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2-1

   二日目


 今日も、朝から晴れ渡っていた。

 領地の空気と外界の瘴気が入り混じるところでは、どちらの植物も育たなくなるため、外界の荒野は、見渡すかぎり何もない。

 オレリアスは、それら外界の荒野を所在無く眺めながら、

(訳が分からない。)

と、ため息をついた。

 本当なら、こんなやぐらの上で見張りなどやるつもりはなかった。

 クイがウテリア領にやってきた時点で、軍将の仕事は全部オフにするつもりだったし、今日は彼女がやってきて、初めての朝だ。旅の疲れも取れたろうから、今日一日、このウテリア領を案内してやるつもりでいた。

 だが、今日の彼女は変だった。

 オレリアスを見るなり、怯えたような目で半歩退いたのだ。

 その上、オレリアスの誘いを「行きたくありません。」と突っぱねてきた。

 彼女に何があったのか。

 彼女の言い分を聞くと、まずは結界を整えさせてもらいたいらしい。その辺のところは、よく分かる。ウテリア領の結界は、たぶん、かなり危機的状況に違いない。だが、それを抜きにしても、やっぱり彼女は変だった。彼女の態度は、昨日と違って、とても冷たく、オレリアスが近づくと、顔をこわばらせて距離をとろうとした。

(俺が、何かしたんだろうか?)

 昨日の彼女は、とても愛らしかった。

 緊張に震え、魔獣に怯え、それでも懸命にウテリア領に尽くそうと、彼女はとても頑張っていた。そんな彼女に、こちらまで励まされていたというのに、それが、どうしてこうなってしまったのか。

 いくら考えても、彼女の心境の変化は、理解できなかった。

 まして、自分の言動を省みても、こちらに落ち度があるとも思えない。

(まったく……。)

 オレリアスは、外界を見やりながら、ため息をついた。

(これだから、女というものは理解し難い。)


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