表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

945/1498

竪穴と暗渠と積み上がる岩!

 水路の行き止まりの空間。

 平らな岩に上陸した俺たち。

 この足場は充分に広く、安定している。


「流されると困るから、ボートを引き上げておこう」


 上を見上げる。

 天井は高い。


 いや、天井という言葉では表せないか。

 上へ向かう筒状の空洞である。

 斜めに続く竪穴(たてあな)と呼べばいいかな?



「やっと陸に戻れたな」


 俺はゴムボートをチェックしながら言う。

 穴は開いていない。まだ使えそうだ。

 これなら、仮に引き返すことになっても問題ないだろう。



 俺の言葉にリンはほっとしたようにうなずく。


「はい。これで安心ですー」

「あたしは船も楽しかったっス!」



 落ち着いて周囲を見回す。


「来たルート以外の道はないな。となると、この岩を登ってみるか、引き返すか……」

「天井が見えませんねー」


 俺は上を見上げる。

 胸にさげたヘッドライトの明かりと【暗視】で視界は確保できている。


 足場にしている岩場から、岩が積み重なっている。

 真上ではなく斜めに続いているので、一番上までは見通せない。



 蛾が飛んでいる。

 はっきりは見えないが上に行くほど多いようだ。


 どこかから入り込んだのか。

 この空間で湧いたのか。


 蛾は俺たちにむかってくるわけではないが、飛んでいるだけで鱗粉をまき散らしている。

 おかげでフルフェイスヘルメットが外せない。



 トウコが目の前の岩を蹴る。

 岩の塊はびくともしない。


「ていっ! この岩は登れそうっス!」

「道とは呼べないが、上に続く通路と考えればいいのか?」


「たくさん積み重なっているので、なんとか登れるかなぁ?」


 階段でもスロープでもない。

 足場となるのは、積み重なった岩である。


 一つ一つの岩はかなり大きく、俺の背丈を超えるものもある。

 足がかりはあるので、頑張れば登れそうだ。


 俺は【壁走りの術】があるから平坦な道と変わらない。

 だけど、リンやトウコにとっては大変だろう。


「ゲームだったら登れない段差っス!」

「協力しないとな」


 ゲーマーにしかわからん例え!

 二人プレイなら、片方(バディ)が足場になったり上から引き上げるくらいの段差だ。


「普通にたいへんそうです……」


 リンの声には不安が混じっている。


「もちろん手を貸すから心配するな。俺にとって壁は床みたいなもんだ」


 そう! 【壁走りの術】ならね!



 トウコは妙な手つきで指をわきわきしている。


「あたしは下からリン姉を押すっス! 協力プレイっス!」

「じゃあ、最後に残ったトウコを置いて先に進むということで!」


「いやいやっ! 最後に店長があたしの尻を押し上げ……いや、突き上げるっス!」


 わざわざ言い直さんでよろしい。



「登る前に、まずはこのあたりを探索しよう。横穴がないか、宝箱がないか調べてくれ」

「はーい」


 せっかく苦労してきたんだから、なにかあってほしい。

 なにもないなら二度と来ないような場所だから、今しっかり探索しないとね。


「じゃ、あたしは蛾を倒しとくっス!」


 トウコが上向きに銃をぶっ放す。

 振ってきた魔石が床にぶつかって高い音を立てる。


「あー! 魔石がっ! これじゃ拾えないっス!」


 トウコは魔石を拾おうとしている。

 岩のスキマにでも落ちたかな?


「ムリして拾わなくてもいいぞ。ちゃんと足元を見てろ!」

「うー。なんか腹立つっス」


 気持ちはわかる。

 だが、蛾は数が多いしそれほど魔石の価値も高くない。

 気にしないことだ。



「俺は水中を探してくる。すぐ戻るから心配しないでくれ」

「はーい」


 俺は水を押しのけて足場の周辺を探る。

 深さは大したことないようだ。


 ふむ。水は一定方向に流れている。

 動きからして、水面下に水の流れる先があるようだ。


 水を押しのけながら、慎重に探す。

 そして壁面に穴を見つけた。


 排水口というか暗渠(あんきょ)というか……。

 水中洞窟の入口だろうか。


 水量の多い水路から流れ込んできた水が抜けていく先。

 ごうごうと水を吸い込んでいく。


 うっかり入ったら、まず戻れない。


 これ、即死トラップ的な地形だろ!?

 吸い込まれたらアウトな気がする!


 近寄るのはやめておこう。

 見えてる地雷には触らないのが一番!


 この先に宝箱があるとしても、死ぬリスクは冒せない。

 調べるのはここまで!



 俺は水を滴らせながら岩棚に登る。


「ふう。水中に隠し宝箱はなかったぞー」


「おかえりなさいー! ゼンジさん。ちょっと来てくださーい!」

「お? どうした?」


 手を振っているリンのそばへと近寄る。


「ここに宝箱がありましたー!」

「おっ! ナイスだ!」


 目当ての品が見つかったぜ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 昔落とし穴に落ちたらゲームオーバーじゃなくキャラロストというおっとろしい罠があったなぁ… まぁリアルなダンジョンではどっちも同じ意味だけどw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ