表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦力外通告は妥当でした。なお国家レベルでは必須人材だった模様 ~戦えない参謀は評価される場所を選び直した~  作者: 黒川レン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/21

第15話 正しかった判断の代償

 戦況報告会から数日後。


 王都では、水面下で動きが加速していた。


「辺境の運用方式を、正式に参考事例として採用したい」

「部分的に、だがな」

「全面導入は、反発が大きい」


 中央評議院では、そんな議論が交わされていた。


 誰も、もはや成果そのものを否定しない。

 否定できないほど、数字が揃っていたからだ。


「問題は……誰が、それを支えているかだ」


 その問いに、沈黙が落ちる。


---


「やはり、レイン・アルヴェルトか」


 名前が出た瞬間、空気が一段重くなる。


「辺境伯の背後にいる参謀」

「直接戦えないが、戦争を減らす男」


 評価は、すでに定まっていた。


 だが――。


「公式に認めれば、我々の判断が誤りだったと認めることになる」

「だが、使わねば国が損をする」


 板挟み。


 結論は、先送りされた。


---


 一方、辺境領。


「正式に、国家案件の補助参謀を任せたいそうだ」


 ヴァルドの報告に、レインは目を上げた。


「肩書は?」

「“辺境伯付き特別顧問”だと」

「……曖昧ですね」

「そういうことだ」


 ヴァルドは苦笑する。


「王都なりの、妥協案だ」

「断ります」


 迷いはなかった。


「条件が整っていません」

「だろうな」


---


 同じ頃。

 王国直属部隊。


「次の大規模作戦、参加は見送りだそうだ」


 その一言で、空気が凍った。


「……なぜだ」

「理由は、“安定性不足”」


 グレインは、静かに拳を握る。


 否定できない。

 それが、何より重かった。


---


 夜。

 辺境の執務室で、レインは一人、書類を整理していた。


 評価は、もう十分だ。


 だが、選択はまだ終わっていない。


(彼らは、まだ“戻せる”と思っている)


 その認識こそが、最大の誤算だった。


---


 数日後。

 王都から、再度の打診が入る。


「条件を再検討したい」

「直接会談を――」


 レインは、静かに首を振った。


「必要ありません」

「理由を、伺っても?」


 彼は、少し考えてから答えた。


「追放は、正しい判断でした」

「……」


「少なくとも、“あの時点”では」


 そして、続ける。


「ただし――」


 一拍置いて。


「その判断は、未来まで考慮していなかった」


---


 その報告を受けた評議院で、

 誰かが、ぽつりと呟いた。


「……もう、選ばれないのか」

「違う」


 別の声が返す。


「**最初から、選ばれる側ではなかっただけだ**」


---


 辺境の夜は、静かだった。


 レインは、窓の外を眺めながら思う。


 自分は、何も奪っていない。

 何も壊していない。


 ただ――

 **評価される場所を、選び直しただけだ。**


 それが、どれほどの代償を残したかを、

 王都が本当に理解するのは――

 まだ、少し先の話だった。



本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ