表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦力外通告は妥当でした。なお国家レベルでは必須人材だった模様 ~戦えない参謀は評価される場所を選び直した~  作者: 黒川レン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/89

第77話 向こう側の痛み

 翻訳実験は停止された。


 意味崩壊領域の拡大は止まったが、完全には戻っていない。


 床はまだ“安定面”としてかろうじて機能している。


 壁は“流れの境”。


 概念が少しずれている。


---


「完全翻訳はできない」


 Λが静かに言う。


「意味体系の基礎構造が違う」


---


「違うどころではない」


 アリエスが興奮気味に言う。


「向こうには“固体中心の世界観”がない」


---


「つまり?」


 レオニスが問う。


---


「向こうの意味体系は」


 アリエスが答える。


---


「流れ中心だ」


---


 床ではなく“安定した流れの面”。


 壁ではなく“流れの境”。


 空間も、固定ではない。


---


 リオナが小さく呟く。


「水みたい」


---


 エイドが反応する。


---


「流れ」


---


 その単語は、はっきりしていた。


---


 だがその瞬間。


 エイドの輪郭が大きく崩れる。


---


「……痛い」


---


 カイナが眉をひそめる。


「何が起きている」


---


 Λが解析する。


「翻訳干渉」


---


「意味翻訳は」


 Λが続ける。


---


「外縁側の意味体系にも衝撃を与えている」


---


 沈黙。


---


 サエルが低く言う。


「我々が翻訳すると」


「向こうの世界も揺れる」


---


 リオナがエイドの前に立つ。


---


「ごめん」


---


 エイドはゆっくりと揺れる。


---


「違う」


---


「痛い」


「でも」


---


 少しだけ輪郭が整う。


---


「必要」


---


 レインが言う。


「なぜだ」


---


 エイドはしばらく沈黙する。


 外縁の波形が静かに広がる。


---


「向こう」


「壊れる」


---


 全員が動きを止める。


---


「何が壊れる」


 カイナが問う。


---


 エイドの声がかすれる。


---


「意味」


---


 リオナが息を呑む。


---


「向こうでも?」


---


 エイドが小さく揺れる。


---


「境界」


「弱い」


---


 Λが解析する。


---


「外縁側には」


「意味境界がほぼ存在しない」


---


 つまり。


---


 向こうの世界は、境界が曖昧すぎる。


---


 だから構造が安定しない。


---


 サエルが呟く。


「我々とは逆だ」


---


 人類側は意味が強すぎる。


 外縁側は意味が弱すぎる。


---


 レインが静かに言う。


---


「だから接触が起きた」


---


 リオナがエイドを見る。


---


「助けてほしいの?」


---


 エイドはゆっくり頷く。


---


「境界」


「教えて」


---


 沈黙。


---


 カイナが言う。


「それは」


---


「文明干渉だ」


---


 レオニスが小さく息を吐く。


---


「我々が」


---


「外縁文明を作ることになる」


---


 戦えない参謀は理解した。


---


 これは侵略ではない。


---


 救援でもない。


---


 **文明同士の初めての教育だった。**


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ