったわね…」

グラマラスキャットは鞭を取り出してりんかに向かって打った。その時、りんかの前に遅れてやって来たアクアマリンが警棒でそれを打ち払った。

「アクアマリンさん!」

「もうここまでだ、グラマラスキャット」

 アクアマリンは、トパーズではなくグラマラスキャットを追う。その時、アクアマリンはトパーズの横に一瞬近づき、こう耳打ちした。

「お前は逃げろ、ここからは警察の仕事だ」

「アクアマリン…」

アクアマリンは、りんかと一緒にグラマラスキャットを追った。トパーズはグラマラスキャットがアクアマリンに気を取られている間に、廊下の脇道を通って警官達を撒いた。


 グラマラスキャットは警官達から逃げ、窓から屋根に飛び乗った。だが、状況はグラマラスキャットにとって最悪だった。上空には警察のヘリコプターが周回し、下では大勢の警官達がグラマラスキャットを取り囲んでいる。

「くっ…」

「もう逃さないぞ!」

 厄神警部が拡声器を使って叫ぶ。それでも、グラマラスキャットは、何処かに逃げ道は無いかとずっと探していた。その時、アクアマリンとりんかが屋根上に現れ、グラマラスキャットにゆっくりと近づいた。

「ここまでだ、グラマラスキャット…。いや、マダム・ルビィ」

それを聞いて、グラマラスキャットは凍りついたように動かなくなった。

「グラマラスキャットがマダム・ルビィなんですか?!」

「何で今日マダム・ルビィが現れなかったのか、それはグラマラスキャットの姿でずっとトパーズが来るのを待ち構えていたからだよ。それに、以前同じように紅蓮荘に来た時、グラマラスキャットはピンクジュエルが宝を盗むのを待ち構えていたかのように現れ、奪い去った。それは、呪宝を盗まれたマダム・ルビィがピンクジュエルから呪宝を奪い返したんじゃないか?」

アクアマリンの言葉に、反論出来なかった。逃げる気力を失ったグラマラスキャットはその場に跪いた。

 そして、警官達が屋根の上でグラマラスキャットを取り囲み、確保した。グラマラスキャットは警官に連れ去られ、パトロールカーに乗り込む。その時、グラマラスキャットはアクアマリンにこう呟いた。

「私は五星財閥の重鎮よ、呪宝を預かって屋敷の中に保管していた。財閥には忠誠を尽くしていたわ、宝の為なら人の命も自分の命も惜しくない…。」

 グラマラスキャットを乗せたパトロールカーは、紅蓮荘の敷地から出て、署まで向かって行った。

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