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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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カドマチ・イモカマキリ!?

 【意識共有】の新段階はなかなかいい感じだった。

 このスキルは【上級忍術】なので、次である三段階に上げるのは少し先になる。


 なにしろ、十六ポイントも必要だ。高い!

 スキルポイントはいつでも不足しているから、しばらくは熟練度を貯めていこう。



 十七階層の探索を続ける。

 自律分身が調べた通り、前の階層とそう変わらない。



 リンが曲がり角を指差す。

 通路は直角に折れ曲がっていて、先は見えない。


「この先に敵がいますっ! ぼんやりしているのでカマキリさんですー」


 リンは最後尾だが【サポートシステム】を先行させている。

 視線が通らなくても敵を見つけてくれる。



 トウコが語気荒く言い捨てる。


「また待ち伏せっスか! (カド)待ちイモ野郎めっ!」


 シューティングゲームでは、曲がり角で待ち伏せするのは有効な戦法だ。

 そして、嫌われがちなプレイスタイルである。


 忍者の俺としては非難できない。

 隠れたり不意打ちしてもいいじゃんね?



「じゃあ、焼いちゃいますねー」


 リンが魔法の準備に入る。

 俺はそれを手で制す。


「リンはちょっと休憩してくれ。魔力を温存しよう」

「はーい。お気遣いありがとうございまーす」


 カマキリが潜んでいることが多いせいで、リンの負担が高くなっている。

 休ませてあげないと、息切れしてしまう。


「カマキリはどのあたりにいる?」

「角を曲がってすぐのところ、壁にくっついていると思います」


 あのあたりですー、という感じでリンが壁を指差す。


 確認したのはカマキリの位置。主に高さが知りたかった。

 いるのは下のほう。

 床の上か、壁の低い位置だろう。



 俺は壁に手を添えながら言う。


「俺が上から注意を引く。トウコ、攻撃役を任せる」

「いいっスね! 角イモカマキリをやってやるっス!」


「んじゃ突っ込むぞ!」

「りょっ!」


 俺は壁を走って駆け上がる。

 壁から天井へ。上下の逆転した状態で角を曲がる。


 いた!

 カマキリが俺を見上げている。


 大きな複眼の奥――黒い瞳と目が合うような感覚。


 カマキリが前脚(まえあし)をかかげて、威嚇のポーズをとる。

 鋭いカマが俺に向けられている。


 このまま突っ込めばカマにやられる!

 俺は頭上で大きく刀を振りかぶる。


 だが、斬り込まない。

 少し振り下ろし、また大きく振りかぶる!


 絶妙な距離を置いて注意を引くだけだ。


 剣先をゆらゆらと揺らす。

 カマキリは両腕を高く上げ、上半身を小刻みに振っている。



「来い! こっちだ!」


 声を上げ、さらにカマキリの注意をひく。

 こちらは攻撃が届かないギリギリの位置である!


 狙い通り、カマキリは俺を狙って動き始める。


「――トウコっ!」

「あいあいさーっ! くらえっ! イモカマっ!」


 そう言うとトウコが低い姿勢で飛び出す。

 床を転がりながらショットガンの引き金を引く。


 狙いはやわらかそうな腹部!


 銃口が火を噴く。

 吐き出された散弾がカマキリの腹を撃ち抜く。


 体液がまき散らされ、壁を染める。


「……!」


 カマキリが声なき声をあげる。


 これは致命傷!

 カマキリが塵に変わる。


 俺は天井から飛び降りつつ、空中で魔石をつかみ取る。

 そして宣言する。


「よおっし! 後続なし! 戦闘終了!」

「おつかれさまですー」


「やりぃー! カマキリちょろいっス!」

「気を抜きすぎるなよ!」


 決してカマキリがチョロいわけではない。


 一対一で対峙するとわかる。

 長い手足から繰り出される攻撃はかなり鋭い。

 間合いが広いせいで、斬り込む隙が見つけられないのだ。


 壁を這って登ってくるし、空まで飛ぶ。

 機動力も侮れない。


 しかし弱点は明確。耐久力のなさだ。

 首、手足の付け根、柔らかい腹部。

 胸もおそらく脆弱だろう。

 こちらの攻撃を入れられれば、簡単に倒せる。



 強いだけの相手なんて弱いのだ。

 名言じみている!



 順調に十七階層の探索を続ける。


「この部屋にモンスターさんはいないみたいです」

「よし、罠をチェックして……」


 判断分身にローラーで罠をチェックさせる。

 その間は部屋の外で待機。


 室内全体に矢が来るようなケースを警戒してのことだ。

 ドアの罠みたいに、複数の矢が来る場合もあるからな。



「罠はないようだな。ん……?」


 部屋に踏み込む。

 奥に見えたのは――


「モノリスがあるっス!」

「あ、ほんとですねー!」


 そこには黒々としたモノリスが突っ立っていた。

カマキリの複眼の奥に黒目はなく、反射の都合で黒く見える。これを偽瞳孔という。

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― 新着の感想 ―
[一言] 待ち伏せ素敵じゃないですかw 天井の穴から狙ったり床の隙間から不意討ちしたり… 「卑怯という事は有効な攻撃、それは素敵って事だ!どんどんやれ!」 というのは俺の好きななろう作品の主人公のセリ…
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