表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦力外通告は妥当でした。なお国家レベルでは必須人材だった模様 ~戦えない参謀は評価される場所を選び直した~  作者: 黒川レン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/24

第13話 再評価という名の躊躇

 王都、中央評議院。


 長机を囲む貴族たちの表情は、いつになく重かった。


「被害が減っている」

「例年より、明らかにだ」


 机の上には、最新の戦況報告書が並んでいる。


 数字は、正直だった。


「主力部隊の戦果では説明がつかない」

「だが、辺境部隊だけでこの結果は……」


 誰かが、言い淀む。


「……いや。思い当たる節はある」


 そう切り出したのは、年配の貴族だった。


「レイン・アルヴェルトだ」

「……追放した参謀か」

「彼がいた頃、被害は少なかった」


 空気が、わずかに揺れた。


---


「だが、彼は戦えない」


 すぐに反論が出る。


「個人戦闘力は最低評価」

「今さら呼び戻せば、判断ミスを認めることになる」


 沈黙。


 誰も、“間違っていた”とは言わない。


 言えない。


---


「一度、再評価という形で……」


 控えめな提案が出る。


「正式復帰ではなく、助言役として」

「……それなら、体裁は保てる」


 だが、別の声が被さった。


「しかし、それで彼は戻るのか?」

「……」


 答えは、誰の胸にもあった。


 戻らない。


 評価基準が変わらない限り。


---


「では、代替案は?」


 議長が問いかける。


「新しい参謀を立てる」

「育成枠を増やす」

「分析官を増員する」


 どれも、時間がかかる。


 そして、どれも――

 **すでに“失ったもの”の代わりにはならない。**


---


 その頃、王国直属部隊。


「……また、任務が軽いな」


 グレインは、違和感を覚えていた。


 以前なら、真っ先に投入されていた作戦に、

 今回は呼ばれていない。


「評価が下がっている、ということか」

「……否定できないな」


 部下たちも、気づき始めていた。


---


 数日後。

 王都から、辺境伯に打診が入る。


「辺境の安定運用について、意見を伺いたい」

「視察か?」

「非公式で」


 ヴァルドは、短く笑った。


「……来たな」


---


 同時刻。

 レインは、報告書に目を通していた。


 王都からの、間接的な問い合わせ。


「再評価、ですか」


 ヴァルドの視線が向く。


「どうする?」

「応じません」


 即答だった。


「条件が曖昧すぎます」

「だろうな」


---


 王都では、まだ気づいていない。


 彼らが議論しているのは、

 **“取り戻せるかどうか”**ではなく、

 **“認められるかどうか”**だということに。


 その差が、

 すでに致命的であることにも。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ