二十六話 〜奪われたもの〜
すみません。
これから書きたいものがあるので投稿を2日に1回から3日に一回に変更します。
「2時方呼応より高速で近づいてくる機影。」
オキアミくんが叫ぶ。
「来ます!!」
その時、遠くの味方機が爆発した。
本当に一瞬の出来事だった。
「なぁ、ボス。あのいかにも自信があるって感じの機体、俺がやっちゃっていいか?」
「あぁ、構わない。むしろ、その方が舟に集中できそうだ。」
そんな通信が聞こえてくる。
その声質は、どちらも若い男性って感じ。
「敵、ネームド“夜鷹“及び“鴉羽“を確認。どちらとも危険指定Sですが、アイリス、どう判断しますか?」
オキアミくんが尋ねてきた。
Sかぁ……
そんなもの関係ない。
迎撃しなければ、私たちが殺されるのだから!
私は鴉羽と呼ばれるネームドに飛びかかった。
ブレードで切り掛かる。
鴉羽の機体をよくみた。
黒くて丸い装甲はまるで……
「お前が妹を殺したのか?」
目の前の機体がそう言った。
瞬間、とんでもない衝撃が襲う。
多分蹴られたのだろう。
私は慌てて姿勢を立て直す。
「やっぱりお前みたいだね。ここにいるどの人間よりも姿勢制御が早い。」
そう静かに呟かれる。
その黒い機体が私のことを見下している。
「よくも……よくも妹を、“鶯“を殺したなぁ!」
鴉羽は私に向かって切り掛かってくる。
私はブレードで斬撃を受け止めた。
光の刀身が重なり合って、バチバチと火花が舞う。
「あいつは! 誰よりも優しかったんだああぁぁああ!」
相手は胴体から機銃を放ってくる。
それを装甲で受け止める。
その白い装甲は、ほとんど傷つかない。
「あいつはお前ら人間も“敵“じゃなければ襲わなかった! それなのにお前はあいつを殺した!」
鴉羽がブースターをより強く噴かす。
私の機体は出力負けする。
敵じゃなければ?
民間人を襲って来なかったと言うこと?
「お前は大人しくあいつに殺されればよかったんだ!」
私の機体のブレードが押し負けた。
敵のブレードは右にそれ、私が持つ狐火を真っ二つにした。
私は鴉羽から距離を取った。
まずい、このままじゃ負ける。
冷静に分析を試みる。
「こちらは新しい機体に慣れきっていない。向こうは何十年も戦ってきた猛者。差は歴然ですね。」
オキアミくんがそういった。
うん……まずどうしようか。
艦の方から連絡が入る。
「もうすぐ本部から援軍が来る! それまで耐えるんだ!」
鴉羽がまた襲いかかってくる。
私は狐火の予備の弾倉を掴み、投げつけた。
また足元で誘爆でもしたら……
うん、持っておくのはリスクでしかない。
「そんなもの、効くわけもないだろう!」
敵機はブレードで真っ二つに切り裂いた。
それは爆発したのに鴉羽の装甲には傷もつかない。
もう一度、“爆弾“を投げつける。
鴉羽はそれを切り裂いた。
私と敵の距離は訳10mだった。
瞬間、爆弾が炸裂した。
私はそれをまともに喰らわないように、さらに距離をとった。
とてつもない衝撃が鴉羽を襲う。
その衝撃はこっちにまで届いてくる。
「バランサーが狂ったか!? くそっ、覚えておけ!」
そんなことを言いながら鴉羽は海の中に堕ちていった。
「WAT -12」私の十八番こと音爆弾を至近距離でまともに喰らったのだ。
そりゃバランサーの一つや二つは狂うだろう。
さて、艦はどうなって……
「エンジンブロックがやられた!? ……これ以上の航海は不可と判断! 艦を放棄する!」
レグルスの後方から火が吹き出している。
そして、夜鷹が艦橋に銃口を向けている。
「待って……!!」
私は機体のブースターを限界まで吹かして、夜鷹に近づいていく。
50m……40m……25m……13m……
あともう少しで辿り着く、その時だった。
私の機体は少しずつ落ちていっていた。
「アテナのエンジンがオーバーヒートしました。これ以上飛べません!」
オキアミくんが声を上げる。
私は手を伸ばす。
父さんのいる艦橋に向けて。
「どうか……届いて……!」
その時、夜鷹の弾丸が放たれた。
艦橋に無数の穴が開く。
「父さん……!」
私は叫んだ。
のに通信からは何も返ってこない。
アテナは近くの陸地に落ちていった。
ドォンとすごい音を立てて着陸する。
私はその衝撃で意識を失った。




