十四話 〜海上試験〜
今まで機体のデザインをちゃんと決めていなかったので、これから決めていきます。
とりあえず、決まったらXで報告しますね。
機体も修復してもらって、出撃許可も下りた。
今回は、そこまで危険ではないらしい。
なんでも、新型ホバーユニットの試験とか?
本当に完成するなら、それは革命だと思う。
だって、今までは推力で無理矢理空を飛んでいただけ。
ホバーが実用化するなら、使うエネルギーも減るし、姿勢制御も容易になる。
......空飛ぶのって3次元的な動きを求められるからなぁ......
訓練する動きが2次元に限定できるなら、海上での戦闘は楽になると思う。
このホバーユニットは主に脚に取り付けられる。
装着自体は、艦の外で行われた。
......多分、降下させることを想定してないのだと思う。
着水時の衝撃や、巻き込んだ水滴により、ユニットが故障する可能性を考慮したらしょうがないかな。
だからこそ、今まで実用化されなかったんだから。
取り付けている間、オキアミくんが話しかけてくる。
いつものような感情的な言い回しではない。
「このホバーユニットは、海上、陸上両対応ですが、陸上でのテストはR小隊が行うみたいです。
アイリスは海上での試験に専念してと...」
そこで、話すのをやめた。
どうしてだろう......
「アイリスは怖くない?」
......何が?
「お父様がいなくなるのが、怖くないの?」
......いなくなるって、ずっと戦艦にいるのに?
「このままじゃお父様を失うよ。」
あなたは誰?
「だから、お父様を守って……」
何を言ってーー
「アイリス、聞いているのですか。」
ハッとする。
うとうとしていたみたい...だけど私には不可解だった。
“夢“というには鮮明だった。
そして、私にはどこか懐かしい声に聞こえた。
......本当に、誰だったのだろう。
「ホバーユニット、取り付け完了。いつでも出撃できます!」
担当の整備士さんが、そう叫ぶ。
......考え込んでいる間に、装着が完了したみたい。
「わかりました‼︎」
そう叫び返す。
「アイリス、A -1、でます。」
起動した瞬間、足元に力場が発生する。
機体は、スラスターの噴射に伴い静かに滑っていく。
私にとって、その動きは新鮮で......
「きゃっ。」
急停止をしようとして、体勢を崩しかける。
そして、私は情けない声を出してしまっていた。
なんとか持ち直した私は安堵した。
だけど、まだ数メートルしか進めていない。
……さっきは楽とか言ったけれど、前言撤回しないと。
このテストは、気が遠くなるほど難しい予感がする。
この世界でのホバーユニット。
ユニットから放たれたジェット噴射により浮かび上がり、機体本体のブースターやスラスターで移動する。
このユニットの利点として、飛ばなくて良い分の燃料が浮くこと、ユニット本体も省エネ仕様になっていることで戦闘継続能力を高められること。
ただし、これはスペックのみであり、問題点は色々と見つかっている。
なので、海岸近くの基地でのみの運用が考えられている。




