二十話 〜リザルト〜
二十一話全然かけてない。
……どうしよう。
私は目を覚ました。
目の前には真っ白な壁、いや天井が見える。
私は体を起こす。
隣にはオキアミくん。
「お目覚めですか? アイリス。」
「うん……」
「貴方が撃墜されて、すぐに鶯率いるAI勢力は撤退していきました。
おそらく補給しに戻ったのだろうと思われます。
もしくは貴方を殺すことだけが目的だったか……」
「……わかった。」
少なくとも私はあいつらの仇だもんね。
でも、その仇を勧誘する気持ちはわからないけど。
私は今いるベットから出ようとした。
「痛っっっ!!」
そうだった、出撃する前に足を攣ったんだっけ?
いやでも普通すぐ治る……
「そういえばアイリス。貴方、撃墜された時に足打ってましたよ。」
なるほど、悪化したと…….
「なので今日1日は動かないほうが良いかと。」
「わかった。ありがとうね。」
そう言って、また横になった。
「野菜ジュース飲みますか?」
「飲む。」
「そこのポットにありますよ。」
そうしてコップに入れたものを口に含んで……
「にがっ! えっ、苦っ!」
「そう言えば、お父様が置いていったものですが……」
はぁ……多分青汁を間違えて持ってきたんだろう。
お父さん好きだから、青汁。
話を戻しますねと、オキアミくんが言う。
「A -5は部品不足で整備不可。現在運用できるのはA -1のみです。また、味方も多大なダメージを受けており、2、3機運用できれば良いほうだと思われます。」
そっか。そうかぁ……
「戦艦へのダメージは主砲、機関砲の破壊のみに収まっています。揺れの原因はこの時に発生した爆発によるものでしょう。本部への帰還に支障はないかと。」
「でも、次来たらどうするの?まさか、それを考えてないことはないよね?」
「現在、破壊箇所の修復を行っています。そして、貴方のA -1の改修も。」
私の機体を?
「詳しいことは、後日連絡されるようです。」
「じゃあ、その間私は何したら…」
いいのと聞く前にオキアミくんは答える。
「対鶯戦のシュミレーターをすることになっています。本艦の所在がバレた以上仕方ないかと。」
私はため息をつく。
ボロ負けした。
何もできないまま堕とされた。
抵抗することすらできなかった!
そもそも、あの時に左腕のトラブルがなければ!
でもなんで?
左腕フレームの破損はわかる。
オキアミくんの言う通り負荷がかかっていたと言うことで納得しよう。
でもなんで今なんだ?
この前の護衛の時にはもっと無茶な動きをしていたはず。
今までの戦いでの蓄積か?
でも、そこら辺は整備員さんがしっかり診てくれているはず。
「オキアミくん。」
「はい、なんでしょう。」
「なんか仕掛けた?」
そう言った。
冗談だけどね?
「仕掛けるわけないじゃないですか!? どうしてそんな疑いを?」
慌てた様子で言う。
「だって、鶯との交渉の時に黙りこくってたし。」
「あれは私だけでなくアイリスも対象にしていたことに対する回答をしていたんです!! 私は貴方を裏切るつもりはありませんが!?」
そう騒いでいる。
しかし、オキアミくんもだいぶ喋り方が人間らしくなったな……
前よりこちらに反抗的になったと言うか……
「そんな貴方もこっちを叱ってばかりじゃないですか!! 少しは大人になってください!!」
……私のライフに50のダメージ。
「結構火力高くない? どこかで心理学でも学んできたの?」
「最近AI達の解析をしてますからね。」
「……解析? そんなことしてたの?」
「アイリスには言ってませんでしたが、私の仕事は大きく分けて二つあります。」
私は息を飲み込む。
「貴方の補助とシンギュラリティへの到達です。」
「シンギュラリティって……どうして?」
はぁ、とため息をつかれる……
ため息をつかれる!?
「アイリスが知らないのも仕方ないかもしれませんね。そんな情報、パイロットには必要ないですから。」
「いいですか、シンギュラリティを起こしたAIには大きく分けて2種類、α型とΩ型があります。」
「ナニソレ……」
「α型は人間と協調するAI。昔の警官ロボットとか、医療支援型のものなどですね。Ω型は私達が常日頃戦っている“あれら“のことです。」
そうだったんだ……
「α型は個体数も少なく、Ω型以上に覚醒条件が不明瞭なので、私がその実験を行なっているわけです。」
へぇ……
「じゃあ進捗はどうなの?」
「何もわかりませんね。」
ダメでしょそれ……
「しかし、共通点は見つかっています。α型のコードに共通して入っている言葉があります。」
こちらが聞き返す暇もなく。
「"Aigis -Nymphaea protect me.We protect you."」
……アイギスニンファエアって何!?
でも、どこかで聞いたことがあるような気も?
うーん、わからない。
「それも、α型の皆さんに聞いてみても誰も知らないんですよね。アイギスニンファエアというものを。」
「……怖!自分の知らない名前を植え付けられるのとか普通に嫌なんだけど。」
少し寒気がした気がする。
「AIでも、解析するのって意外と大変なんだね……」
主に精神的な意味で……
「ふっ、まぁそうですね。」
オキアミくんは笑った。
身体はないのに、本当に笑顔でいるように感じた。
いきなり謎をぶっ込んですみません……
<おまけ>
ガルヴィス・アレシス。
アイリスの父である彼は今やっと仕事を終えた。
アイリスのお見舞いをして数時間した今、冷蔵庫からポットを取り出して……
「あっま! えっ、甘!
……野菜ジュースだな、これ。
と言うことはアイリスの方に青汁が?」
そこで彼の背筋が伸びる。
「また今度怒られるな、これ……」
そう言って彼は天を仰いだ。
暗くなった窓の外で、海猫がからかうように笑っていた。




