表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

967/1496

VSボス戦! 叩け! 殴れ! 忍び寄れ!

 俺は深呼吸をして呼吸を整える。

 無理なスキルの連続使用による魔力酔いは収まってきた。


 コガさんと自律分身の安全はまだ確認できていない。

 その周囲で判断分身がザココボルドと戦っている。

 戦力は拮抗しているから、すぐに倒されはしないだろう。


 まずはボスを倒すとしよう!

 そうすればザコも弱体化するはずだ。



 水噴射で押し流したボスの取り巻きも立ち上がり始めた。

 オカダがそれを殴りつける。


「寝てなッ!」


 もぐら叩きのようだ。

 強化された肉体から放たれたパンチはすさまじく、一撃でコボルドを塵に変えていく。


 もはや、囲まれようがお構いなし。

 剛腕で敵を殴り散らしていく。

 こちらは任せておいて大丈夫だろう。



 俺はボスへ注意を向ける。

 モヒカンコボルドが俺に憎悪の目を向けている。


「ガァァーッ!」


 モヒカンは口の端から泡立った唾液をまき散らしながら吠える。

 その姿に知性は感じられない。

 今はモンスターに成り下がっているとはいえ、元は人間のはずだ。


 問答無用で始末はできない。

 あまり期待できないが万が一の可能性はある。


 俺は対話を試みる。


「なあ。もし人間としての意識が少しでも残っているなら、戦いをやめて話し合ってみないか?」


 モヒカンコボルドは牙をむいて唸る。


「グルル……ツブス! タタキツブス!」


 大棍棒が振り下ろされる。

 俺はそれを下がって避ける。


 硬い床にぶち当たった棍棒が火花を散らす。


「やれやれ! やはり話は通じないな!」


 そう言いながら跳躍。

 大棍棒を踏みつける。


「ヌゥッ!?」


 モヒカンは力任せに、上に乗った俺ごと棍棒を持ち上げようとする。

 俺は足裏を吸着させる。


「もらったっ!」


 俺は力任せに持ち上げられた棍棒の上でバランスを取り、クナイを走らせる。


 狙いは棍棒を掴む指!

 すぱりと、数本の指を斬り飛ばす!


「ギャァア!」


 叫び声をあげながら棍棒を取り落とすモヒカン。

 そして苦し紛れに素手で殴りかかってくる。

 俺はその一撃を回避。


 俺が下がるのと入れ替わるように、オカダがモヒカンへ突っ込んでいく。


「おらあッ!」

「ウゴォッ……」


 鋭いボディーブロウに、モヒカンが体を折る。

 効いている!

 すでにヒットポイントは削れている!


 周囲を確認。

 もうザコはオカダが仕留めている。


 オカダは執拗にボディブローを叩きこんでいく。


「さっきは! よくも! やりやがったなっ!」

「ウグ……! グアッ! ゲホォッ……!」


 モヒカンは両腕で防御しようとしている。

 だがガードのスキマを縫って打撃が打ち込まれていく。

 一発一発が的確に腹を撃ち据える。


 そのとき――ピリついた感覚を覚える。

 【危険察知】の反応!?


「なにかヤバイぞっ!」


 危機感の発生源はモヒカンコボルド!

 俺は背後へ飛びすざって防御態勢を取る。


「――ウガァァァッ!」

「な――!」


 モヒカンの体から、なにかが放たれる。

 それを受けて、オカダがのけぞる。


 おそらくは、目に見えない衝撃波のようなもの。

 さいわい距離を取った俺にはほとんど届かない。


 のけぞり、無防備になったオカダの両腕をモヒカンがつかむ。

 そして大口を開け、オカダへとかぶりつく!


「モラッタァァァ――!」


 バランスを崩しているオカダは突き放せない。

 もはや避けられないと悟ったオカダがこわばった顔で叫ぶ。


「うおぉぉー!?」


 牙がオカダの首筋に到達する――

 ――その寸前。


 俺はボスの背後へ忍び寄り、クナイで首をかき切る。

 完全な不意打ち。完璧な手ごたえ!


「グッーー!?」


 小さなうめきを残して、ボス個体が塵に変わる。

 生成された魔石を引き寄せてキャッチする。


 無言、無音でのサイレントキリング。

 久しぶりの【暗殺】【致命の一撃】である!



 オカダが困惑したように言う。


「えっ!? ……終わりか? ゼンゾウが倒したのか!?」

「ああ。横取りして悪かったな。でも早いもの勝ちだろ?」


 噛みつかれてもオカダは死ななかったはず。

 きっと反撃して、勝てただろう。


 でも、ノーマークの俺がなにもせず見ているってのもね。


「おう! オーケーオーケー! グッジョブだぜゼンゾウ!」

「まだ気を抜くな! コガさんと自律分身を――!」


 ボス撃破の余韻に浸っている場合ではない。

 俺はコガさんたちに注意を戻す。


 振り向いた先では――倒れた自律分身の上にコガさんが覆いかぶさっている。

 良く見えない。何をしているんだ!?


 まさか――?

 血の誘惑に負けてしまったのか!?


 オカダと俺はちらりと目線を交わす。

 焦りと不安が読み取れる。俺もそうだ。


 どうか、はやまらないでくれよ! コガさん!

 俺とオカダは二人のもとへと走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 暗殺系お得意のバックスタブってやつだね 流石忍者汚い!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ