バットエンド
* まで皆さんが知っているような内容です
ある村にメイジーと言う可愛らしい少女がいました。
少女はいつもおばあさんに作ってもらった赤ずきんを身に付けていました。
とっても似合っており、少女はは赤ずきん以外を身に付けなくなったため、皆からは赤ずきんちゃんと呼ばれていました。
そんな少女はある日、病気で弱っているおばあさんにケーキと1本のワインを届けにここからおばあさんのいる森の家まで赴くことにしました。
そして森に入った丁度そのとき、狼に出会いました。
赤ずきんちゃんは狼を悪いものだとは知らず、全く怖がりませんでした。
狼は言いました
「こんにちは赤ずきんちゃん。」
「ご親切にありがとう。」
「こんなに早くどこへ行くんだい、赤頭巾ちゃん?」
「おばあさんのところよ。」
「エプロンには何が入ってるの?」
「ケーキとワインよ。昨日が焼いた日よ。可哀そうな病気のおばあさんにおいしいものを食べてもらって丈夫になってもらうのよ。」
「赤頭巾ちゃん、おばあさんはどこに住んでいるの?」
「森をこのまま700メートルいったところ。おばあさんのお家は3本の大きな樫の木の下にあるの。はしばみの木がすぐ下にあるから、きっとわかるわ。」
と赤頭巾は答えました。
狼は、「なんて柔らかそうで若いんだ。なんておいしそうに太ってるんだろう。ばあさんよりうまそうだ。おれはうまくやって両方つかまえなくちゃならん。」と心の中で考えました。
それで狼はしばらく赤頭巾のそばを歩いて、それから言いました。
「赤頭巾ちゃん、見てごらん、このあたりの花はなんてきれいなんだろうね。周りを見回してごらん。小鳥たちもとてもきれいにさえずっているのに君はきいてないみたいじゃないか。君は学校へ行くみたいに真面目くさって歩いてるんだね 森の中のここではほかは何でも楽しいのに。」
赤頭巾は目をあげました。太陽の光が木の間からあちこちにおどっていて、きれいな花が一面に生えているのを見ると、赤頭巾は、「おばあさんに摘んだばかりの花束を持って行けば、それも喜んでくれるわ。まだ早いからちゃんとそこに着くわ。」と考えました。
それで花をさがしに道から森の中へ走って行きました。一本摘むと、もっと向こうにもっときれいな花を花があるように見えてそのあとを追いかけ、だんだん森の奥へ入って行きました。
その間に狼はまっすぐおばあさんの家へ走って行き、戸をたたきました。
「そこにいるのは誰?」
「赤頭巾よ」と狼は答えました。
「ケーキとワインをもってきてるの。戸を開けて。」
「掛け金をあげて。私は弱って起きられないから」とおばあさんは叫びました。掛け金を上げると戸はパッと開き、狼は一言も言わないでまっすぐおばあさんのベッドに行くとおばあさんを食べてしまいました。それから狼はおばあさんの服を着て、帽子をかぶり、ベッドに寝てカーテンをひきました。
ところが、赤頭巾は花を摘んで走り回っていました。たくさん集めてもう持てなくなるとおばあさんのことを思い出し、道を進みました。赤頭巾は家の戸が開いたままになっているのに驚き、部屋に入ると、とても変な気分になったので、「まあ、今日はとても不安な気持ちだわ。いつもだとおばあさんといるのがすきなのに。」と思いました。
「お早うございます。」と叫びましたが返事がありませんでした。それで赤頭巾はベッドに行き、カーテンを開けました。そこに顔まで深々と帽子をかぶったおばあさんがいて、とても奇妙に見えました。
「まあ、おばあさん、とても耳が大きいわ。」と赤頭巾は言いました。
「お前の声がよく聞こえるようにだよ。」と返事。
「だけど、おばあさん、とても目が大きいわ。」と赤頭巾は言いました。
「お前がよく見えるようにだよ。」
「だけど、おばあさん、とても手が大きいわ。」
「お前をよく抱けるようにだよ。」
「だけど、おばあさん、おそろしく大きな口よ。」
「お前をよく食えるようにだよ。」狼はこう言うか言わないうちに一跳びでベッドから出ると赤頭巾を飲み込んでしまいました。
*
狼は食べ終わると大きないびきを書いて寝ま─せんでした。
狼は用心深くその場から立ち去り、後から来た狩猟はたまたま通り掛かったもう1匹の狼に不意を突かれ食い殺されてしまいました。
─おしまい─
「これが今回君の辿った物語なんだ。赤ずきんちゃ~ん」
背中に羽を生やした少女は歪んだ笑みを浮かべる。「ここは何処だろうか?」そう考えているとすぐに答えは帰ってきた。
「ここはねぇ~。ボクの世界、言うなれば天界みたいなものかなぁ。誰にも干渉されず。誰にも邪魔は出来ない、そんな場所なんだよぉ~」
「私はこれからどうなるのですか?」
羽を生やした少女は顎に指を当て考える。そしてなにか思い付いたのか、顔が二つに割れるような大きく歪な笑みを浮かべた。
「君にはこれからぁ、戦ってもらうんだ!」
「たた··かう?」
羽を生やした少女は嬉しそうに手を合わせた。 ─パチ─
「そう!戦うの!君にはこれからボクの創った世界に行ってもらう。そこで生き残ったら君の物語の真の終わり"トゥルーエンド"に戻してあげる。そこはね魔法が使える楽しい世界なんだぁ~だから君が女の子でも戦えるんだぁ~。それと君はとっても優しくて素直な子だから面白い贈りものを贈ろう。とっても非情になれる素敵な贈りものだよぉ~。」
そうして羽を生やした少女は、赤ずきんちゃんの額に人差し指を付けた。すると指が光り、その光り赤ずきんちゃんへと流れていった。
途端赤ずきんちゃんは意識を失いそうになった。どんどん自分じゃない記憶と知識が流れてくる。そんな感覚に吐き気を覚えていると声が聞こえてきた。
「ほぉ~、こんなふうになるんだぁ。まぁ、面白くなるし必要な痛みよねぇ。」
そしてなにか思い出したのか、左手を広げ右手を丸めて左手を叩いた。
「あっ、そうだそうだ思い出した。君が命を狙い、そして命を狙われる存在は、君と同じような童話の世界の主人公なんだぁ~。同族で殺し合うって何か面白そうだよねぇ~。それじゃぁ君には最後に固有スキルを与えておこう。この固有スキルは童話主人公達がそれぞれ違うスキルを持っているから気を付けてねぇ~」
羽を生やした少女は、赤ずきんちゃんの前に門を出した。その門の中に赤ずきんちゃんを押し出すと赤ずきんちゃんの意識はそこで途絶え、門の中へと吸い込まれていくのであった。