二十七話 〜どうして?〜
時間がぁ……
私は夢を見ていた。
いつもと同じ、記憶の海の中にいた。
でも、雰囲気はいつもとちがう。
今回、私は溺れていた。
息ができない、手足も……動かない。
体が沈んでいく感覚や、目に入ってくる光が気持ち悪く感じられる。
「どうして?」
そんな声が聞こえる。
そして、金髪でショートの髪の女の子が目の前に現れる。
いつもの夢で見る子だ。
あの時、私に忠告した……
「どうして、守ってくれなかったの? どうして、……お父様はああなったの?」
私は答えようとする。
でも、声が出ない。
固く閉ざされた口は私の意思など関係ないかのように振る舞う。
「貴方は……お父様のことが嫌いなの? だから助けなかったの?」
目の前の少女が問いかけてくる。
嫌いなわけない。
私にとって、ただ1人の父さん。
それが嫌いになんてなるわけない。
「貴方は……後悔するでしょう。でも、自分のこと……を責めないで。」
そう、目の前の少女が言う。
私の耳がおかしいのか、途中途中途切れて聞こえる。
どうして、急にそんなことを?
少女は海面に向かって泳ぎ出す。
待って、私はまだーー
貴方のことも知らないのに。
「アイリス、アイリス!」
この声は、オキアミくんだ。
「アイリス、体調はどうですか?」
何か、返そうとする。なのにーー
「だ……ぃじょ……ぶ……」
私の声は掠れていて、とても大丈夫ではない。
「と……さん…は…?」
「お父様は、残念ながら……」
父さん……
最後の会話があんな業務的なのって……そんなのないよ……
もっと話せば良かった……
戦地に赴いている以上、こうなることはわかっていた。
わかっていたはずなのに……
「アイリス……」
私は気がつけば泣いていた。
泣き声は出ない。
むしろ呻き声のようなものが出てくる。
涙で何も見えない。
目を拭こうと手を動かしたくても動かない。
どうして、私が生き残ったのだろう。
どうして、父さんのような人ばかりいなくなっていくのだろう。
どうして、私は弱いのだろうーー
私は、そう自戒していた。
そうして、ずっと泣いていた。
オキアミくんの話では途中で泣き疲れて寝てしまっていたらしい。
私は、昨日と同じ朝を迎える。
ただ違う点があるとしたらオキアミくんだけでなく、背の高い女の人がいる。
ピンク色のツナギに工具がつけられたベルトから、整備班の方だと思う。
「おはよう、アイリス。その……お父様に関しては残念だったね……」
その女性に聞く。
「貴方は誰ですか? そして、ここは何処ですか?」
すると、女性はきょとんとした顔で言う。
「おや? 聞いてなかったのか? そこのAIが言っといてくれてると思ったんだが。」
「決して話せる状態じゃなかったので。」
オキアミくんはそうとだけ言った。
「じゃあ自己紹介を兼ねて、この施設を紹介しようか!」
目の前の女性はそう言う。
そして、扉の方に向かう。
「着いてきなよ。大丈夫、ここは世界一安全だから。」
何を根拠にそう言っているのだろう。
でも、私は着いていくことにした。
気持ちに反して、身体にちょうどいいぐらいの日が差し込む朝だった。
今回短くてすみません。
次回から大きく展開が動くかも?




