二十一話 〜特訓〜
全然量が書けねぇ……
私が撃墜されて起きた次の日、私は訓練室にきた。
シミュレータを受けるためとはいえ気が乗らないなぁ……
定期的に掃除されるわけじゃないから綺麗じゃないし。
今日の朝、オキアミくんに言われたのは、
「大丈夫です。鶯の戦闘パターンの分析から、"私"がアイリスの癖に合わせて作ったので安心してください!」
とのこと。
本当に大丈夫かな……
シミュレータのコックピットに乗り込む。
座席は固いし、作りが古い。
作りが古いとはいえ、モニターは前と左右の3面なのは変わりない。
操縦桿もさほど変わりないみたいだし、そこら辺は大丈夫だろう。
データが入れられた専用のROMを差し込み、起動する。
シミュレータはカタパルトで射出されるところから始まる。
武装としてはいつもの狐火、ブレードしか使えないらしい。
今回は森林を想定しているみたいで、木々の間に着地する。
着地した瞬間に弾丸が放たれる。
ブースターを噴かし、無理やり回避する。
それで体制を崩したところで、また爆発音が響く。
右肩の装甲が吹っ飛んだ。
画面端に“WARNING“の文字。
体制を立て直す。
どうしようか。
こちらを狙っているのは、あの時の戦闘狂じゃない。
狡猾なハンター、これが本当の鶯?
考えている間にまた弾丸が飛んでき……
瞬間、弾丸から噴き出してくるガス。
機体が凍りつき、コックピットが貫かれる。
“GAME OVER“と言う文字が眼前に突きつけられる。
「アイリス、どうでしたか?」
「速攻負けたけど、本当にガス弾なんて使われるの?」
「はい、過去の戦闘履歴を元に作っているので間違えないです。もしかして、そんな序盤で負けたんですか?」
はっきりと言われる。
うん……うざい……
私の沸点が低いのかもしれないけど、モチベーション下がるなぁ……
リスタートする。
今度は近接戦で関節の破損による敗北。
7回目、自分から敵を発見することに成功したけど、武装を破壊され戦闘継続不能。
19回目、スナイパーライフルを破壊したけど、スラスターを翼の小銃で破壊される。
53回目、初めて弾丸を完全に見切ることに成功したけど、時間がかかりすぎて敗北。
81回目、遠くから狐火による射撃でダメージをあたえるけど撤退される。
次第に相手の戦闘パターンに慣れ、ダメージを受けることは減った。
だけれど、決定打を与えられないまま数日経っていた。
「アイリス、アイリス!おきてください!」
私は目を覚ます。
「な…なぁに……」
「何じゃないですよ。お父様がお呼びです。」
「えぇ……とぉさん……?」
「寝ぼけてないで、早く行ってください!!」
「はぁい……」
着替えなりなんなりして艦長室に入る。
「アイリス・アレシス、来ました……」
まぁ、多分重要な話なんだろうな。
艦長室に呼び出すなんて。
そう思いながらぼんやりしていた。
父さんが振り返って言う。
「貴様の……いや、どうしたんだその髪!」
「えっ? あっ、急いでて解く時間も……」
「アイリスお前、流石にだらしなさすぎるぞ。」
そう言って鏡を見せられる。
うん……何これ。
昨日まで髪を纏めていた輪ゴムはすごく絡まっている。
その髪はボサボサどころか、逆にカールをかけたようになっている。
「ま、まぁいい。それで本題だが。」
一呼吸おいて言う。
「今から格納庫に行く。ついてこい。」
道中、父さんからは何も声をかけられない。
まぁそれならと、私は鏡と櫛で頭を整えていた。
「着いたな。」
父さんの言葉に足を止める。
辺りは真っ暗。
ここに何しにきたんだろ。
「私含めた技術班が突貫工事で完成させたのがこれだ!」
そう宣言される。
いや、艦長で技術班って……
電灯がつけられる。
そうして目の前にはライトバグとは似て非なる機体が立っている。
「お前のライトバグに今度の“鶯“戦仕様に全面改修を施した!その名も"ライトビートル"!」
父さんの語りがまた始まる。
経緯から始まるからめんどくさい……
にしても昆虫の改修型だから甲虫か。
安直だなぁ……
でも悪い気はしない。
なんの根拠もないのに、次の戦いは勝てるような気がしてきた。
目の前の機体のカメラがキラリと光った。
ある“整備士“のお話。
「マジかよ!?」
ドロス・ベイリー。
アイリスの機体の担当をしている俺は、思わず叫びを上げた。
「あいつの機体の改修をする!?それもたった6日で!?」
機体の改修なんて、普通は1ヶ月かけるもの。
それを6日でこなすなんて整備士殺しもいいところ。
「大丈夫だ。改修すると言っても既存のパーツを貼り付けて、関節を強化するだけでいい。」
艦長が言う。
「それでも10日はー」
「おそらく時間がない。多分、8日あればまた襲撃しにくるだろう。」
「なんでそんなこと言えるんだ?」
「勘だ。だけど、あいつを機体に慣らしておく必要がある。」
とか言って、本当は娘を死なせたくないだけだろうに。
……本当に、親バカだなぁ。
「しょうがない。今回は折れてやるよ。」
暗い格納庫に向かう。
この後、一睡もできないであろうことは、整備士一同、もう悟っていた……




