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六階層攻略! その3 先制攻撃!

 六階層の問題点その2!

 ――ゴブリンの職業。そしてスキル。


 斥候ゴブリンは【偵察】(ていさつ)とか【索敵】(さくてき)のようなスキルを持っているようだ。

 一定の距離に近づくと【隠密】【消音】を破ってこちらを見つけてくる。


 盾ゴブリンは【防御】とか【頑丈】だろうか。

 硬くて死ににくい。盾の扱いもちゃんとしていた。


 ナイフゴブリンはたぶん【片手剣】とか【短剣】だろう。

 今のところ地味なヤツ。


 魔法ゴブリンは【火魔法】が使えるようだ。

 魔法は強かったが、発動は遅い。

 防ぐ手段がないから、大きく避けるしかない点が脅威だ。


「厄介なのは斥候だな」

「あと魔法使いな」



 問題点は、隠れても見つかること。

 魔法が強力なこと。


「だが、対策は簡単だな」

「ああ。先制攻撃をしかけるまでだ!」


 対策はシンプル。

 隠れていれば、見つかる。

 ならば、先に攻撃すればいいのだ。


 発見されるのは一定の距離に入ったときだ。

 ならば、その範囲に入らずに投擲で仕留めてしまえばいい。

 まず狙うのは斥候。目をつぶせば、あとは簡単だ。


「よし決まった。いくぞ」

「おお。急ごう!」


 自律分身が消える前に、もう一戦はしておきたい。


 先を急ぐ。

 といっても、地道に通路の火を消しながら進む。

 安全第一は鉄則。効率はその次だ。



 ドアがあれば開けて、中を確認する。

 今のところ部屋の中にめぼしいものはない。


 部屋の先に別のドアがあり、そちらに通路がのびている場合もある。

 少し地形が複雑なので、ノートに地図を描いておく。


 帰り道はすぐにわかる。

 松明を消して来ているので、暗いルートをたどれば、間違うことはない。


 だが、ここはダンジョンだ。

 松明がすぐに復活する可能性も捨てきれない。


 迷宮で迷うとか、悪夢でしかないからな。

 ちゃんと地図は描こう。

 手間を惜しんではいけない。



 ちなみに自律分身に渡した武器は(ワイヤー)分銅と棒手裏剣のポーチだ。

 武器以外では、丸薬と投げモノ各種を持たせている。

 新しく作成した、コウモリの革製の腰袋に入れてある。


 基本的に自律分身はサポートに徹する。

 効果時間が切れるまで、フルで活躍してほしいからだ。



 アタッカーは俺だ。

 本体が前で戦うのは危険かもしれない。

 とはいえ、俺にはスキルがある。


 【打撃武器】と【片手剣】だ。

 【暗殺】【致命の一撃】も火力を高めてくれる。


 だから、俺が攻撃を担当するのがベストだ。



 もちろん、盾役は俺じゃない。

 攻撃を防いだり、注意を引く役割は普通の分身に任せる。


 さっきの戦闘では一体しか出さなかったが、これは魔力酔いを避けるためだ。

 自律分身のコストが重いから、念のために抑えた。


 今回は、二体でも三体でも分身を出せる。

 さっきより有利に戦えるだろう。

 戦いは数だよ、兄貴!



「――いたぞ。ゴブリンだ。四匹!」

「斥候、ナイフ、ナイフ、盾か。魔法使いがいないのはラッキーだな」


 俺は小声で自律分身と打ち合わせる。

 俺は先頭の斥候、自律分身はその後ろのナイフ使いを狙う。



 こちらは暗がりにいる。

 少し後退して、先ほど発見された距離よりも遠い間合い。

 自律分身には【暗視】がないから、下がりすぎると視界が利かなくなる。


 ゴブリン達が明るい場所にいる分には攻撃できる。


 集中し、斥候ゴブリンの頭部を狙う。

 音を立てないよう、素早く棒手裏剣を投擲する。

 闇を裂いて棒手裏剣が飛ぶ。


 斥候の頭蓋(ずがい)に、棒手裏剣が突き立つ。

 斥候は、そのままゆっくりと後ろに倒れて絶命する。


 見事なヘッドショットが決まったぜ!


「ビューティフル!」


 と自律分身が称賛してくれる。


 同時に投擲した自律分身の棒手裏剣も、ナイフ使いの胸に突き立っている。

 こちらは即死ではないが、十分な痛手を与えている。


 混乱したゴブリン達が騒ぎ出す。


「アギャア!?」

「ギッ!? ギギ!?」


 続けて、手裏剣を両手で連続して投げる。

 このまま、距離を取って倒せるならそれもいい。


 だが――


「――ウガッ!」


 盾持ちゴブリンが前に出て、盾を構える。


 ――そう簡単にはやらせてくれないらしい。


 木製の盾に手裏剣が小気味いい音をたてて突き立つ。


「ま、そうなるか」

「やっぱ、邪魔くさい奴だな!」


 分身を二体呼び出し、走らせる。

 腰だめ突撃を指示。

 狙いは弱ったナイフ持ちと、盾持ちだ。


 手裏剣を胸に受けたゴブリンは、分身一号に対応できない。

 攻撃を受けて塵となる。


 盾持ちは、分身二号の攻撃を防ぐ。

 だが、そのために味方を守る動きができない。


 もう一方のナイフ使いが、分身二号へナイフを突き入れる。

 分身二号が塵となって消える。


 ――消えた分身二号の後ろから走り込んだ俺は、クナイを振りかぶる。

 ナイフゴブリンは動けない。

 その首をクナイで掻き切る。


「しゃあ!」


 ナイフゴブリンは喉を押さえて膝をつく。

 これは致命傷だ。

 それを横目に、俺はさらに踏み込み、前へ。


 加速する。

 狙いは盾持ちゴブリンだ。


 駆けながら、俺はクナイを投擲する。

 狙いは頭部。

 ゴブリンが盾を上げる。


 その盾に、びぃん、と音を立ててクナイが突き立つ。


 ゴブリンはこちらに盾を向け、しっかりと構えている。

 体全体が盾に収まり、スキはない。


 だが、視界は遮られている。

 それが狙いだ。

 近づければそれで、勝ちだ。


 ――走りながら俺はバットを背中から抜く。


「フル――スイングッ!」


 強力な横振り攻撃――【フルスイング】が発動する。

 ゴブリンが構えた盾にバットが打ち付けられる。


 かえってくるのは、軽い手ごたえ。

 スキルの効果だ。


 そしてその効果は――ノックバック効果!

 俺の手ごたえとは裏腹に、強力な反発力が相手に生じる。

 防いだ盾ごと、ゴブリンを吹き飛ばす。


「グッ!? ――ゴフッ!」


 ゴブリンは、背中から壁へと激突する。

 壁から跳ね返って、盾を構えなおそうとしたところへ、自律分身の分銅が飛ぶ。


 その一撃は、見事に頭部を砕く。

 ゴブリンが塵となる。これでゴブリンは全滅。


 ――戦闘終了。先制攻撃作戦は成功だ!



 転がった戦利品の魔石を分身一号に拾わせる。


「うむ! 今度は楽勝だ!」

「ゴブリン相手はこのくらいじゃないとな!」


 対策すれば、こんなものだ。

 俺と自律分身は、同じ表情でにやりと笑った。

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[一言] 分身との連携が整ってきた(//∇//)
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