表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

955/1493

デビュー戦は見極めで!?

 まだコガさんは血液パックの件がバレたことを知らない。

 その件で注意を与えてはいない。


 今回の任務も、悪性ダンジョンを潰すだけだと伝えている。

 現場に出て、どう行動するかを見極めるのだ。

 そうすれば本心がわかる。


 コガさんを疑っているとは言わない。

 知られると身構えてしまうからだ。


 移動中に逃げようとしたらアウト。

 俺やサタケさんを襲ってもアウト。


 ここまではクリアしている。



 事前に知らせては意味がない。

 本心を隠して、機会が来るまで潜伏されると困る。


 御庭の所感ではコガさんはグレー。

 メンバーの安全を考えて、疑わしい要素は残せないという。


 俺はコガさんの疑いを晴らしたい。

 彼女に害意はないと……安全だと保証してあげたい。


 コガさんを試すことはオカダも知っている。

 いわば協力者だ。

 だから俺一人でオカダとコガさん両方を敵に回す可能性はない。


 オカダが裏切る可能性は低い。

 そう御庭は判断した。

 俺もそう信じている。


 オカダはチャラいが、マヌケではない。

 生き延びるという点では、誰より賢く立ち回れる。

 冷酷なカミヤの下でも生き延びたのだから。



 オカダがコガさんの肩をバンバンと叩く。


「まあ、吸血鬼もそう悪くないって! 人間を食わなきゃオーケーオーケー! ボスとの約束を守っときゃいいんだよ!」


 さらりと念押しするオカダ。

 コガさんは弱々しく首を振る。


「も、もちろんそんなことしません! そもそも私はなにもできませんし……」


 何もできない!?

 いや、吸血鬼の職業を持っているし、スキルもあるだろ?


 レベルやステータスもあるはずた。


 なにもできないことはない。

 彼女はスキルを隠しているな。


 公儀隠密のスタッフにかけた、精神に作用するなにか。

 【洗脳】とか【魅了】のようなスキルを持っている。


 俺たちをだますために、能力を隠している?

 疑いの目でみれば、そうなる。


 でもそうとは限らない。

 まずは、信じる前提で考えてみよう。


 スキル欄を見たのは今日が初めて。

 そこに【魅了】のようなスキルがあったら?

 それを言えるだろうか?


 リンも【魅力】を隠していたし、使うことに後ろめたさを感じていた。

 俺だって自分のスキルを人に話したりしない。

 見せるのは一部だけ。全部じゃない。


 能力を隠すのは当然だ。

 このことだけで、彼女を咎めることはできない。



 俺はコガさんにたずねる。


「それで、コガさんはどうやって戦うんだ?」

「私、戦うのはニガテなんです。訓練を受けたけど、ぜんぜんダメで……」


 彼女は公儀隠密で戦闘の訓練を受けている。

 ステータスが発揮されない外とはいえ、彼女は運動や戦闘が得意ではない。

 そもそも戦う意志が弱く、積極性がないと言うのが公儀隠密の見解だ。



 でもここなら。

 ダンジョンでなら、どうだ?


「ステータスは見たんだろ? なら、もうスキルは取ったのか?」

「あ、スキルはありました! 【身体美化】とかそういうのしかなくて……」


「【身体美化(しんたいびか)】? 聞いたことがないスキルだな」


 オカダが言う。


「それは俺も持ってるぜ! 二段階だ!」

「へえ? オカダもルックスはいいよな」


 チャラいお兄ちゃんって感じだけど。

 オカダがにやりと笑う。


「だろー? ま、俺はもともと顔はいいけど」

「ちょっと腹立つなお前……」


 顔や体が完全な別物に変わるわけじゃないようだ。

 ダンジョンから出ても見た目に変化はない。


 スキルを取ったときに肉体が永続的に変わるのかな?

 そういう仕組みなら、スキルが無効化される外でも効果が残るわけだ。



 コガさんはやや明るい声で言う。


「私はその……四段階です。おかげで、キレイになれたんです!」

「スキルレベル四!? すごいな!」


 見た目につぎ込みすぎだろ!?

 いや、ステータスウィンドウからスキルを選んだわけじゃないのか。



 オカダが言う。


「それだけ強い願いだったんだろ。俺の場合は回復力だったし」


 願望を反映して勝手に取得された感じか。


「これだけは……吸血鬼になってよかったかなあ……」

「そーだろ? マスクで隠してないで、かわいい顔をみせてくれよ!」


 うわあ……。

 さすが陽キャ!

 そういうことを平然と言ってのける!


「えっ……。あ、あはは。そんなこと言われたことなくて……うう。恥ずかしいです」

「ほらほら! マスクいただきー!」


 オカダがコガさんのマスクを取る。


 うむ……たしかに美人!

 どこか弱々しく、はかなげな感じ。


 コガさんは恥ずかしそうに笑う。


「や、やめてくださいよ。もう……」


 お、この子もこんな風に笑えるんだな。


 ていうかオカダはグイグイ行くなあ。

 自然に口説きよる!



 にしても、見た目のために四段階もスキルを取っているのか。

 偏ったスキル構成だ。

 戦闘が得意でないというのもうなずける。


 でもそれが彼女の望みなんだから、叶ってよかった。

 だけど戦闘面では役に立たないかな?


 【モデル】の【美肌】のような効果があるといいけど。

 名称から想像するに、ないんじゃないかな……。



 結局、見た目の話しかしていない。

 気になるのは戦闘に使えるスキルだ。


「それでコガさん。自分のスキルを明かすのは抵抗があるかもしれないが、今後のために聞いておきたい。他にはどんなスキルを持っているんだ?」


 さて。

 彼女はどう答えるだろう?

ご意見ご感想お気軽に! 「いいね」も励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
“人間やめたくない”、“吸血鬼になりたくない”って強く思い続けた結果が【身体美化】4レベルなのですね。 効果は、外見が(レベルが上がるほど)人間に近くなるのかな? 3レベルで人間だった時と同じ姿になり…
[一言] 鑑定みたいなスキルはないんかのぅ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ