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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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VSボス戦! 叫べ! 放て! 押し流せ!

 ボスの咆哮により、取り巻きのコボルドが強化されている。

 いわゆる集団強化。士気高揚効果か!?


 敵の攻めが苛烈になっている。



 自律分身がコガさんへ叫ぶ。


「壁を背にしろ! 囲まれるな!」

「はいっ……ああっ!?」


 コガさんが棍棒の一撃を血の爪で受ける。

 耐久を越えた爪が砕け散る。


 そこへさらにコボルドが襲いかかる。

 よろけているコガさんは動けない。


 振り上げた棍棒がコガさんの頭蓋を粉砕しようとしている!


 コガさんは頭を抱えしゃがみ込む。

 そして――悲痛な叫び声をあげる!


「た、()()()()ェッ!」


 その声は俺の心を強く揺り動かす。


「――うっ!?」


 すぐに助けなければ!

 何もかもを振り捨てて守るんだ!


 強迫観念じみた強い感覚が俺を支配しようとする。

 だがその心の動きを【精神耐性】が抑える。


 この揺り返しが、俺に迷いをもたらす。

 コガさんを守るべきか!?

 そうすべきではないのか!?


 どちらの判断が正しいのかわからない。

 いや、見捨てる選択肢などあってはならない!


 迷っていたのはほんの一瞬。

 致命的な一瞬だ。

 俺は動けない――


 だが自律分身は動いた。

 刀を構え、倒れたコガさんの前に立ちふさがる。


 その姿はさながら弱者を守るヒーローのようだ。

 しかし、そういう立ち回りは――!


「アウオォ!」


 コボルドが雄叫びとともに棍棒を振る。


 それを自律分身は刀で受け――

 ――キィンと高い音を立てて刀が折れ、棍棒が自律分身の肩へ打ち込まれる!


「ぐっ……!」


 自律分身が膝をつく。


「ぐっ……!?」

「アウッ!」


 さらにコボルドが追撃する!

 自律分身は動けずに、もろに攻撃を受けている。


 ついに吹き飛ばされた自律分身は――動かない。



 周囲には多数の敵。

 オカダは敵の海に沈んでいる。

 コガさんは頭を抱えて震えている。

 自律分身も倒れた。


 あっという間に全滅寸前に追い込まれている!

 その危機感が意識を加速させる。


 呆けている場合か!

 迷うな! 動け!


 目の前に敵が迫っている。

 体はもう動いている。


「ファストスラッシュ! 分身の術!」


 俺はクナイを一閃してコボルドの喉を切り裂く。

 それと同時に放った分身が周囲の敵へ向かう。


 さらに分身を展開していく。

 倒れた二人を守ること。周囲の敵へ攻撃すること。

 シンプルな命令を下し、とにかく数を出す。


 数には数をあてる!



 さらに重ねて術を練る。

 少し集中時間が要る――!



 コボルドが攻撃動作に入る。

 しかし遅い。


「ウガァッ!」


 棍棒の一撃を軸をずらしてかわす。

 そして逆手に持ったクナイで手首をホールドしながら肩口を押す。


「せいっ!」


 手首を切り裂き、関節を砕く。

 投げ飛ばされたコボルドが後続の敵へと突っ込んでいく。


 これで周囲にスペースが開いた。

 そして術の集中も終わった。


 もはや手の内を隠している場合ではない!

 いざというときのために強化しておいた忍法を使う!


「水忍法――水噴射!」


 腰だめに構えた両腕から水流がほとばしる!

 さながら水の柱。

 勢いよく流れ出た濁流が敵を襲う。


「ウガッ!?」

「ギャゥゥ!」


 近場のコボルドたちが次々と吹き飛んでいく。


 さらに続けて放水!

 オカダのいるあたりに狙いをつける!


「うおお……おりゃあっ!」


 強い反動に足がずりずりと滑る。

 足裏に【吸着の術】をかけて踏みとどまりながら両腕に力を込める。

 横へなぎ払うように水流を放っていく。


 そのまま水流が、少し離れた敵集団へ達する。

 オカダも巻き込むが、しかたない!


「アギャァ!」

「ゴボッ!?」


 敵は足を取られて転倒し、わめき声をあげる。

 そして、なすすべもなく押し流されていく。


 ボス個体を含めて、立っている者はいない。



 俺はめまいを覚えて術を中断する。


「う……!?」


 急速な魔力使用の反動。魔力酔いだ。


 今は丸薬も魔力回復薬もない。

 無理はできない!



 最初に立ち上がったのはオカダだ。

 水浸しになって困惑している。


「な、なんだァ!?」

「オカダ! 本気でやれっ! 遊んでる場合じゃない!」


 オカダはまだ変身していない。

 人間の姿のままだったから、囲まれてタコ殴りにされてしまっていたのだ。


「ゼンゾウのおかげか! よくわからねーが助かったぜ!」


 そう言うとオカダは体を変化させていく。

 顔に血管が浮かび、どくどくと脈打っている。


 緩めのパーカーが、盛り上がる筋肉に押されてふくらんでいく。

 服の上からでもわかるほどの筋肉量。

 そして口元から鋭い牙がのぞく。


 変身――【身体一時強化】を使ったのだ。


「しゃあっ! さんざんぶっ叩いてくれたな! 倍返しにしてやらぁ!」

「一気にボスを倒すぞ!」


 よし! 反撃開始だ!

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― 新着の感想 ―
[一言] これは後で自律のフルボッコにされた記憶が…
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