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【商業化進行中☆】拝啓、元婚約者様。そろそろ断罪しますが、覚悟はよろしくて?  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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24/25

24:ただのエリーザ。

 



 いくら凄かろうと、人々は引く。

 本人が高飛車かつ傲慢であればあるほどに。


「でも、不思議なんですよね」

「何がよ」

「貴女の予言めいた言葉の数々って、特定の男性のことばかりで」

「だから、何よ?」

「人々が知りたいのは、未来の天災や国勢ではなくて?」

「…………」


 そう言うと、エリーザ嬢は不貞腐れたような顔に。そして、客席の方々はうんうんと頷きました。


「確かに、貴女の予言なり予知のような言葉は凄い。でも、それで未来を変えることが出来たのでは?」

「は?」

「騎士団長が遠征に行く前に、伝えようとしましたか? ジーン様やカルロ様に体調管理について何か伝えようとしましたか?」

「何でそんなことしなきゃいけないのよ」


 エリーザ嬢は訳が分からないといった雰囲気で、言葉を続けました。


「シナリオから外れたら意味がないじゃない」


 この言葉が欲しかった。

 この言葉は、彼女が平民の頃に良く言っていたらしいのですが、実際にこの場で発言してもらえて助かりました。

 言質は、あるのとないのとでは大違いですから。

 

「ここに連れてこられたとき、色々と叫ばれていましたね」


 あんたのせいで、予定が狂った!

 ちょい役のくせに、なんでざまぁされてないのよ!

 地下牢で死亡エンドのはずでしょ?

 やっとハピエンルートになったと思ったのに!


 これらの発言からも分かるのですが、彼女はきっとこの世界を物語のように見ているのだと思います。

 もしかしたら、この世界が何処か別の世界では、物語だったのかもしれません。

 ただし、それはそれ。


「未来を知っていて、不幸になる人がいると分かっている。それなのに、黙っていて、むしろそうなる方がいいと言う人を、誰が信用するのでしょう? 誰が、信頼するのでしょう?」

「――――っ」


 ロラン様が息を呑んでこちらに視線を向けてきました。短絡的な方だとは思っていましたが、いまやっと気付かれたのでしょうか?


「未来を変えれば、何かしらの反動で不幸になる人が出るかもしれない」

「そう! それよ。それなのよ! あたしは、それを――――」

「であるならば、未来など語り、他人に聞かせる意味はないでしょう?」

「…………っ」

「目蓋を閉じ、耳を塞ぎ、口を噤んでいればよかった。でも、貴女はそうはしなかった。根底にあるのは、自己愛のみだから」


 まるで、恋愛小説の流れをなぞり、ヒーローと恋に落ちたがっている読者。

 キラキラとした宝石を見て、綺麗だから欲しいの! とワガママを言い続ける子ども。

 

「ふん。だから何なのよ! それの何が悪いわけ?」

「特に、何も悪いことはないですよ。私は貴女の考えが嫌いだ、と述べただけですので」


 にっこりと笑ってそう言うと、エリーザ嬢の顔が怒りに染まっていきました。真っ赤でプルプルと震えて、感情のコントロールが大変そうです。


「問題なのは、その考え方と、起こした行動ですね」

「は?」

「モゼッティ男爵家に引き取られた形にはなったものの、そもそも戸籍も何も登録されていませんし、書面も交わされてはいないので、貴女はただのエリーザ。カルメン・バーニの娘、というだけなのですよ?」

「だから?」


 ――――あらまぁ。


 まさかのまさか、そんなにも理解力が乏しくて、大丈夫なのでしょうか? 隣でぽかんとしているロラン様も含め。




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