くだりざか
このみちは くだりざか
「後ろ向きなら のぼりざか」
君は笑って嘯くけれど
後ろを向いて歩いていると
見落としてしまう
まだ知らぬ脇道を
転んでしまう
しりもちをついて
夕暮れまで あと少しのみちの途上
かかとを鳴らし 転がり落ちてきて
ぼくらを追い越し 彼方へ飛んで去ってゆく
風、風、風……
ぼくらは それを見送るように
ゆるゆると ただこのみちをくだりつづける
過ぎた景色を惜しむように
君は後ろをまだ見てる
「やっぱりあっちへ進もうか」
過ぎた脇道 指さして
でもこのみちは くだりざか? そう、くだりざか
石頭!
だしぬけに君は笑って
ぼくはちょっと……ふてくされている真似をする
そしてぼくらは このさかを進みだす
手をつないで 前を向いて
このさかを 進む
君の隣に まだ居たいから
君と共に 見るべき景色が まだあるはずだから
お日様の役目は まだ終わっていないから