サポートアタッカーオタク
6歳の頃、期待を胸に誕生日を迎えた。
俺が住む世界では6歳に大体能力が覚醒する。
だが、俺は能力が目覚めなかった。
優秀な能力者の両親がいて、後に妹も能力に目覚めるのにも関わらず...
「大丈夫?うなだれてたけど。」
俺ははっとして目を覚ます。
まあ、夢の中で目を覚ましただけなのだが。
声の主はクロエだろう。
「大丈夫です。少し昔の夢を見ていただけです。」
そう、昔の夢だ。
昔の悪夢だ。
「んで、今夜の本題は?」
「そうね、あなたに協力してくれそうな能力者の話しよ。」
「なんでまた急にそんな話しに?」
「だって、するんでしょ復讐。」
「そりゃそうだけど。」
確かにそうだ、俺の真の目的は復讐にある。
それは美咲もカンナも同じであり、協力してくれるのはありがたいだが。
でも...
「どうして、クロエさんが俺の復讐に協力することになるんだよ。」
そりゃそうだ、メリットが感じられない。
飼い猫を助けてあげただけで力を貸すというのは少しやり過ぎなレベルだ。
それも復讐に神様が手を貸すなんて...
「深くは言えないんだけど私にも連盟上層部を潰す大きなメリットがあるの。まあ、それでなあなたにデメリットが無いことは約束する。だから私にも少し協力させて欲しいの。」
これでもいちよう神様だ。
助けてくれるならそれなりにありがたい。
「分かった。協力をお願いしたい。」
「そう言われなくても私は協力するわよ。」
そして復讐について話すことになった。
「あなたに協力してくれそうな人が他にもいるの。」
「他にも?」
「そう、他にも。」
そしてクロエの話しを聞いた。
それからいくつかのことを聞きクロエとの話しがおわり目覚めた。
◇◆◇◆◇◆
「それで、ギルドを作ると?」
カンナが聞いてきた。
「まあ、名目上な。」
今、カンナと美咲を集めて昨日の続きを話している。
ギルドとは超能力者同士が組んで作るチームのようなものだ。
そしてクロエに伝えられた彼のことを伝える。
「サポートアタッカーのオタク?」
カンナが聞いてきた。
「そう、なんとも味方の力もパワーUPできて戦闘なんかもできる。そんな超能力者が存在するんだとか。」
「そんな人が協力してくれると。ふーん。」
そしてそんな超能力者を探すこととなった。
「んで、なんで地下アイドルやってるわけー」
俺は今、アイドルの衣装を着ている。
フリフリスカートで...3人とも同じ衣装をまとっている。
「なんでって、そのオタクっていう超能力者が現れるのはライブ会場とかなわけでしょ。だったらライブを開けばいいじゃない。」
美咲はそういうが本当に来るのか?
第一お客さんが来るかどうか...
「って、なんでこんなにいるわけー」
会場は小規模だが、それでも満員で大人数いる。
それもデビューライブだぞ。
「なんでって私のつてよ。」
美咲は自信満々で言っている。
今日の猫又はマネージャーのようで灰色のスーツにメガネでかっこよくきめている。
本当になんて日なんだ...
「とびっきりの、L O V E。」
そんな調子で満員初ライブは終わった。
ドルオタの人たちは沢山いたが、そこにオタクさんがいたかは知らん。
というよりかは見つかるはずがない。
満員で、何人もの人々がいるのだ、そりゃそうだ。
そして俺は楽屋の椅子でぐでーとしている。
疲労がすごい。
「んで、結局俺らは何やりたかったんだー」
「ライブ。」
「ライブよ。」
「ライブですね。」
3人共に同じ解答をしてきた。
「いや、なんでライブなんだって。」
「オタクさんを見つけるため。」
「オタクっていう人を見つけるため。」
「オタクさんを見つけるためですね。」
また、3人に同じ解答をされた。
なんなんだよう、それは。
「いや、いや。見つからなかったけどな。」
「「「それは仕方ないでしょ!」」」
「いや、ハモるな!」
思わずツッコミを入れてしまった。
結局そのまま見つかるわけもなく、そのまま帰宅する運びとなった。
◇◆◇◆◇◆
帰宅する途中で、みんなと別れて今は一人で本屋に来ている。
今日は好きな漫画の新刊の発売日なのだ。
本屋に着き、売り場の棚に手を伸ばした。
その時、手とぶつかった。
「「あっ」」
メガネをかけた高校生くらいの少年だ。
身長は高い。
「この漫画、お好きなんですか?」
そして、少年の方から話しかけられた。
「はい、すっごく好きです。」
◇◆◇◆◇◆
あの後、本屋で語り合いまくって結局カフェにまで来て話し合ってしまった。
この人は尾崎拓実というらしい。
拓実さんも漫画がとっても好きらしく気が合いほかの漫画でも語ってしまった。
「そういえば五月さんってライブしてました今日。」
「えっ来てたんですか?」
「はい。歌も踊りもうまかったでしたよ。」
聞くと、拓実さんはアイドルが好きでライブとかにもよく行くらしい。
「それにしても新人さんと出会えるなんで。」
「いやいや、まだまだペーペーですから。」
もう、ライブはしたくないと思ってしまうと思ってしまっていたがこういうことを言ってくれるとたまにはやってもいいかと思ってしまった。
それにしてもすごい優しい人だし、親切な人だなー
オタクさんもこんな人ならいいけど...
そんなことを考えていた時だった、近くから爆発音が聞こえた。
「なんだ?」
「事故ですかね?」
「いや、これは。」
そして例の警報がなった。
•••怪物だ。
店内も周りがざわざわし始める。
どうもこの店に来ると怪物が現れてしまうらしい。
はぁ、今日は疲れてるのに...
「逃げてください、先に。」
「え?拓実さんも逃げましょう。」
「いや、僕は少しやることがあるので。」
そして、拓実さんは向こうの方向に向かおうとしていた。
俺はその手を掴んだ。
「危ないですよ、そっち行ったら…」
「そうですね、あっちは危ないです。」
「だったら…」
俺は止めた。
今の音からするに怪物はBランクはある。
一般人相手は確実に危ない。
「でも、僕にもやれることがあります。まあ、これも何かの縁でしょうか僕はオタク、サポートアタッカーのオタクと呼ばれているれっきとした超能力者です。」
◇◆◇◆◇◆
「拓実さんがサポートアタッカーのオタク!?」
「はい、基本的には隠しているので内緒にしといていただけますか?」
拓実さんは俺が探していたオタクさんだった。
サポートアタッカーのオタク。
正体不明の超能力者だが、強い超能力者ということでよく知られている。
そんな超能力者が拓実さんだって!?
「だから、早く逃げてください。」
「やだ。」
「え?」
拓実さんは困った顔をしている。
でも、勇気を出して本当のことを伝えてくれた。
俺も決して無力じゃない、俺も戦う。
「心配しなくても大丈夫です。僕だって戦えます。」
「え、でも。」
そして俺は周りに誰も居ないことを確認してステッキを取り出してそのステッキで魔法少女に変身をした。
「まさか、五月さんは...」
「そう。僕は昨日の魔法少女。ホワイトです。」
「五月さんだったんですね。」
昨日の戦闘はSNSでバズりにバズり、めちゃくちゃ知られる事になってしまった。
俺もまた正体不明の超能力者として知られているのだ。
「うーん…だったら僕、サポートに回った方がいいですね。実力が見込み道理で有れば多分サポートに回った方が強くなります。」
「分かりました。」
どうやらサポートアタッカーとしての力はアタッカーというよりかはサポートの方が強いらしい、サポートする相手がが強ければ…
拓実さんもトリガー式の能力らしい。
拓実さんはトリガーであるはちまきを結ぶ。
力が湧き出るのが分かった。
そしてハッピを羽織りペンライト構える。
準備はでき、カフェを出た。
「拓実さん、やりますよ」
「ああ。」
店を出るともう視覚できる位置に怪物はいた。
まだ二回目の戦闘だが今回は拓実さんがいる。
拓実さんがオタクなら、戦闘経験豊富なはずだ。
そして拓実さんはヨタ芸を始めた。
これが拓実さんのサポート能力エールだ。
ヨタ芸をする事で対象に全体的な強化を与える、ランクが1は上がるくらいの…
通常強化系の場合自分自身にしか使え無い。
さらには1ランク分なんてたどり着く能力者なんてほぼいない。
そんなことを拓実さんは実現しているのだ。
「力が…湧いてくる。」
今ならBランク魔法でも十分戦えそうだ。
そして俺は足を踏み出し戦いを始めた。
Bランク魔法を一発撃ち込んだ。
怪人はその威力で倒れた。
今ので倒れるくらいならBランクくらいだろう。
無駄に大きいだけでそんなに強く無いのだ。
そして倒れ込んでいるところにパンチを加えた事でトドメとなって消えていった。
「すごいですね、あんなに速く倒してしまうなんて。」
「いや、普段ならもっと苦戦していましたよ。」
まだ能力に慣れたというわけではないし、実際Bランクという制限がかかっている状態では10倍は時間がかかっていただろう。
そのことを考えるとサポート能力万々歳と言ったところだろうた。
「五月さん、周りに人が集まって来てますよ。」
拓実さんに言われてはっとした。
周りに人が集まりカメラを構えている。
この場所に居続けたらまずいと思いまたもや走って逃げた。
そして河川敷まで来て変身を解除した。
かなりな距離走ったのでまあまあ息が切れている。
少したち息切れが終わって話はじ始めた。
「やっぱり見込んだどうり強かったですね。」
拓実さんが誉めてきた。
「それは拓実さんのサポートがあったからですよ。」
俺はそんなことを言った後話しを続ける。
「そういえば、なんであんなに強いのに拓実さんは連盟に入らないんですか?」
サポートアタッカーオタクは正体不明であり、連盟にも所属していないことでもよく知られているそう言う超能力者なのだ。
でも、強い超能力者は連盟でも優遇されるので特に理由が無ければ入った方が得なのだ。
それになぜクロエさんが協力してくれそうかと言ったという理由が知りたかった。
「それは...俺、実は3年前まで無能力者だったんです。でも、ある日を境に能力を手に入れたんです。だから手に入れる前はかなりいじめられていて...」
そして拓実さんは俺と同じような状況について話してくれた。
連盟という機関は人を守る機関ではある。
でも同時に働けない人間には風当たりが強い機関なのだ。
だからそもそも働けない無能力者は連盟からももちろん風当たりが強い。
具体的なことは言えないが無能力者にこの社会に居場所なんかないのだ。
辛いにも程がある。
「僕も...同じです。」
そして俺も事情を説明した。
あくまでも元男であることはふせたが無能力者だったことやいじめられていたことも...
「かなり同じ境遇だったんですね。」
「そうですね...」
そして目的の本題に入る。
「拓実さん、ギルドに入ってくれませんか?」
「ギルド?」
そしてギルドについて説明をした。
目的が復讐にあることも。
「つまり、現体制の連盟をぶち壊すためにチームを作ると...」
「そういうことです。協力してくれますか?」
拓実さんの顔が少し悩んだ顔になる。
やっぱり無理だと思っていたら。
「良いですよ。僕も連盟については不満が溜まっていますし、逆に協力を頼みたいくらいですよ。」
「本当ですか!?」
本来の目的どうりサポートアタッカーオタクの協力を煽ることができた。
これはいい成果だ。
うちの戦闘狂たちとも相性が良さそうだ。
そして報告のために拠点である我が家に向かった。
◇◆◇◆◇◆
「お兄ちゃんお帰りー」
家に着き、カンナの声がする。
その途端横で拓実さんが驚いていた。
「お兄ちゃん...?」
どうやらカンナが俺のことをお兄ちゃ...あっやべ。
「お兄ちゃん、その人誰?」
そんなことも察しないでカンナは話しを続ける。
拓実さんは以前驚いた顔のままだ。
仕方ないか、本当のこと伝えるしかないか...
「すみません...実は僕、元男なんです。」
「え...えぇー?」
拓実さんはさらに驚いた顔をしてしまった。
もう凄すぎるくらいに驚いている。
そしてカンナが少し悪いことをしたかな...という顔でこっちを見てくる。
まあ、ちゃんと伝えてなかった俺が悪い。
拓実さんが少し落ち着いてから能力の影響で女になっていることを伝えた。
まあ、もっと驚かれたが...
「まさか五月さんが男の人だったなんて。」
「すみません...伝える機会を見失ってしまって。」
まあ、女だと思っていた人が男だったんだ。
めちゃくちゃ驚いてしまうのも無理はない。
そして、拓実さんのことはその後美咲たちにも伝えて正式にメンバーに加わることになった。
これから活動は5人になるのか...
俺たちは人を守りながら連盟崩壊を目指すギルド、ギルド五芒星だ!
見てくださりありがとうございました。
個人的にはもっと伸びてほしい作品なんで見て下さった方が拡散してくださるとありがたいです。
もう大好きなんよこの話。
よかったらまた読んでね❤️