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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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公儀隠密のお仕事!

 今日は公儀隠密のお仕事だ。

 リンとトウコは学校のため不在である。


 ノックをして会議室に入る。


 御庭が笑顔で片手をあげる。

 あいかわらずの高そうなスーツ。そしてサングラス。


「やあ、来たねクロウ君!」

「よう、御庭」


 すぐそばに立っているナギさんが小さくうなずく。

 俺も小さくうなずき返す。



 御庭が言う。


「ひとまず、空いてる席に座ってくれるかな」


 会議室を見回す――


 席についているのはサタケさんとエドガワ君。

 反対側にオカダとコガさん。


 俺はその中間あたりに座ろうかな?

 などと考えていると、オカダが隣のイスを引いて、バンバンと叩く。

 そして人懐こい笑顔を浮かべて言う。


「よーう! 久しぶりだなゼンゾウ(偽名)! ここ座れよ!」

「おう! オカダは元気そうだな」


 そんなに親しかったっけ? という感じがする。

 陽キャ特有の謎の距離感である!


 オカダが言う。


「はは。元気なら有り余ってるぜ。今日は久しぶりの外だ! 楽しもうぜー! なあコガちゃん!」

「は、はあ……。楽しみですね」


 コガさんは引きつった笑みを浮かべる。

 あまり楽しみには見えないな。


 彼女は前回の吸血鬼事件の被害者だ。

 吸血鬼に変えられ、カミヤに捨て石にされたところを保護した形だ。


 保護とはいえ、変異してしまった彼女は監視の対象でもある。

 そうしてオカダと共に公儀隠密に入ったのだ。


 御庭からは、彼女が()()()()()()()()を起こしたと聞いている。



 俺は席に着く。


「……で、もうみんな揃っているのか? 待たせたなら申し訳ない」


 時間より前だけど、みんな席についているようだし。



 サタケさんは腕を組んで、いらいらした様子である。

 あれ? なにを怒ってるんだ?


「いや、クロウさんは時間通りだ。まだアオシマが来ていないが、先に始めよう」

「ハルコさんは遅刻です……すみません……」


 エドガワ君が俺に手を合わせて謝る。


 ああ……それでサタケさんが怖い顔しているのか。

 ハルコさん……後で怒られるぞ!



 御庭が手を叩き、皆の注目を集める。


「さて、悪性ダンジョンが見つかったから、その対処に行って欲しい! 今日はオカダ君とコガ君の初任務だよ!」

 オカダが好戦的な笑みを浮かべる。

 一方、コガさんは縮こまっている。


「腕がなるぜ!」

「はい……」



 御庭がサタケさんに言う。


「じゃあ、サタケ君! 説明を頼むよ!」


 サタケさんが前に出る。

 スクリーンに情報が投影され、ブリーフィングが始まった。


「ごほん……現場は一軒家の個人宅。住人は数日前から行方不明となっている。監視カメラや移動履歴から、家を出ていないと予想される。生存の可能性は低いとみていいだろう」


 住人の顔写真や個人情報がスクリーンに映し出される。

 独身男性で、近くに住む親族もいない。

 家族が巻き込まれる二次被害は起きていないようだ。



 サタケさんが続ける。


「調査チームで、一度現場へ行ってきた。その結果、悪性ダンジョン領域の発生を確認済だ。規模は小さい。寝室の一部屋だけが呑まれている」

「ふむ……」


 俺は情報を頭に入れながらうなずく。

 周囲に被害が及びそうな状況ではない。

 急ぎの案件ではなさそうだ。



 サタケさんが言う。


「ダンジョン領域内で人型の化け物を確認した。頭が犬で、体が人間。体格は中肉中背といったところだ」


 オカダが軽い調子で言う。


「おっ? 人型か! ナイスナイス! やりやすいぜー!」


 オカダは拳で戦うから、人型が得意なのかな?

 俺もゴブリンで慣れているから、人型なら戦いやすい。


「サタケさんは、犬頭のバケモノと戦ったんですか?」


 俺の質問にサタケさんが答える。


「ああ。銃があれば勝てる相手だ。会話も試みたが、話は通じない」

「ダンジョンの中には入りましたか?」


「いや。入っていない。これは手順通りだ」

「そうでしたね」


 ダンジョンに入ると銃が使えなくなるし、エドガワくんたち異能者は力が弱まる。


 だからダンジョンは外から叩くのがセオリーだ。

 ダンジョン領域なら銃も使える。


 ダンジョン領域でモンスターを狩り続けると、ボスモンスターが外に出てくる。

 それを倒して、ダンジョンを消すのが通常の対応。


 しかし、今回はそうしないわけだ。



「今回はここにいるメンバーで突入するんですか?」

「いや。クロウさんと俺。げほっ……。それとオカダ、コガの四名だけだ」


 サタケさんの咳はまだ治らないようだ。

 エドガワ君が言う。


「ボクとハルコさんは領域外で待機させてもらいます」


 御庭とナギさんも参加しない。

 まあ、組織のトップが毎回現場に出なくてもいいだろう。



 御庭が言う。


「サタケ君は前回の負傷が残っているから、クロウ君に治療してもらったら退出する。クロウ君とオカダ君たちで、ダンジョンに対処してもらう。もちろん、ダンジョンの内部が危険そうだったらムリはしないこと。すぐに撤退して欲しい」

「ああ。わかった」


 サタケさんが頭を下げる。


「毎度、手間をかける」

「いえいえ。体を張って戦っているんだから、治療くらいさせてください」


 サタケさんは前回の任務で負傷している。

 異能もスキルもない一般人なのに、生身で戦っているのだ。


 公儀隠密の全員が異能持ちではない。

 むしろ、そうでないメンバーのほうが多い。


 ポーションで治せるなら、どんどん使えばいいのだ。



 御庭が言う。


「今回はオカダ君たちの気分転換のウェイトが大きい。クロウ君には手間をかけるけど、付き合ってあげて欲しい」

「ああ。もちろんだ」


「頼むぜゼンゾウ! 俺たちは閉じ込められて飽き飽きしてんだ!」

「お、お願いします」


 吸血鬼である二人は公儀隠密の拠点から出られない。

 そのうっぷんをダンジョンで晴らそうというわけだ。

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[一言] ダンジョンの回長くて仕事忘れてた!
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