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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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重なって透過が解けた結果! めり込む説、融合説……あと一つは?

「もういいっスかね?」

「あと一つ試したい。この棒手裏剣を透過させてから、壁に投げつけてくれ」


 なくなってもいい棒手裏剣をトウコに手渡す。


「手を離れた品物が通り抜けるか確認するんですねー」

「んじゃ、やってみるっス! ていっ!」


 トウコが棒手裏剣を投げる。

 きぃん、と金属音を立てて棒手裏剣が壁に弾かれる。


「あっ!? 跳ね返りましたよ!」

「つまり、手を離れると透過は解ける!」


 持続時間が切れただけかもしれないが。


「なんか不便っスね! 透過ショットは無理そうっス!」

「透過した状態で銃を撃つと弾丸は透過状態じゃなくなる……?」


「だから貫通弾にはならないっス!」

「いや、それでいい! 自分は透過で無敵状態。その状態から実体のある弾が撃てる。無敵からの遠距離攻撃だぞ!」


 トウコが目を見開いて、両手を握り締める。


「おおおっ!? これはチートっ! バグ技を手に入れたっス!」

「壁やモノにめり込まずに使う分には安全かな。まあ、無敵時間は一瞬だから状況は限られるけど」


 一瞬無敵。その状態で攻撃もできるのは大きい。

 だが使いどころは難しい。


 コウモリの爆撃のように断続的で広範囲だったら透過が解けたら食らってしまう。

 クモの巣のように設置された罠にも無力。


 毒ガス、炎、水流。そういう攻撃もかわせない。

 というか透過状態のトウコに水噴射などをしかけたら……。


 水と重なっている間は安全装置のせいで透過が解けず、魔力枯渇で倒れるか、窒息するかな?


 トウコにそんなことはしないが、柄シャツを相手に戦うとすれば……。

 あのときは水忍法がなかったけど、有効打になりえたな!



「今度は透過した棒手裏剣を壁に突っ込んで、そのまま手を離してみてくれ」

「うえぇ? なんか難しいっスね?」


「透過が解けたら品物がどうなるかを知りたいんだ」

「へー。壁からぺっと吐き出されるんスかね?」


 押し出される説か。

 それもありそう。



「ゼンジさんはどうなると思います?」

「透過している状態が、どういう仕組みかによるな。なんとも言えない」


「スキルだから、ただスケスケなだけっス!」

「シンプルに考えればそうだけどな」


「ゼンジさんは、現実的にどうかを考えているんですよね?」

「一応な。たとえば分子の結合がゆるくなっているとか、亜空間に入り込んでいるとか、位相がズレているとか」


 どっちにしろ現実離れしているけど。


 リンが首をかしげる。


「あくうかん? いそう?」

「フェイズシフトっスね!」


 相転移? 次元シフト?

 ちょっとよくわからん。


「言ってみたけど詳しいわけじゃないからな! 雰囲気で理解してくれ!」

「なんだか難しいですねー」


 量子物理学とか、高度な科学とか、理解の範囲を超える。


「あたしたちは雰囲気でダンジョン攻略してるっス! それでいいんスよ!」

「一応考えようとはしてるんだよ!」


 安全のために試すべきでないとも思うが、生身で壁にめり込む前に安心しておきたい。



「で、店長はどうなると思うんスか?」

「何パターンかある。めり込むか、一体化するか、壁を押しのけるか。分子と分子が融合して核爆発する可能性もあるな」


 トウコが目を輝かせる。


「そんな可能性があるんスか!?」

「ないと思うが、それを期待するんじゃない!」


 微粒子レベルで存在するかもしれない。


 壁と棒手裏剣が重なった状態で透過が解除される。

 つまり、同じ位置に二つの品物が同時に存在してしまう。


 透過している状態を科学で推し量ろうとすることにムリがある気もするんだけどね。



「ともかくやってみろ!」


 トウコが棒手裏剣をつまんで、壁の前で構える。


「んじゃ、やるっスよー!」


「一応、リンは盾を構えてくれ」

「はいっ! 後ろに隠れてくださいね!」


 リンの後ろに隠れる俺。

 なんかダサいが、しかたない。


 一応ポーションは構えておこう。


 爆発はしないと思う!

 しないんじゃないかな!


 【危険察知】も反応していないし!



「んじゃ透過っス!」


 トウコが壁に棒手裏剣を半分ほど突き込み、手を戻す。

 手を離れた棒手裏剣が壁をすり抜けながら落ちていき――


 そのまま床に落ちた。


「ん……? 落ちただけか?」


 地味な反応だ。

 案外、なにも起きないのか。



 トウコが棒手裏剣を拾い上げる。

 それを見たリンがあっと驚く。


「あれ? なんだか小さくなってません?」

「スッパリ切れてるっス! ほらっ!」


 トウコが目の前に棒手裏剣を差し出してくる。

 断面は鋭くなめらか。


 棒手裏剣(五寸釘)が短く切断されている。


「三分の一くらい、なくなっている……?」


 壁に目を走らせる。

 傷はない。


 棒手裏剣の残り部分が刺さっている様子もない。


「えっ!? 消えちゃったんですか?」

「思っていたよりヤバい結果になったぞ!? 解除されるときに他の物質と交わっていると、その部分は消える!」


 トウコがうげーっと舌を出す。


「げーっ! 激ヤバじゃないっスか!?」

「いやだあぁー! 怖いよぉトウコちゃん!」


「気をつけよろな、マジで!」


 生身で壁にめり込んで、そのまま魔力が切れたら即死である。

 思っていたよりヤバいんですけど!?

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― 新着の感想 ―
やっと危険性を理解できたトウコ。 知力ひっくいな(笑) ガープス(第3版基準)的には(人間の下限値)8かも。 それで『直情』『好奇心3レベル』『自信過剰』って、味方が死にまくる未来しか見えないやつ(笑…
[気になる点] 現実世界で透過出来れば、廃品業者として生きてける…気がする!!
[一言] 自分透過で無敵はいいけど時間が長いと服がw
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