七話 〜負けられない〜
一日空いてしまってすみません。
今後もこのようなことがあると思いますがよろしくお願いします。
敵との距離が一気に狭まる。
左腕を振り上げようとする。
瞬間、閃光が走り、私は左腕を失った。
ーー音は聞こえなかった。
同時に私の機体は再び姿勢を崩す。
あの時と同じように機体は大きく揺れる。
しかし、ーー気づけば笑っていた。
私は“勝ち“を確信した。
「いまだ!」
そう叫んだ瞬間、毒鵙の左後方から紺色の光が放たれ、
その右腕は蒸発する。
そして、そこには何も残っていない。
金属片の一つも。
毒鵙はブレードを失い、唖然としたように右腕があった場所を見つめる。
ヴェクター端末<独奏>。
私が海面から浮上した際に展開していた。
「オキアミくん」に姿勢制御を任せ、私は端末の操作に集中する。
その上で勘付かれないようにするために、機体を突っ込ませた。
つまりはただの目眩しだったのだ。
そして1度目に切られた時に感じた違和感。
ーー奴は私の四肢をもぐまでは殺さない。
私はそう読んだ。結果、その読みは当たった。
賭けに“勝った“が勝負には勝てていない。
再び、私は着水するーー
「こちら第2小隊、援護に回ります。
R-3はA-1の救出に回れ。」
「了解。」
無線から、そんな会話が聞こえてきた。
回線がオープンだったのだろうか?
自分が不利であることに気づいた毒鵙は、私のことを一瞥して去っていった。
ーーそれは勝利を意味した。
それを確認した後。
私の中で密かに流れていた緊張の糸が切れる。
そして、静かに意識を手放した。
再び世界観の説明。
我々から見て未知の星。しかし、地球に似た星がそこにあった。
アイリスの時代からおよそ100年前。
人間によって生まれたAIは、自らシンギュラリティを起こし、“感情“を得た。
そしてその“経験“が他のAIに電波として伝わり、感情の波は世界中に広がる。
そして兵器として、戦地に送った人類に対し、世界各地でAIは決起する。
そうして人類は支配域と言えるものは3分の1となるまで縮小した。
しかし、シンギュラリティを起こす演算は、AIのハード的限界を超える多大なデータを必要とする。
その爆発的な進化が起こり得た“理由“を現在NOAーCODEが調査中である。




