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金の獅子と銀の竜  作者: じゃっすん
金眼回収の旅
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怪しい国

 あれから無事、最後の金眼を回収したレオノールは離宮に帰ってきていた。

 犯人は現在調査中で、ここ1、2年で辞めていった者を中心に調べているそうだ。まあ、犯人に何の興味のないアークバルトはレオノールと部屋でイチャイチャ――本人の主観――していたのだか、そこへ闖入者が現れた。


「イーストエンドで最近勢力を伸ばしている宗教国家が怪しいと睨んでいる」


「何故それを俺に言うんだよ」


 真面目な表情のロイにアークバルトは面倒くさそうに応じる。そもそもデュオ・アムーレはイーストエンドと最も離れた国だ。ハッキリ言って関係がない。


「その宗教が厄介なのだ。普人族こそ神に創られた存在で、それ以外は紛い物だと謳っている」


「何だそりゃ。馬鹿馬鹿しい」


「それが馬鹿にもできんのだ。ドワーフの国家と獣人の国家が既に落とされている」


「トライランドか?」


 アークバルトが口にしたのはガザールに最も近い獣人族の国家になる。こちらもガザールと同様に、ウェセント大陸を繋ぐ玄関口として栄えている。確か現王妃はロイの姉で、ガザールとは近しい間柄だった筈だ。


「いや、トライランドは無事だ。イーストエンドの中央付近の国になる。例の宗教国家に隣接している国でな、聖戦だと言って攻め込まれたようだ」


「それで?」


「普人族以外の種族は奴隷に落とされたと聞いた。それとウェセント大陸で広く信仰されている金獅子教を目の敵にしているともな」


「そこで出てくんのかよ」


 関わりのある単語が出てきて、嫌そうに顔をしかめたアークバルトは癒しを求めてレオノールのホッペをぷにぷにする。


「だがなぁ。どちらにしろイーストエンドの話だろ?その宗教国家……」


「神聖王国オフィーリア」


「オフィーリアが何故ガザールを狙うんだ?」


 イーストエンド全域で信仰されているのならともかく、聞けばまだ中央付近で勢力を伸ばしている最中だという。トライランドを飛び越えてガザールに手を出す意味が分からない。


「飛空艇が原因ではないかと思っている。我が国が運航しているもの以外に、イーストエンドに飛空艇はないからな」


 これは技術ではなくエネルギーの問題だ。Sランクの魔核をほいほい提供してくれる国などデュオ・アムーレ以外にない。

 つまりガザールはイーストエンドの制空権を握ろうと思えば出来るのだ。そしてトライランドの友好国でもある。オフィーリアにしてみれば、将来的には確実に邪魔になる国だろう。

 

「成程な。飛空艇を潰し、帝都を機能不全にしておけば当分の間はガザールを気にする必要はねぇが……タイミングが早すぎる」


 トライランドを落とすにしても、まだ間に何カ国も国がある。そもそもオフィーリアはトライランドに宣戦布告すらしてない状況だ。


「破滅石がいつ爆発するか分からないからではないのか。あわよくば、と言うヤツだ」


「確かにあれは、人間がどうこう出来るモノじゃねぇしな」


「今はそういう可能性がある、とだけ思ってもらえればそれでいい。こっちもまだ調査中だ」


 相手が飛空艇を欲っするならば、デュオ・アムーレにもいずれちょっかいを掛けて来るだろう。


「もしデュオ・アムーレに手を出すのなら……そん時は相手になってやるさ」


 気軽にそう言い放つアークバルトに、ロイは羨ましそうな顔をする。

 デュオ・アムーレには巨大な結界が張ってあり、他国の軍隊は金獅子の許可がなければ入れない。つまり防衛をする必要がないのだ。そのため金獅子自ら出陣し、敵対国を完膚なきまでに叩き潰す逸話が今でも多く残っている。ロイも歴史で習った。絶対に敵対してはならないと、教師に口を酸っぱくして言われたものだ。


「破滅石に関する報告は終いだが、折り入ってライオネル殿下……というか、レオノールに頼みがある」


「わたしに?」


「断る」


 一瞬の迷いもなく断ったアークバルトの口に蔓がグルグルと巻き付いた。


「はなし なに?」


 何事もなく続けるレオノールに、ロイは力関係を垣間見た。


「私には6人子どもがいてな、その内の3男なのだが紹介させてはくれまいか?」


「どうして?」


 アークバルトがパーティーやら面倒くさい紹介やらは一切拒絶しているために、レオノールは今までロイの護衛としか顔を合わせていない。更に子ども全員ではなく3男だけ。不思議に思って当然だろう。


「その子はシルヴァと言うんだが、先祖返りの子でな。周囲と上手く馴染めてないのだ。レオノールと同い年なのだが、どうだろうか?」


「しっぽと みみ ある?」


「ハハハッ!シルヴァは全身フワフワだぞ」


「あう」


 間髪いれず答えたレオノールの目はギラリ、と光を放った。


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