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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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銃は矢より強し! 盾も矢より強し!

 矢の罠は何度か作動させると動かなくなった。

 タマ切れ――矢が尽きたのかな?


 無制限に作動するわけではないらしい。



 通路を進んでいるとゴブリンが四匹現れた。

 これはなんなく倒せた。


 これまでの階層より強いが、ボスゴブリンに比べると弱い。


 ま、しょせんゴブリンだ。

 いまさら苦戦などしない。



 少し進むと壁に小さな穴があった。

 穴の位置は、矢が飛んでくるのと同じくらいの高さだ。


「たぶん、ここから矢が飛び出すんだな!」

「へぇー。中はどうなって――うえっ!?」


 穴をのぞき込もうとするトウコ。

 その首根っこを掴んで止める。


「危ないだろ!」

「あ、そーっスね!」


 危なっかしいったらないよ!

 学習してくれ、学習!


「リン。【魔力知覚】でなにかわかるか?」

「うーん……反応ありません」


 スイッチにも、矢の発射穴にも魔力の反応はないようだ。

 【魔力知覚】で楽に見つけられるかと思ったんだが、残念。


「ふむ。罠は【魔力知覚】には引っかからないか……」

「残念ですー。でも、がんばって目で探します!」


 むん、とリンがやる気のある表情を作る。

 その意気だ。


 罠探しは地味な作業だ。


 スイッチになっている床板は少し高さが違ったりする。

 ちゃんと気をつければ見つけられないこともない。


 暗い洞窟で、揺れる松明の明かりの元では少し難しいんだけどね。



 トウコが壁を指差す。


「こっちにも壁穴があったっス! てことはこっちにスイッチが――あるっ!」

「おお、ナイス!」


 穴の射線上に、起動スイッチがみつかった。


「そうか! 先に壁穴を探すのも手だな!」

「トウコちゃん、エラいねっ!」


「へへー! じゃ、今度こそ迎撃してやるっス!」

「お、まだやるのか」と自律分身。


 トウコが鼻息荒く銃を構えて罠を踏む。


 飛んでくる弾丸を弾丸で迎撃するアレ。

 そんな技は伝説のガンマンにしかできない。


 というか、漫画じゃあるまいし、ムリだ。

 相手が矢だとしても相当に難しい。


 トウコは罠を踏んでは射撃している。


 真正面から矢を迎え撃つと危険なので、少し軸をずらしている。

 その分、弾丸の射線は斜めになる。


 矢と弾丸の射線が交わるのは一瞬。

 撃ち落とすタイミングはシビアだ。


 結局、拳銃の弾倉が空になるまで撃っても成功しなかった。



 トウコが頭をかきむしる。


「あーっ! ムズいっス!」

「むきにならず、ほどほどにしておけよ!」


「んじゃーラストっ! こいつで勝負っス!」


 トウコは拳銃からソードオフショットガンに持ち替える。

 ほう……?


 トウコはホームラン予告をするバッターのように、銃を前に向けて腕を伸ばしている。

 銃身のブレない綺麗なフォームだ。


「ていっ」


 罠を踏み、矢が放たれる。


 銃声。

 壁に散弾が当たって火花を散らせる。


 矢は――?


 トウコがガッツポーズを決める。


「うしっ! 成功っス!」


 矢は見事に撃ち落とされている!


「やったねトウコちゃん!」

「おおっ! ショットガンとはいえ、すごいな」と俺。

「これが毎回できるなら、実用性があるかもな」と自律分身。


 ショットガンの散弾はバラけるから、必ずしも当たるとは限らない。



「んじゃもう一回っ! 銃パリイっス!」


 ところが、できてしまった。

 百発百中とはいかないが、まあまあ成功する。


 銃弾は小さいが、矢はそれなりに大きい。

 タイミングを合わせて迎撃すれば、当たるらしい。


「マジか……」

「ははっ! 銃は矢より強しっス!」


 そりゃそうだけど!



 俺はリンを促す。


「じゃあ次はリンだな」

「えっ? 私は無理ですよー!?」


「撃ち落とすんじゃなくて、事前に盾を構えてスイッチを踏むんだ。射線から体はズラして手だけ出す感じで」

「うーん。それならできるかなぁ?」


 リンはおっかなびっくり罠を踏む。


「きゃっ!?」


 突き出した盾に矢が当たり、弾かれる。


「お、弾いたな! ちゃんと防げるようだ!」と俺。

「角度がないと貫通するかもしれないぞ」と自律分身。


「あっ!? でも少し傷がついちゃいましたー!」

「あとで直すよ! 角度によって貫通しないか試したいんだけど、貸してもらっていいか?」


「はいっ」


 リンから受け取った盾を分身に持たせ、正面から矢を受ける。

 ほぼ垂直に矢が命中。それでも盾は抜かれない。


 何度か試したが、盾が貫通されることはなかった。


 いいぞ!

 思ったより盾の強度は高い。

 矢じりのない木の矢なら防げる!



 自律分身が盾に当たって落ちた矢を急いで拾う。

 だがやはり、すぐに塵に変わってしまう。


「何してるんスか? 二号(にごー)

「いや、傷んでない矢なら回収できるかと思ってな」と自律分身。


 盾で弾いた矢はほぼ無傷で落ちている。

 それでも拾えない。


「まあ、俺のダンジョンだし……。基本的にアイテムの収集はできないんだろ」と俺。

「まあ、盾の強度が試せたからよしとするか!」と自律分身。


 リンが誇らしげな顔で盾を褒める。


「はい! ちゃんと防いでくれます!」


 トウコが手をあげる。


「じゃあじゃあ、銃で撃ったらどうっスかね?」

「さすがに貫通すると思うが……」


 ちらりとリンの様子をうかがう。

 ああ、やはり。ちょっと涙目になっている。


「それはちょっと……ダメです!」


 さんざん矢を受けたので、盾はもうボロボロ。

 これ以上は酷かもしれない。


「ああ。試すのはやめておこう」


 すぐに修理できるが、直ればいいって話でもない。

 リンは装備品を大事にしている。


 耐久テストは別の機会に試せばいい。

 洞窟や迷宮で銃を撃つと跳弾が心配だし、草原でやろう。



 傷んだ盾を【忍具作成】で修理(リメイク)する。


「よし、修理完了!」

「ありがとうございまーす! 大事に使いますねっ」


 リンが盾を大切そうに抱える。

 俺は皆に声をかける。


「さあ、先へ進もうか」


 通路の先が見えてきた。

 どうやら、広い部屋になっているようだ!

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― 新着の感想 ―
トウコ、穴を覗き込んで罠が発動したらどうするの? 死んで笑いをとるのはお笑い芸人だけにしてほしいけど。(本気で『好奇心』のマイナス特徴持っているんじゃないのこの娘。) そろそろ【罠感知】とか【罠解除】…
[一言] トウコは罠のありそうな鍵穴も覗き込みそうになって引っ張られるタイプだな…
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