精神攻撃、あるいは精神防御? 庇護と精神耐性!
周囲に敵影がないことを確認する。
「ひとまず戦闘終了だ。次が来る前に話の続きをしよう。それで、コガさん。持っているスキルを教えてくれるかな?」
【身体美化】【身体強化】があるとわかっている。
他には?
「は、はい。【暗視】【吸血】があります。それから……【庇護】です」
コガさんの言葉に、オカダが聞き返す。
「ひご? なんだそりゃ?」
「さあ……。よくわかりません」
名称だけじゃわからんね。
俺は言う。
「説明はどうなってる? スキル欄を調べるとわかるはずだ」
「あ、そうなんですね。ええと……。庇護欲をかきたてる……です」
隠さずに明かしてくれたか。
これが例のスキルに違いない!
一つ前進だ!
オカダが言う。
「庇護欲? たしかにコガちゃんは守ってあげたい感じがするなー」
「で、どうやって使うんだ?」
「さあ? スキルってどうやって使うんですか?」
そこからか!? なら無意識に使ったのか?
「オンオフできるものもあれば、意識して使うものもある」
「うーん? わかりません……」
首をかしげるコガさん。
頼りないその姿を見ていると、教えてあげたい気持ちになってくる。
うーむ。
これがスキルの効果だろうか?
しかし、【魅了】のように強い作用は感じない。
強く心を動かされてはいないはずだ。
別に【庇護】がなくても、これくらいのことは教えるし……。
スキルが発動しているとして、俺は抵抗できているんだろうか?
抵抗するための特訓はしてきた。
だけど、そのせいで効果が発揮されているか分かりづらいんだよなあ。
俺はオカダに言う。
「オカダはどう感じる? 【庇護】スキルの影響を受けていると思うか?」
オカダは即答する。
「俺はいつも通りだ! コガちゃんはいつも通りかわいい!」
「えっ……うう。からかわないでください!」
いちいちイチャつくなって。
「オカダには【魅了耐性】があるから精神攻撃は効かないか」
「わ、私……攻撃なんてしてません!」
コガさんが少し涙目で抗議する。
「ああ、悪い。そういう意味じゃなくてな。ゲーム的に解釈すると、そういうスキルは精神攻撃に分類されるって話」
「庇護は攻撃ってより防御っぽいよなー」
精神攻撃だとか精神防御だとか……。
字面だと理解しにくくなるなあ。
まあ、用語の問題だ。
「身を守るため、守ってもらうためのスキルとも言えるな」
「これ……役に立つんでしょうか?」
「うーん。あとでモンスターに向けて試してみようか」
「はい……どうやるのかわかりませんが、やってみます」
効果が防御的だとしても、仲間に向けるのはよくない。
カミヤのせいで【魅了】のようなスキルは印象が悪いんだよね。
ちなみに俺は今日に備えて新しいスキルを取得してきた。
精神に作用するスキルへの対策である。
それなしに、洗脳持ちかもしれないコガさんと対峙はできない。
耐性スキルを得るために特訓したのだ。
身につけたのは【精神耐性】である!
【庇護】が精神に作用するなら、防げるはず!
どんな特訓をしたかって?
精神に作用するスキルを受けまくるという、荒業である!
これにはリンに協力してもらった。
ひたすら【魅力】と【ポージング】をかけてもらう。
これに抵抗しないといけないのがツラい。
つい欲望に身を任せてしまいたくなる! 過酷!
ストイックな修行である!
特訓は深夜まで続いた。
それはもうハードだったぜ!




