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【商業化進行中☆】拝啓、元婚約者様。そろそろ断罪しますが、覚悟はよろしくて?  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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16/25

16:調査報告書。

 



 調査報告書がまさか翌日に届くとは思ってもおらず、ノルベルト様の仕事量を見て、それを言い訳に手伝わせようとしていたのでは? などと、ちょっと疑いもしていました。


「酷いな」

「普段の行いでは?」

「ふん。で、なんと書いてある」

「ええ――――」


 現在、モゼッティ男爵は脳の病で床に臥せっており、この一年はほぼ意識不明とのこと。

 エリーザは使用人との間に出来た子どもの更に子どもで、男爵の孫にあたる。

 二年前にエリーザの母が亡くなり、男爵が内密に引き取り、屋敷に住まわせていた。


「ん? つまり、内縁であり、戸籍は登録変更していない、ということだな?」

「ええ」


 結局は、エリーザ嬢はただの平民とのことでした。

 そして彼女はこの一年の間、何かしらの夜会に参加したことはなく、招待されたこともない。


「…………つまりは、狂言?」


 まさか、こんなことってあるのでしょうか?


「あそこまでの騒動を起こしたのですから、何か確固たる証拠くらい準備しているものだとばかり……」

「色んな意味で衝撃だな」


 半年前、精神の病を理由に都会から離れ辺境伯領で静養をすると言い、男爵家を出ていった。

 そして先日、辺境伯嫡男のロランとともに戻ってきた。


「ここまでが、モゼッティ家の使用人たちから得られた情報のようです」

「ふむ。他には?」

「そうですね――――」


 モゼッティ家の財産は底を尽きかけていること、男爵の命は長くないだろうこと、エリーザ嬢は男爵のことは気にもかけていないことくらいでしょうか。


「一代限りの男爵位とはいえ、モゼッティの資産がそうそう尽きることはないはずだが?」


 彼の絵は驚くほどの高値がつけられます。それに加え、王城で絵師をしていたこともあり、その報酬もずいぶんと高額だったはず。

 その資産を使い込んだのは間違いなくエリーザ嬢でしょう。


「そこら辺にロランは気付かないにしても、辺境伯が調査を怠るものだろうか?」


 ノルベルト様の中で、そういった調査や裏取りに関しては、ロラン様よりも辺境伯への信頼の方が大きいようなのですが、それは昔から感じていました。

 お二人は親友だと思っていたのですが、そこら辺の判断は厳しいというか、正直というか。


「…………友だからこそ、正直に話していた。そうじゃなければ美辞麗句と称賛で終わらせるだろ」


 確かに、それもそうです。

 各々に得意分野がありますから。


 辺境伯は、物静かでいて総てを見通すような瞳の黒豹といった雰囲気の方。

 対してロラン様は若い猟犬とでもいいますか、視野が狭いくせに、様々なことに気を取られるタイプの人です。


「アマンダも充分酷いぞ?」

「そんなとこが可愛らしいとは思っていたんですよ」

「………………お前たち、一時間ほど休憩してこい」


 ノルベルト様が低い声でそう命令してしまったので、文官様たちが大慌てで執務室から出て行ってしまいました。 


「え? あの?」

「なぁ……」

「はい?」

「…………私のことはどう思っていた?」


 顔を背けたノルベルト様に、そう聞かれました。声は相変わらず低いものの、妙にソワッとした雰囲気が漏れ出ています。


 ――――はぃぃ?




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