#1 俺、異世界に犬として転生する
「ねえ。あれってさ。」
「うわぁ、かわいいね。よしよし。」
「ねえ、ずるいよ。私も撫でたい。」
なんだか若い女性の声が複数する。
左右の耳からとても甘い声がする。
そして何より頭を撫でまわされている気がする。
これでもかってくらい気分がいい。
“まるで夢心地ってやつだなぁ”
「こらこら、その子寝てるんだから邪魔しちゃダメよ。」
「えー。ほんとは『 』さんも撫でたいんでしょう。」
「そんなわけないでしょ。私ね。猫派なの。」
いやー。ここまでちやほやされるのはサイコーだな。
女性に囲まれるなんてなんて良い気分なんだ。
それにしても、猫派とか。
“まったく、まるで俺は『犬』かよ。”
「ほら、早く戻るよ。」
「ねえねえ。『 』さん。この子うちのギルドに連れていきましょうよ。」
「私もお願いします。『 』さん。」
「わかった。ちゃんと世話できる?」
「「もちろんです!」」
俺はグイッと持ち上げられる。
(うおっ。なんだいったい!女の巨人に持ち上げられてるようだ。)
「おお。意外と軽いですね。」
「そういえばこの子おとなしいですね。お腹空いてるのかな。」
「あと、名前。決めないとですね。」
ちょっと待て。名前って。
俺はペットか何かかよ。
そう思って目を開ける。
景色は街だった。
いや、正確には見覚えのない町だった。
それに巨人はいない。普通の人が歩いている。
「あっ。起きたみたいです。」
おそらく、声の主だろう女性が覗き込む。
(うわ、顔近っ。てか。)
俺、もしかして、小さくナッテル!?
異常なことはもう1つあった。
明らかにおかしい。
まず、街の様子が変だ。
ほとんどの人が現代人とはかけ離れている。
まず、覗き込んだ女性の服。
明らかにコスプレイヤーみたいな、よくアニメとかに出てくる女弓使いみたいな格好をしている。
それに、鎧を着た男性や魔法使いのフリフリのローブを着た女性までいる。
なんだここは、幕張か新宿のコスプレイベントか何かなのか。
だとしたら何故誰も現代的なものを使ってないのだろう。
例えば、スマホとか。マストだろ。
だが周りは誰一人としてスマホなんて触るどころか持っていないようだった。
(いったい何がどうなってんだ。)
理解が追いつかない。俺は確かに部屋で寝ていたはずなのに。
(それよりも腹が減ったなぁ。)
「クゥーン」
「あっ。やっぱりお腹空いてるんだね。」
俺の声に気づいてくれたのは俺を持ち上げている少女だった。
見上げると、ほほー。
なだらかな双子山の上にはピンクの髪の美少女じゃないか。
しかも、服のフリフリ。うん、おそらく魔法使いか僧侶のコスプレのようだ。
こういう美少女は本当に存在していたとは素晴らしいなぁ。
なんだかちょっとだけこのままでも良い気がする。
「『 』さんどこかご飯食べに行きましょう!」
「ああ。仕方ない。いつものところに行こうか。」
そう言って振り返った女性もまあ綺麗なことだ。
小麦色の肌に何よりも大きいのだ。うん、わかるよな。
背中には大きな剣が握られている。
もちろん、大きいのは剣だけではない。
おそらくは剣士のコスプレだろう。こちらの出来も、素晴らしい。
そして横からこちらを見ているのはいわゆるエルフだろうか。
無論、特殊メイクか何かだろうけど。
最近の技術とは素晴らしいものだ。耳がまるで最初からあるかのように動いている。
丘陵とはいかないがわずかにせり出ている。
それからしばらく3人の美女と共に歩き店に着いた。
(あっ、あああああ!!!)
目の前に大量の見たことのない料理が並んでいる。
なんか、漫画に出てきそうな料理ばかりだ。
「いらっしゃいませー。あら。可愛い子ですね。どうしたんですか。」
「いや、実はね。…」
出てきたのは耳と尻尾のついた犬のようなリアルな獣っ娘ってやつだろうか。
こっちもリアルだなぁ。
感心して口が開きっぱになってしまった。
そんなことは気にも止めずに獣っ娘は注文を取り始める。
「それじゃ、何にします?」
「私、ハンバーグ!」
「私は…ソテーをお願いします。」
「私にもハンバーグを。」
(俺にもメニュー見せてくれ…)
「かしこまりました〜。」
えっ。ちょ、ちょ待てよ。
俺の注文してないんですけど?
なーんか変な風に見られてない?ねえねえ。
「ふふ、どうしたんですか『アラタ』。お腹すいちゃったんですか?」
アラタ?なんで俺の名前を?俺たち初対面ですよね?
てか、なんで、俺喋ろうとしてるのに喋れないんだ?
原因はすぐに分かった。
俺は、今、持ち上げられた。
そして、気づいてしまった。
“俺の体。『犬』になってる!?”
「ワン。ワン。」
「あれれ、アラタちゃんどうしたの?お腹空きすぎなのかな。」
「あんまり持ち上げてほしくないのかもな。」
「そっ。そんなぁー。」
やばい。
色々とやばい。
まず俺は元々人だったはずだ。
そして、気づいたら犬になってた。しかもこれ、柴犬ぽくね。
とりあえず、化け物じゃなくて良かった。
そしてもう1つ。
ここは、おそらく日本、それどころか現代ではない。
ここにも現代技術のかけらも感じない。
『もしかして、異世界?』
なんていう余裕もない。
何故なら、俺は会話ができない。
ワンワンとか、クゥーンくらいの鳴き声しか発せない。
そして、おそらくここは俺のいた世界でではない。
精巧すぎるのだ、エルフの子といい店員?の獣っ娘といい。
なんで異世界に魔法がねえんだよ!転生オプションはどうしたチートスキルはどうなってんだよ!
もうだめ。理解が追いつかないし、飯でも食いながら考えるか。
「お待たせしました〜。」
「ハンバーグ!すっごいおいしそう!」
「『 』ちゃんいつも食べてるでしょ。」
そして何より、言葉がわからないことに気づいた。
なんとなく表情とかから会話の内容を推定していたが、名前らしき発音が、あれなのだ。
まったく理解できないのだ。
だから、3人の会話ももしかしたら俺を保健所に預けようという会話かもしれない。
「はい。かわいいペットさんにも。どうぞ。」
「ですから、『 』さん。アラタくんですってば。」
「そうですか。ではごゆっくりしてくださいね。アラタ様。」
そう言って出されたのが皿に水の入った牛乳らしき白い液体。
そして、心配なのがもう1つの謎の肉の一欠片。
丁寧に一口大に切りそろえられているが、食って大丈夫かってくらい少し紫色だ。
何よりショックなのが床に置いてあることだ。
美少女の食事シーンが見られないことではない。
俺が、犬であることを認めるような配置だ。
四つん這いの俺にとってはいいのかもしれないけどね。
もし今、人の姿ならよくある?特殊なプレイ?ってやつにあたるのかもしれない。
「クゥーン」
「あれ。食べないんですかアラタくん?こんなに美味しいのにね。」モグモグ
そうだね、では美味しくいただきま…あぇ?
んん?ちょっと待った。
なんで俺。アラタって呼ばれてるってわかったんだ?
「しかし、なんで『アラタ』って名付けたんだ。」
「えっと。それはですね。ついてたんですよ『 』に。」
あー。肉うめー。このコリコリとした食感は素晴らしいですね。
あとこの牛乳(仮定)もなかなか喉越しが素晴らしですね。
「へえ。そうだったんだ。てっきり、“これは神から受けた名前なのです。”(キリッ)って感じかと思ってたよぉ」モグモグ
「いや『 』。食べるか喋るかどっちかにしなよ。」
「にしても、『 』に名前ってことは、『 』はいるのかい?」
「それが、いないんですよ。」
「いない?ってことは、この子は…。」
いやー。何よりもこの肉に使われてるソース。うーん。異世界グルメも悪くないかもしれませんねえ。まさに異世界牛肉の宝石ばk…。
なぜか、ピンク髪の女の子にツンツンされた。もう食うのやめろってか?
なんか話しかけてきてるな。
「#&*&^%$#『アラタ』&^%$%^&^%$^%&^>“|:』:”>?」
うん。わからん。なぜかアラタだけ聞こえるけど。
「#$%^&*&^%$”『』:“>”“|>』『?>”:『:$%^%$&?」
「$$&^*^%*&%&$*!!$*%^$^$&%?」
「『“”『』“|『”|』|%^&^%^&!%&##@&^&^*%%$%?」
何か会話しているのだろうか。もう食い終わったし。耳を傾けておきますかね。
「^*#q&^&!%^@&*@&*%@&*$^@*@%@&*^@。」
????????
ダメみたいですねぇ。
「$%^^$#$%*&**&*。」
おや、どうやら話し終わったようですね。
おわ!?持ち上げられた。
急に持ち上げられたせいで足がバタバタしてしまった。
「$%^%$%^&*(*()%^&**&*。」
「$%^&$%^&^&*(*(()*&^#$%。」
エルフの子が頬を突いてきた。
そういえばこの子弓使いのようだ。弓しかないけど。
「$^^%^&^&^$@#』“』?|@$』『@?|$『』@%“?」
おそらくだが、どこかに連れて行くつもりなのだろうか。
できれば、施設とかじゃなくて飼って欲しいなぁ。
こんな美少女たちに囲まれる生活がしてえよ。
それからしばらく街中を移動した。
街は城下町みたいなところでもない。
周囲は森に囲まれている。
おそらく結界か何かか。それともモンスターみたいなやつはいないのだろうか。
他にもいろんな人を見た。
エルフや獣人?のような人がかなりいた。犬が多い。猫は少ない。
動物に詳しいわけではないのだが、さっきの店みたいの店員みたいな人が多い。
あと驚いたことに露店には見たことのない果物が多くあった。
トゲトゲした赤い果実に、緑色のりんごぽいやつ。
それに加え、透明なオレンジの形の果物があった。すごいな異世界。
そう長くもかからぬうちに3人及び1匹はとある店に入っていった。
内装は木製の屋根に中は白い壁、だが窓がないせいか暗い。
それとなくよく占いの館のような雰囲気を感じた。
「^^$*(&*(&:『:『『 』:『』:@%^%$#$%@#%@$#」
「$%^&^%$#$%^&*()(*&^%$%^&^%$%^%$%^&*」
店員らしき人物が奥から出てきて、剣士のお姉さんと話し始める。
声色からして、少しさんによりも歳をとっているように感じる。
「&*&*&*$%^%^」
店員らしき人物が奥へと案内する。
この世界には魔術的なやつがあるのかもしれない。
少し興味が出てきた。
奥に案内されると俺を椅子の上に置いて3人は外に出された。
薄々こんな展開になるとは思ったが。
こういう時のこういう怪しい雰囲気の時はたいていやばい儀式があるパターンだと思う。
もしかしたら、これは夢であって、何かの拍子に逝ってしまったら戻れる的なやつかもしれない。
どちらにせよこの世界での生殺与奪権は目の前の占い師みたいなやつにかかっている。
「『“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”“”』」
突然、目の前の占い師みたいなやつが低い唸り声みたいに呪文ぽいことを言う。
正確には意味がわからないこの世界の言葉全てが呪文のようだ。
呪文を叫んだ?後に水晶をとりだす。
あれかな。いわゆる霊的な降霊術みたいなやつだろうか。
すると、水晶が光だした。
(うわっ、眩しっ。)
そう思った時だった。
「眩しかったかい。それはすまなかったねえ。」
!?
今、言葉が通じたのか。
いや、鳴き声ひとつあげてない。もしかして、テレパシーか。
「ワンワン!(なあ、俺の言ってることわかるか!)」
「ええ。もちろん。」
嘘だろ。言葉が通じてる。
それどころか相手の言っていることがわかるぞ。
とにかく、今の自分について聞いて見るか。
「ウーワン。(少し聞きたいことがあるんですけど。)」
「はい、どうぞ。」
「ワン、ワワン。(どうして俺の言ってることがわかるんだ。)」
「ああ、それはね。『万能翻訳』を使ってるからさ。」
おお。やっぱ魔法的なやつはあるんだな。
いやー、感動感動。
「ウーワンワン(それって、俺も使える、いあわゆる『魔法』なのか。)」
「うーん。」
占い師らしき人物は少し黙る。
この世界には魔法という概念がないのか。
そして、短い沈黙の後。
「そうね。あなたにも『ステータス』って概念があれば良いのだけど。」
「クゥン?(なんですか、『ステータス』って?)」
「そうね。まず、この世界について知った方が良いんじゃないかしら。」
ああ、そういえばどういう世界なのか会話できた感動ですっかり聞くの忘れてた。
「いい。ちょっと長くなるけど。それじゃあ、まずは…。」
…
…
…
ふむ。
なるほど、大体わかった気がする。
まず、この世界には『魔法』が存在する。
しかし、魔法は一部の人間や魔物にしか使えられないらしい。
占い師曰く、女神の加護がうんちゃらかんちゃらって感じで使える魔法の種類や強さが決まるらしい。
で、その前に『ステータス』。よくゲームとかであるその生物の身体情報とかが書いてあるらしい。
そして、そのステータスが確認できないことには魔法どころか強さすらわからないそうだ。
じゃあ、とっと出して物語を進めたいところなのだが、ここで問題が1つ。
実はこの世界。魔物的な奴らがいるらしく、そいつらが悪さできないように強い魔法を使うには『モノ』というものが必要らしい。
もちろん、ギャグではない。
言うなれば神器、聖遺物とかの類らしく、それがないと基本的な魔法くらいしか使えないらしい。
つまり、魔法の『杖』がないとまともに魔法は使えないよってことらしい。
「ワンワン。(それで、俺に何かその『モノ』ってやつはないのか。)」
「そうね。うーん。ん?そういえば、あなた前足に何かついてない?」
前足か。なんか悲しいな。
それはさておき、前足を見る。確かに細くて自分の毛に埋もれいるが何かリングが見える。
えーっと。あれ、なんか掘ってあるな。
「ワンワン!(なあ、これなんて書いてあるんだ?)」
「えっと。どれどれ、うんうん。『アラタ』って掘ってあるね。」
なるほど、ちゃんと名前が受け継がれているが、これが転生オプションなわけないよな。
「クウン。(なあ、何かできないのかこの腕輪?)」
「いや、あなたが使ってみないとわからないわよ。とりあえず、ステータスの見方を教えましょうか。」
「ワン!(おお。ついに魔法使えるのか!)」
「いい、まずはこう唱える必要があるの。『カイン』とね。」
よし、意味わかんないけど。
『カイン』!
ポン。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:アラタ
クラス:柴犬*呪い
レベル:1
ユニーク:『*******』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-
What's ?
なんだこれは、ちょっとまだ少ししか出てきてないようだ。
だが、何がどういう意味かさっぱり理解できない。
ただ、この姿やっぱり柴犬だったのかだとするとだいぶ小さいな。
それに、呪いって。カエルの王子様状態ってことか。
「クーン(あのーところで、この『ユニーク』ってなんで伏せ字なんですか)」
「…。」
反応がないただの人間のようだ…。じゃない。
知りたいことがあるのに、魔力切れか何かか。
「ああ、ごめんなさいね。それって本人以外に見れないのよ。で、『ユニーク』とはなんだってはなしだったわね。」
…
…
…
ふむ。(二番煎じ)
またわかった。てか、俺が誰に説明してんだって話だが。
まず、『ユニーク』ってのは元々持ってたものの能力らしい。あいにくNGワードなのかわからないけど。とりあえず、どういうことができるのかおいおい調べればいい。
で、問題は『クラス』と『レベル』だ。(他にステータスは出てこない。戦闘中に出てくるそうだ。)
『クラス』とは、その人(俺は犬だが。)がどういう種族なのかわかるというものだ。
で、呪いってのはよくわからないらしい。
『レベル』ってのはいわゆる強さを示すそうだ。ありがちなやつだ。
そして、1の今の俺はザコ中のザコらしい。
この世界の強くなる方法もシンプルだ。
敵と戦って経験値を稼ぐことだ。
「ウー。(それで、どうにか意思疎通を図ることはできないのか。)」
「そうね。私のモノの力を使えば良いかもしれないけど、あげることはできないのよね。」
「ワン?(どうして?)」
「どうしてって。これはいわば私の商売道具。特権なのよ。それにモノの能力はモノと相性が良くないと使えないのよ。」
まじか。そんなデメリットがあるのか。まあ、そうでもなきゃモノを奪いにやばい奴らがくるかもしれないが。
「ワン!(じゃあ、どうにもならないのか。何か『スキル』みたいなやつ。)」
「そうね…。『スキル』。ないこともないけど。あなた今レベル1なのよね。」
あっ。もしかしてスキルの取得にはポイントがいるってパターンか。
「うーん。レベル1だし大丈夫かな。」
「ワゥン!?(マジで、やったあ!?)」
「じゃあ、さっきみたいに唱えるのよ。ほんとは人以外に教えると強くなりすぎてやばいのだけどもね。こう称えるのよ。」
“ゲイン”!キリッ
「…。」
「…。」
自分にしか見えないから、こうも大声で言われるとこっちまで恥ずかしくなるのか。
「さっ、さあ。あなたも使ってみたら。」
うーん。なんか犬の姿とはいえやっぱ恥ずかしいものだな。
だが、せっかく異世界に来れたんだ。
多少の恥ずかしさなんて関係ないさ。
『ゲイン』!
ポン。
いちいちなる『ポン』っていう効果音は無視するとして、何か取れる魔法はないのだろうか。
うーん。てか、習得できないものばっかりだ。ほとんどの魔法が使えんな。
しばらく、なんでも良いから習得できるものはないのかな。と探していると。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『四足強化』:取得可能
ーーーーーーーーーーーーーーー
うーん。明らかに魔法の類ではないことはわかる。
なんだろう、基礎能力が上がる的なやつなのだろう。
「ワウ?(あの、この取得可能なスキルってとったら次のやつが取れたりするのか?)」
「そうね。スキルって私も全部知ってるってわけじゃないけど。私も最初にスキルを取るまでは次のスキルの取得条件は出なかったわね。」
「ワァウ!?(えっ、スキルとにも条件とかあんの!?)」
「そうよ。上位の強い魔法とかはそれ相応の力がないと操ることができないのよ。」
あー。そりゃそうか。そんなに俺には異世界は優しくないらしい。それどころか厳しくないか。
他の転生者でももっと何かこうもらえるはずだろ!
嘆いたって仕方ない。とりあえずしスキルを取ろう。
ゲイン!って小さく言って。
ーーーーーーーーーーーーーー
<スキル取得>:『四足強化』
ーーーーーーーーーーーーーー
おお。取得したようだ。
………。
…。
ん?
何も変わらないぞ?
もしかして、意味なかった?
説明とかないのかな。と思って開こうとしたら。
ブン。
何か表示されていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スキル条件解放:『聴覚適応』、『嗅覚強化』
『聴覚適応』:レベル3以上かつ特定のモノ獲得
『嗅覚強化』:レベル2以上
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんか増えた!
って、魔法が使えるスキルじゃねえのかよ!
「ワンワン!(あの、魔法のスキルが使えんのだけど!)」
「実は、言い忘れていたことがあるんですけど。」
占い師は、急にモジモジし始めた。
なんだろう、あれなのかな。男性にはわからないやつなのか。
「じ、実は。魔法は人間と強い魔物しか使えないんですよね。」
な、なんだとぉ!!!
それで、魔法関連のこと一切できないってことかよ。
「でっ、でも。呪いを解くことができれば人間になれるかもしれないんですから、希望は捨てちゃダメですよ。」
「ワゥン。(でも、この呪いすぐには解けないやつでしょ。)」
「それは、そうなんだけど。でも、モノの力があれば魔法が使えるかもしれないし。とりあえず、まだ諦めるのは早すぎるわ。」
とにかく、分かったことは3つ。
1つは、俺は犬であること。
2つ目が、今の俺では異世界転生ものの魔法とかチートはないということ(なんなら呪いつき)
そして、最後にモノに希望があるということだ。
「ワン!(ありがとな。占い師ぽい人!)」
「あれどこ行くつもり?」
「ワンワン!(どこってあの女性3人のところだよ!)」
「あー。あの3人ね…。実は、お金が必要になったとかでクエストに行ったんだよね。」
「ワン!?(え!?まじで、置いてかれたの!?)」
「いや、お金が貯まったら戻ってくるって言ってたけど。」
いや、お金がいるからって。もしかして俺、捨てられてしまったのかー!
これから何を頼りにしていけば良いんだ。そうだ。
「ワンワン!(あの。少しお願い事があるんですけど!)」
「えっ、ええ。どうしたの。」
「ワン!(俺を鍛えてください!)」
「えー。そんな、私人にあれこれ教えられるようなことないのに。」
俺は、犬の身ながらも頭を地面につけた。四つん這いのせいかぐったりしてるようにも見えるが。
「わかった。良いけど、あんまり期待しないでよね。」
「ワン!ワン!(マジで!ありがとうございます!)」
こうして俺は犬に転生し、異世界でとんでもない冒険に歩を進めることになるのだった。
ー続く?ー




