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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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防刃素材でファッションチェック!?

 俺たちは公儀隠密のバン()で現場に向かっている。

 その中で装備を整えているところだ。


 今日は公儀隠密の武器庫で見つくろった装備を使う。

 愛用の忍者刀が手元にないのは心もとないが、なんとかなるだろう。


 忍者は武器を選ばない。

 その場に応じた装備で、ときには無手で戦うのだ。


 基本的にダンジョンの装備は外に持ち出せない。

 【忍具収納】経由でいつもの装備を持ち出すこともできるが、収納は枠が限られる。


 今日はポーションを三つ持ってきた。

 治癒薬二つ。状態異常回復薬(リカバリーポーション)一つ。

 これで枠はいっぱいだ。


 武具や防具は現実のものでも代用できる。

 しかし、ポーションにかわる薬なんてないからな。


 一つはサタケさんに使うことが決まっている。



 合流してこってり怒られたハルコさんが言う。


「もうすぐ現場に到着しますよぉー。装備はどうですかぁ?」

「問題なさそうだ。見た目、おかしくないよな?」


 防具は長袖の戦闘服だ。

 防刃素材で、高い耐切創(たいせっそう)耐性と突き刺し耐性を持つ。


 迷彩柄だったり、ゴテゴテした装飾はなく、いたって普通のデザイン。

 ミリタリー感はまったくない。


「んー。ぜんぜん()えませんねぇ? でも、ダサくはないですよぉ」

「まあ不審者に見えなきゃいいんだ。ありがとう」


 ハルコさんのファッションチェックではギリギリ及第点というところか。

 たぶんアクティブなサラリーマンか、オシャレな職人みたいに見えるはず。



 エドガワ君も俺と似たような恰好だ。

 しかし服のデザインや色合いは俺とは違う。


 細身のエドガワ君が着ると、なかなか悪くない。

 もっと背筋を伸ばして堂々としていれば()()()かもしれないな。


 うむ。これなら、誰かに見られても特殊な服だとは思われないだろう。



 俺はサタケさんにたずねる。


「御庭の服も似た感じなんですよね? ずいぶん高級そうだけど」

「あれはオーダーメイド品だ。特殊な職人に仕立てさせたらしい。見た目なんて最低限でいいと思うがな」


 御庭のスーツは一流ブランドのように見える。

 いったい、どれほど費用がかかっているやら……。


「まあ、ダサい上司よりは、シャレてたほうがいいか」

「たしかにな」


 サタケさんがふっと笑う。

 その服は少しくたびれている。

 見映えが悪いほどではないけど、ハードボイルドがにじみ出ている。


 渋い刑事とか、私立探偵みたいな雰囲気。

 前から歩いてきたら道を譲っちゃうね。



 ハルコさんがジト目で言う。


「サタケさんはもっと服に気を使ってほしいですねぇ?」

「……げほっ」


 サタケさんは咳払いして、苦虫を噛み潰したような顔になる。


 ファッションチェック不合格!?

 しかしそれを口に出して言っちゃうのかよ!


 遅刻して怒られたばっかりなのにすげぇ!


 すかさずエドガワ君が頭を下げている。



 そんなやり取りをしながら装備を身につけていく。


 俺の武器は公儀隠密の忍者刀だ。

 いつもの品より少し長い。


 愛用の刀と違って峰は厚くないので、打撃に使えるかはわからない。

 まあ本来、峰打ちなんて頻繁にやるもんじゃない。

 刀として使えれば充分だ。


 加えて腰袋を装備した。

 これはいつもと感覚を変えたくないからだ。


 腰につけると、一気に職人感が増す。

 とはいえ不審人物とまでは思われないはずだ。


 もともと店売りの品だし、同じ品はいくつか買い増している。

 傷んだものを【忍具作成】で修理することもあるが、それはダンジョン外に持ち出せなくなる。


 これは新品に近い。

 【忍具作成】で手を加えていないから、付いているポーチなどが少ない。



 公儀隠密の武器庫から投げナイフを何種類か持ってきた。

 これも使い心地を試すためだ。

 使いにくければダンジョン内の魔石でクラフトして調整すればいい。


 消耗品なので返却しなくていいらしい。

 経費みたいなものだ。

 さすが公儀隠密。資金は潤沢!


 俺なんてホームセンターの五寸釘でダンジョンに潜ってたのにね!



「オカダは準備しないのか?」

「オーケーオーケー! そんなもんいらねーな」


 オカダは普段着である。

 炎柄のデザインで、なかなかシャレたパーカーである。

 にしても……チャラいな。



「コガさんは?」


 コガさんは小柄な体を長袖長ズボンですっぽり覆っている。

 ニットキャップを深めにかぶって、手袋までした完全防備。


 大きなサングラスとマスクまでしているので、表情がぜんぜん見えない。


「わ、私は……日焼け止めをたくさん塗ってきました!」

「それって日光対策で?」


 吸血鬼だからなあ。

 弱点をカバーするために必死なんだろう。


「そうなんです……。すぐ日焼けしちゃって……!」

「日焼けって……。日光が弱点だからとかじゃないの!?」


 オカダが頭の後ろで腕を組みながら言う。


「まー、そのへんは個人差だなー。俺は日焼けしてもすぐ治るから気になんないねー」

「日焼けするだけなら、たいした弱点じゃなさそうだな」


 灰になって死ぬ心配はないと。

 なにそれ、弱点ないじゃん! 吸血鬼!


 俺の言葉にハルコさんが反応する。


「えぇー? 日焼け対策は絶対必須ですよぉ!?」

「で、ですよねっ! この体質になってから、紫外線に弱くなっちゃって……」


 コガさんとハルコさんは謎の連帯感を見せている。

 心配する程度が違う気はするが……まあ、仲良くできればいいんじゃないかな!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 隠密なら不審者として見られる以前に人にみつからないようにしないといけないぞ!
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