ツミキ
積み木で遊んだ。
他のみんなが一生懸命積んで、積んで、積んで。いーっぱい積んで積まれたその積み木を、私はジェンガみたいに、引いて、引いて、引いて。中腹から根本の方に至るまで、色々な箇所の積み木を抜いてみた。
いつか倒れる。
いつか倒れてしまう。
それがスリルで、私は積み木にハマった。
どんどん抜いて、抜いて、無駄に見えるすべてを引き抜いて見て、それをするたびに「おぉ……!」と言ってくれる人がいて、それは親とか友達とか先生とか、気持ち良かった。
だから、いつしかそれは、私を狂わせた。
その声で褒められるのが嬉しくて、もっともっと、と言ってくれるその声が嬉しくて、いつしかそれは、私の目的を変えてしまったのだ。
積み木で遊びたいのが目的ではなく、その声を聞くために、私は積み木で遊ぶ。それは、手段になってしまったのだ。ある意味でそれは、成り下がってしまったのだ。
抜かなきゃ褒められない。
抜かないと、「あぁ……」なんて落胆の声が聞こえる。
やめて。
落ち込まないで。
落胆しないで。
私に失望しないで。
私は一つも、一ミリも変わってないから。
――ほら!
今日もまた、一つの積み木を抜いてあげたよ?
見捨てないで。
グラグラと、積み木が崩れそうになる。
土台が不安定になって、積み木の在り方も変わってしまって。
ああ、かなしい、かなしいな。
いつか崩れるのに、私は止まれない。
数カ月前に書いた作品です。自分でもなにを意味して書いたのかよく覚えていません。ただ、この作品を基とする短編を書こうとは思っているので、そのときハッキリする可能性もあります