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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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矢切はバッティングセンターで!?

 迷宮階層は親切である。

 松明が掲げられていて充分に明るい。


 通路の床の一部がぼんやり光っている。

 これは蓄光塗料の印だな。



 自律分身が床を指差す。


「ここにさっき俺が踏んだ罠がある。気をつけ――」

「へー。もう解除済っスか?」


 トウコが罠に近寄っていく。

 俺は言う。


「いや、そうとは限らないだろ!?」

「うえっ?」


 トウコが罠を踏む。


「おいっ!?」


 かちり、と作動音。

 そして風を切る音。


 通路の奥からなにかが飛んでくる!

 矢だ!


「うえっ!?」


 トウコが驚きながらも身をかわす。


「トウコちゃん! 大丈夫!?」

「セーフっス! ふぃー」


 トウコが汗をぬぐう。


 自律分身がやや語気荒く言う。


「だから気をつけろって言っただろ! 見えてる罠を踏むな!」

「いやー。もう動かないと思ったんスよ。気をつけるっス!」


 前にあったトゲの罠は一度踏むとしばらく動かない。

 しかし、この罠は何度も作動するらしい……。



 俺は言う。


「気持ちはわかるが、もっと慎重にな。あまり心配させるんじゃない」

「へへ。あざっス!」


 矢はスイッチの位置に向けて飛ぶようだ。

 トウコ以外は壁際にいたので、射線に入っていない。



 俺は言う。


「この罠が何度でも動くのか確認しておきたい。みんな壁際に寄ってくれ」


 自律分身が補足する。


「毎回同じコースで飛んでくるとも限らないから、避ける準備はしておけよ!」

「りょ!」

「は、はい。盾を構えておきまーす!」


 リンが盾トンファーを構える。


 これは前にも使った品だ。

 ポリカーボネート製で透明。

 左右の手に持つ二対(につい)の片手盾である。


 銃弾を防げるような強度はないが、矢なら貫通せず防げるはず。

 あとで矢の威力に盾が耐えられるか確認しなきゃな。



「じゃ、踏むぞ!」


 俺は掛け声とともに罠のスイッチを踏む。

 作動音。風切り音。


 そして矢が飛んでくる。

 位置は先ほどと同じ!

 およそ人間の胴体くらいの高さ。


 びゅん、と目の前を矢が通り過ぎていく。


 ふむ。何度も作動するようだ。



「もう一回!」


 罠を踏む。

 矢が飛んでくる。


 ただ罠の動きを見るだけじゃつまらない。

 せっかくだから――


「ていっ!」


 俺はタイミングを合わせ、刀を振る。

 だが失敗。空振りだ。


 まあ、矢を斬り落とすのは難しいからね。

 矢切(やきり)なんて、普通は出来ないよな!



「……もう一回!」


 罠を踏んでから矢が飛んでくるタイミングは毎回同じ。

 コースも同じ。


 意識を集中して――来た!


「ファストスラッシュ!」


 パシィッ!


 軽快な音と手ごたえ!

 刀が矢を捉え、見事に切り落とした!


「おー! ナイスっス!」

「す、すごいですね!」


 トウコが親指をぐっと立て、リンはパチパチと拍手する。



 自律分身が床に転がった矢の残骸を拾い上げる。


「木製の矢だな。矢じりはないけど、先端が鋭く尖っている」

「防具のないところに当たれば大ケガをしそうだな」と俺。


「おっと、消えちまった」と自律分身。


 矢は塵になって消える。

 拾い集めることはできないようだ。



「なんとなくやってみたが、案外斬れるものだな」と俺。

「俺もやってみたくなったぞ!」と自律分身。


「じゃ、交代な」と俺。


 自律分身は三回目で成功させた。

 スキルなしでもいけるようだ!

 さすが俺! 自律自賛!



 トウコが手をあげてぴょんぴょんと跳ねる。


「じゃあ次はあたしっ! アレっス! 正面から撃ち落とすやつをやるっス!」


 マンガでよくある、銃弾と銃弾をぶつけるアレ!


「アレをやる気か!?」と自律分身。

「それはさすがに無理だろ!?」と俺。


 俺たちは罠を楽しんだ。

 なにしてんだコレ!?

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― 新着の感想 ―
矢は嫌だ。って思っていたら、いつの間にかバッティングセンターに(笑) 毎回、罠を発動させようとするトウコの『好奇心5レベル(カンスト)』はなんとかならんのかな(笑) 物語上では、そんなもの存在しないの…
[一言] トラップは遊具じゃねぇよ!? 一応見切りの訓練にはなるかもしれんが…
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