#3 異世界八百長ダンジョンはそこまで甘くない(3/3)
-洞窟-
洞窟に入ってから数分が経とうとしていた。
洞窟はごつごつとした岩肌が露出しているわけではなく、妙に整備されていてレンガでしっかりと補強されている。
外から見てみたときは天然の洞窟を使っているのかと思っていたけど…。
こりゃ…。
『八百長』だな…。
なるほど、道理で師匠がため息ついたりしていたわけか。
「あー。そろそろ準備したほうがいいわよ。たしか、そろそろだと思うから…。」
そろそろ…。準備…。
ああ、そうか。師匠、もう知ってたんですね…。
そういえば、明かりが設置されているかがり火を除けば、今のところ何も冒険要素が一切出てきてない。
まあ、何事も悪いことは避けられるのがいいんだよね。
「来るわよー。」
「クゥーン…。(おーす…。)」
ガタッ。
ゴゴゴゴゴ…。
ガッ。
「あっ。」
「ワ。(あっ。)」
おそらく、ダンジョンの敵として何か登場予定だったのだろうか。
だが、建付けが悪いのだろうか。
レンガの扉がうまく開かずにつっかえている。
「%$'&$%&'&」
「*>%&>#`+"*&'&%'$」
ガタガタ。
ガタガタ。
…。
…。
気まずい。
なんというか、こう、雰囲気が悪い。
「こっち見ないでよ…。私の時はまだすっとうまくいったのよ。あの扉の向こう側の人たちも毎日毎日汗水たらして新人教育頑張ってんのよ。」
「ワンワン!(いや、師匠。そこは大人の対応として黙っておきましょうよ。)」
師匠は、あっ。と手で口をおさえる。
扉のほうは、まだ開かない。
しばらくはガタガタとなっていた扉はもう動かないようだ。
…。
「行きましょうか…。」
「ワン。(はい。)」
扉を通過しようとしたときに扉の向こう側から話し合うような声が聞こえる。
何か通信できる魔法でもあるのだろか。
まあ、頑張ってください。
それからなにごともなくまっすぐ進んでいった。
しかし、明らかに右に誘導する看板とT字路が待っているではないか。
「ワンワン!(師匠!なにかあるじゃないですか!)」
「そうね、本当に出てくるとは…。」
「ワン?(どうしたんです?)」
「いや、あとでいうわ。あとで。」
「ン?(へっ?)」
看板の方向に宝ぽい宝箱があった。
いや、なんでこんなところにわかりやすいとこのおいてあるんだよ。
宝箱までの道は一本道。
なにも罠があるような道ではなさそうに見える。
「ワンワン。(師匠、何かありますか?)」
「ちょっとまt@%$>~$#*&%$+*#&%&@」
師匠はポケットから師匠のついた小さな杖を取り出す。
師匠が光りだすが、すぐに元に戻った。
「@%$>~$#&%+*&@だわ。」
「ワウ?(へえっ?)」
「あー。これで聞こえる?」
「ワンワン!(聞こえます!聞こえます!)」
「特に何もないわ。」
「ワン!(じゃあ、行きましょう。)」
それから数メートルほどの宝箱まで本当に何もなかった。
やっぱり師匠はすごいね!(胡散臭いけど)と思っていたら。
師匠がこっちをにらんでいた。
「ワンワン。(なにが入ってるんだろうな。)」
そういってわくわくしていたが、問題が起こった。
師匠は不思議そうにここ覗き込むように見ている。
そう、起こったのだ。
この犬の姿では宝箱のふたを開けることはできない。
自分の背丈より大きい豪華な箱は重厚感があり開けたときにはさぞ素晴らしいものが入ってるんだろうと期待をしていたが…。
届かねぇ。
後ろ両足だけで立とうとしても無理!
箱が重くて開けられねえ!
ばかな、まさかこんなデメリットに気がつかないなんて…。
「どうかしたの?宝箱にも特に何もないわよ。」
「ワンワン。(師匠。開けてくださいませんか?)」
「へ?開け方くらいわかるでしょ。」
何言ってんだこいつ?みたいな顔をしている。
いや、まあこの世界にはペットや犬のことについてのことが前の世界ほど普通じゃないんだろう。
そもそもほかに犬を見たことないんですけどね。
「ワンワン。(いや、この姿だとバランスが崩れて開けられないんですよね。)」
「はいはい。じゃあ開けるわよー。」
と言って師匠は箱を開けた。
軽く開けたが、見た目の通り重たいはずなんだけどなあ。
もしかして、ばk…。
「ほら。なにかはいってるのか見なくていいのかしら。閉めるわよ。」
「ワン!(すいません!)」
師匠は両腕を組んでこちらを見下ろしている(目の色が赤く見える)。
こ、怖ええ…。
やっぱり悪いことは心のかなり内側にとどめておくべきだな。
それよりも中身、大事、お宝!
そういって宝箱に手を…両前足をかける。
「ワァ?(これは?)」
「どうかしたの?」
「…。(…。)」
こいつは…。
バ〇リン〇ルか!?
「この変な機械のこと知ってるものなの?」
「ワ、ワンワン。(えっ、あー。これは。一応。)」
「なら、どういうものなの?」
「ワンワン…。(一応。これは…。)」
ペットの気持ちを教えてくれるものだ。
もちろん、自分はちょっと目を疑ったが。
もしかして、これは…。
「ねえ。とらないの。」
「ワン。(はい。)」
とりあえず、そのバウ…。
翻訳機を取り出した。
「これでいいのかしら。」
「ワッン!(えっ、ちょ。)」
カチャカチャ。
カチン。
ブルブル。
「『ちょっと師匠。なにするんです…。』」
「えっ」
「『あれ?ワンわn…。』」
…。
俺と師匠は目を合わせてしまう。
あれ?さっきの声はなんだ?
もしかして、俺の声なのか?
…。
「えーーー!」「『えーーー!』」
洞窟の壁から物音がした。
気がした…。
ーもうすこし続くー




