小さい初恋
晴れた青空の下。
ボクは校庭を駆ける。
空よりも。
華奢で小柄な先生よりも小さいボク。
まだまだ未成熟で、大人になるには十数年を要する。
でも心では、
――はやく大きくなりたい
――先生の力になりたい
と思う日々。
先生、今日はどんな面白いことを見せてくれるんだろう。
絵本?
マジック?
目に映るものすべてが初体験。
とくに先生の一挙手一投足は、ボクの大きな瞳を釘付けにする。
ワクワクが抑えきれない。
あ、先生の優しげな声がボクを呼んでいる。
急いでお部屋に向かう。
短い歩幅で、たくさんたくさん土を蹴る。
――先生に会いたい
――ボクが一番最初に挨拶するんだ
その想いがボクの身体を突き動かしていた。
外靴を脱いで、外靴を下駄箱に仕舞って……。
手洗いうがいも忘れない。
お部屋に入ると、先生の笑顔がボクの視界を埋め尽くす。
頼りない体格にふわふわとした立ち振る舞い。
子どものまま、年齢だけが大人になったような人。
でも、ボクの寂しい気持ちを浄化して、幸せな気持ちで心を満たしてくれたすごい人。
ボクの大好きな先生――
小さな身体に秘めた小さい初恋。
いつか打ち明けたいと密かに思う。
と、その前に朝のご挨拶。
先生が褒めてくれるように大きな声で、
もっともーっと大きな声で、
今日も元気におはようございます!
『夢は儚し女装せよ乙女。』を連載しています。
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女装してでも幼稚園教諭になりたい男のコの物語です。
よかったら読んでみてください!