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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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おかえりなすん!?

 公儀隠密の拠点に戻ってきた。

 さびれた寺の敷地を歩きながらオカダたちと談笑する。


 ダンジョン攻略を通じて、距離感が縮まったように感じる。

 オカダはもともと馴れ馴れしいヤツだったけど、コガさんとはほとんど話していなかった。


 もともと普通の生活をしていた女性だ。

 急に吸血鬼や忍者に慣れるわけないよな。

 俺たちに対しても、どこか緊張していたんだろう。



 オカダが言う。


「で、次はいつになるんだよゼンゾウ?」

「気が早いな! 見つかったら御庭から声がかかるだろ」


 帰って来たばっかりだってのに、やる気ありすぎる!


 コガさんが言う。

 出発前と違って表情は明るい。


「じゃ、じゃあ次までの間にいろいろ教えてください! 前は訓練なんて嫌でしたけど……ゼンゾウさんとなら……」

「お? コガさんもやる気になったか! じゃあ今度……」



 建物からリンが出てきた。

 俺を見つけ、笑顔で手を振りながら走ってくる。


「おかえりなさー……い?」


 リンははたと足を止め、表情を消す。


 スンってなった!

 おかえりなスンってなった!?


 なんでだ!?


「ただい……ま?」


 あ、コガさんか!?

 親しげに話していたから?


 いや……普通の会話だよ!?

 遊びの約束をしてたわけでもないし! 仕事仕事!


 うーむ。

 なぜ俺は内心で、求められてもいない弁明をしているのか……。



 オカダがコガさんの肩を叩く。


「んじゃコガちゃん。俺と先に行こっかー」

「え? は、はい」


 オカダは俺に軽く片目をつぶると、そのまま建物へ入っていく。

 おお! 配慮に感謝する!



 リンは無言で二人を見送る。

 睨みつけてはいないが、無表情なのでちょっと怖い。


「ただいまリン。わざわざ迎えにきてくれたのか?」

「……はい。お疲れ様でした。任務はどうでしたか?」


 リンに表情が戻る。

 ごく普通の柔らかい表情に戻っていく。


 うーん。久しぶりにコミュ障っぷりを発揮したな。

 これは怒っているとか責めているのとは違う。

 不安や心配のようなものだ。


 たぶん、本人は表情の変化に気づいていない。

 いわばフリーズ状態なんだよな。


 心配しなくたって浮気などしない。

 コガさんに対してそんな気持ちは全くない。



 リンを安心させてあげないといけないな。


「順調だったよ。この通りケガもない」


 リンはほっとしたように胸に手を当てる。


「よかったー! 少し遅かったので、なにかあったのかと心配しちゃいました」

「オカダたちにとっては久しぶりの外だから、存分に息抜きしてもらったんだよ」


「そうですかー」

「ダンジョンには人型のモンスターがいてさ。頭が犬みたいになってるんだ。たいして強くないんだけど……」


 そんな話をしながら建物へ歩いていく。


 リンやトウコにコガさんの見極めについては話していない。

 仲間を疑うようなことに関わらせたくないからだ。

 それに、リンが一緒だったらいろいろヤバかったと思う。



 今回の任務には目的がいろいろとあった。

 一挙両得、一石二鳥でまとめて解決できたぜ!


 サタケさんの治療。これはすぐに済んだ。


 ダンジョン潰し。

 これはオカダの希望である戦闘も含まれる。

 ダンジョンを潰したので、被害が外へ広がる前に収めることができた。


 そして、コガさんが公儀隠密メンバーにふさわしいかの見極め。

 能力の危険性と、本人の資質の確認だ。


 【庇護】を使ったのは意図的ではなく、力を制御できなかっただけ。

 事故のようなものだ。

 メンバーを害するつもりはなかったと判断できる。


 戦力としても問題なく、任務の役に立つ。

 そう御庭には報告するつもりだ。



 リンが言う。


「お二人は強いんですか?」

「うん。まあ吸血鬼だし、ケガや死ぬ心配をしなくていいのはうれしいね」


「そう、ですか」

「でも二人とも戦いに夢中になりすぎる。少し心配な場面もあった。別々の方向につっこんでいったりしてな。次はリンも一緒に来て、カバーしてくれると助かる――」


 リンが食い気味に答える。


「はいぜひ!」


 リンの機嫌も直ったようだ。


「頼りにしているよ。んじゃ、御庭に報告しなきゃな!」


 無事に帰って報告するまでが任務だからね!

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― 新着の感想 ―
[一言] まだスンとなるだけならいいけど疑って逆恨みしたりするヤンデレ型だったら大変だな… だが前者でもケアを怠ると爆弾が膨らんでやばい事にw
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