表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦力外通告は妥当でした。なお国家レベルでは必須人材だった模様 ~戦えない参謀は評価される場所を選び直した~  作者: 黒川レン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/90

第64話 揺らぎを見る者

 ノクス残骸圏の観測室。


 Ωの提示した理論を検証するため、

 三文明は同時実証実験を開始した。


 対象は小規模位相波。


 観測を強めれば、揺らぎは増えるのか。


---


「観測強度、段階的に上げます」


 技師が告げる。


 未来予測装置、演算精度最大化。


 コレクティア演算核、全力稼働。


 エルダ長期予測、百年単位で展開。


---


 数値が跳ねる。


「揺らぎ総量、上昇」


---


「停止」


 レインが即座に言う。


 観測を止める。


 数秒後、数値は緩やかに低下。


---


 沈黙。


---


「観測そのものが、生成源」


 レオニスが呟く。


 予測しようとする意志。

 確定させようとする思考。


 それが揺らぎを生む。


---


「……私のせいだな」


 彼は小さく笑う。


「制度を最適化しすぎた」


---


「違う」


 レインが静かに言う。


「文明が進化しただけです」


---


 そのとき。


 観測室の隅で、

 一人の少女が立ち尽くしていた。


---


「……止めて」


 小さな声。


 全員が振り向く。


---


 少女は震えている。


 淡い灰色の瞳。


「未来が、割れる」


---


「誰だ」


 ゼルが問う。


「人類圏の感応登録者」


 セシリアが答える。


「揺らぎ感応特異体。リオナ」


---


 リオナは、空を見つめている。


「見えるの」


「何が」


 レインが膝を折り、目線を合わせる。


---


「未来が、重なってる」


 彼女の指が震える。


「今、観測したから、枝が増えた」


「止めると、減る」


---


 観測装置が停止される。


 リオナの呼吸が落ち着く。


---


「揺らぎは怖くない」


 彼女は小さく言う。


「怖いのは、固まること」


---


 レインは、静かに頷く。


 ノクスの崩壊映像と同じ言葉。


---


「君には、どう見える」


「世界が、少し傾いてる」


 彼女は床を指差す。


「でも、まだ倒れない」


---


 Σの演算が走る。


「感応データと観測数値、相関一致」


---


 サエルが低く言う。


「理論だけではない」


「体感できる」


---


 レオニスは少女を見つめる。


 制度では測れない感覚。


 だが、確かに存在する。


---


「揺らぎは」


 レインが言う。


「排除するものではない」


「でも増えすぎると」


 リオナが言う。


「未来がバラバラになる」


---


 沈黙。


---


 Ωの光が、わずかに強くなる。


《高度観測文明は揺らぎ増幅体》


《揺らぎ循環経路を確保せよ》


---


 循環。


 外縁。


---


 世界の傾きが、わずかに加速する。


 境界帯が淡く明滅する。


---


 戦えない参謀は理解する。


 揺らぎは問題ではない。


 出口がないことが問題だ。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ