20:断罪劇の開始。
いつもより早めに目が覚めました。
気が昂っているのでしょう。
質素ではあるものの清潔感と威厳を兼ね備えたドレスはと考えて、深みのある紅色のドレスに決めました。
リタに髪を結ってもらいながら、今日の流れを再確認。何が起こってもいいように手配は済ませています。
――――さぁ、やるわよ。
王城の大広間は、今日は特別仕様になっています。
扇状に客席を設け、扇の持ち手に相当する場所に国王陛下とノルベルト様と私の席が置いてあります。
陛下まで参加されるとは思ってもおらず、急きょ王座を移動させることに。
「いやぁ、人がいっぱいだねぇ」
新年の夜会の日に来られていた方々を中心に、影の方々に噂を流してもらっていました。『なにやらあの日の真相が詳らかになるらしい』と。
それに加え、今回のことで怒りに怒りまくっているカッサンドラ様やお得意様たちにも。
閲覧自由の断罪劇が行われると聞けば、みな来るだろうさ。とノルベルト様が楽しそうに笑っています。
「お、来たようだぞ」
正面入口が異様に騒がしくなりました。
キーキーと叫ぶ男女の声が聞こえます。ロラン様の声って、あんなに耳障りだったでしょうか?
「っ、なによ、これ!」
大広間を見てエリーザ嬢が叫びました。こんなのはシナリオになかった、と。
手を後ろで拘束され、両脇を騎士に抱えられている姿を見て、抵抗もしくは逃げようとしたのだと理解しました。そして、先ほどの『シナリオ』という言葉。これが彼女の正体を暴く大切なキーワードでもあります。
「なんでアンタが偉そうにそこにいるのよ!」
まるでこちらに噛みつこうとしているかのように、エリーザ嬢が前のめりになりながら叫んでいました。
その隣でロラン様は蔑むような表情で、ノルベルト様に話しかけてきました。
「お労しや。洗脳されたままなのですね」
どちらかといえばロラン様のほうがそうとしか見えないのですが。いえ、本当にお労しいといいますか、残念極まりないといいますか。
「黙れ。そこに座れ」
「なぜ我々が裁かれなければならないのですか!」
「黙れと言ったが?」
ノルベルト様の怒りを含んだ一言に、ロラン様はこれ以上の発言は不利だと察したようで、大人しくなりました。エリーザ嬢はその反対で、更に騒がしく。
「どうする?」
「面白いのでこのままに」
「……アマンダが一番怖いな」
なぜその感想なのですか。
ただ微笑んで放置していれば、勝手に興奮してどんどん口を滑らせてしまうのは、わかりきったことでは? そう言うと、ノルベルト様に「その思考が怖い」と、更に言われてしまいました。
にこやかに微笑みながらティーカップを傾けていましたら、エリーザ嬢が急に無言になり、肩で息をし始めました。
どうやら、息切れのようですね。
「では、始めましょうか――――」




