表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

999/1491

射撃訓練ふたたび!

 射撃場。

 俺は耳当てとアイウェアを身につけ、トウコたちの射撃練習を見守っている。



 スナバさんの指示でトウコとエドガワ君が銃を撃つ。


 トウコは早撃ちガンマンのように抜き撃ち。

 たたたたたん、と六連発。


 エドガワ君はカーシステムの構え。

 顔の前で狙いをつけ、エクステンデットポジションで撃っていく。



「撃ち方やめ」


 スナバさんの操作で(マト)が近づいてくる。

 うぃーん。


 結果は――


「やりいっ! 全弾命中っス!」

「ボクは少し外してますね……」


 トウコは喜び、エドガワ君は肩を落とす。


「どちらも問題ない。敵は倒れる。エドガワはもう少し速く撃て」


 トウコは狙っていないようで、ちゃんと当てている。

 全弾が中心とはいかないが、当たればいいのだ。


 エドガワ君は狙いすぎている。

 的撃ちならいいが、実戦では間に合わないかもしれない。



 スナバさんがボタンを操作する。

 覆面(ふくめん)姿の悪人と、被害者っぽい人の柄が書かれた的が出てきた。


「次はこの的を使う。覆面をしている者が敵。それ以外は撃つな」


「リョーカイっス!」

「はい……!」


 トウコが銃をホルスターに戻す。

 エドガワ君は銃を台に置く。



「よし、始めろ!」


 スナバさんの号令で、的が動く。

 見えないように倒れていた的が起き上がる。


 トウコは迷わずに。

 エドガワ君は慎重に。

 それぞれ的を狙って撃っていく。



「やめ」


 的を確認。

 トウコはすべての悪党を撃ち抜いている。


 しかしトウコは悔しそうな声を上げる。


「あー! 一発しくったっス!」


 俺は的をよく見てみる。

 悪党と人質がペアになった的がほとんど。

 だが、二枚とも人質のパターンが紛れていた。


 これに対してトウコは射撃。

 二人の人質の中間を射抜いている。


 俺は言う。


「ふむ。ギリギリ人質には当たっていないな」


 スナバさんが厳しい声で言う。


「当てなければいい、というものではない。気をつけろ、アソ(トウコ)

「リョーカイっス!」


 トウコがコミカルに敬礼した。

 スナバさんはそれをちらりと見たが、なにも言わない。


 別にバカにしてるわけじゃないんですよ!

 いつもこうなんですよ!



 続いてエドガワ君の結果。

 こちらは人質への誤射はない。


 だが悪党を撃ち損じている。

 見逃して撃っていない的があるのだ。


「ためらうな、エドガワ。とっさの判断だ」

「はい……」


 エドガワ君は難しい顔でうなずいている。

 誤射するくらいなら撃たない、という姿勢だ。


 これがもし本番で、相手が銃を持っていたらエドガワ君が撃たれてしまう。

 しかしエドガワ君の異能なら、撃たれても当たらない。


 なら、じっくり狙っていてもいいか。

 人質に当ててしまったら、どうにもならない。



「あたしはとっさにハズしたっス!」

「次は撃たないようにしろよな、トウコ」


 とりあえず撃つのはやめなさい。

 まあ、間違えて人質の絵を撃たなかっただけマシだ。


 ダンジョンで乱戦になっても、トウコに誤射されたことはない。

 危なっかしいが、危なくはないのだ。



 スナバさんが言う。


「銃を向ければ人は怖がる。一般人ならなおさらだ。そこが悪性ダンジョンであってもな」

「記憶が消えちゃうなら、よくないっスか?」


 トウコは認識阻害のことを言っている。

 でも、よくはないだろ。


 注意しようと思ったが、スナバさんが口を開いたので黙っておく。

 スナバさんが淡々と言う。


「ダンジョンとそれに関連する記憶は消える。俺たちや銃のことも忘れるだろう。だが恐怖は心に残る。それを考慮しろ」

「あー、そうなんスね! じゃあ気をつけるっス!」


 トウコはなるほどーっという顔で聞いている。

 基本的には素直である。

 スナバさんも怒ったりしない。



「クロウさんもやってみるか?」

「せっかくだし、やらせてもらおうかな」


 俺は投げナイフで挑戦する。

 机にナイフを並べてスタート。


 ぱたぱたと起き上がる悪党と人質の絵。

 俺は次々とナイフを放つ。

 【投擲】の効果は弱まっているが、手に染みついた技術は残る。


 狙った通りにナイフが飛ぶ。

 一番遠い的だと、狙いはシビアになる。それでも命中。


 結果――



 エドガワ君が驚嘆の声を上げる。


「すごい。ナイフで全部当てるなんて……」


 トウコが親指を立てる。


「おおーっ! さすが店長っ! しびれるっス!」


 スナバさんが的を見て言う。

 俺のナイフの狙いは少しずれている。


「これはわざとやったのか? どれも急所を外しているな」

「まあ、殺さなくてもいいと思って」


 それを聞いてスナバさんがうなずく。


「甘いと思うが、無力化できているのだからいいだろう。それに、この的ではしっかり胸に当てている。正しい判断だ」

「少し遠くて、肩や腕を狙う余裕がなかったんですよ」


 急所を外そうとして、狙いを外しては元も子もない。

 人質に当てたら、目も当てられない。


 だから確実な胴体を狙った。

 悪党は死に、人質は助かる。判断は正しい。


 だけどこれは絵だ。

 実際の悪党――人間とは違う。


 人間相手に致命的なナイフを放てるだろうか。

 モンスターが相手ならできる。

 だけど相手が人間だったら……。


 そんなことを考えても仕方ないが、公儀隠密の仕事ではありえることだ。

 一応、覚悟はしておかなきゃな。


 もっとも、ダンジョンならそんな心配はないんだけどね!

誤字報告たすかります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 昔ゲームでやったけど一般人とターゲットの区別つけて狙うのってすっげぇ疲れるのよね… 最後はやけっぱちになって出てくる全員撃ち抜いたりw 咄嗟の判断って難しいですわ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ