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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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水路は続くよどこまでも!? そうなっては困る!

 クモの巣を突破した俺たちは、そのまま流れに乗って進んでいる。

 水路の幅が広くなり、ボートの速度が落ちてきた。



<経験が一定値に達しました。レベルが上がりました!>


「お! レベル二十八になったぞ!」


 火鳥のときは上がらなかった。

 そのあたりの蓄積もあって上がった感じだな。


「おめでとうございます! 私はまだですねー」


 リンはもうすぐかな?


「おめっス! ちな、あたしはこないだ上がってたっス」

「なら言えよ!」


 トウコは知らぬ間に上がってた!?

 いつもなら自慢げに言うくせに……。


 トウコはぺろりと舌を出す。


「いやー。忘れてたっス!」

「まあいいか。帰ったら振るスキルを考えようか」


 今急いで取得する必要はない。

 拠点でじっくり考えたい。


「そっスねー」

「帰るまでには私も上がるといいなー」



 俺は前方にヘッドライトの明かりを向ける。


「だんだん流れが緩くなってきたな。そろそろ終点か?」


終点(しゅーてん)とかあるんスか?」


 水路の場合、行き止まりはどうなるんだ?

 いきなりダンジョンの外に排出されたりしないよな?


 どんどん天井が狭くなって、行き場を失ったり……。


「どうだろうな。これまでのことを思えば、俺のダンジョンの広さには限界がある」

「リン姉のダンジョンより狭いっスね」


 草原ダンジョンには壁がない。

 屋外型のダンジョンにも終点はあるのかな?


「そうすると、この先は行き止まりになるんでしょうか?」

「そうだと思う。もし水路がどこまでも続くなら、帰るのが面倒だ……」


 来た分だけ戻らなきゃならない。

 急流のぼりである。


 トウコが迷子に気づいた子供のような顔で言う。


「うえぇ!? どんどん流されちゃうんスかっ!? 終わった(オワタ)ーっ!」

「だから、そうはならないって!」


 俺のダンジョンはそれほど広くない。

 少なくともこれまでは、すごく広い階層というのはなかった。


「トウコちゃん。ゼンジさんがなんとかしてくれるから大丈夫だよー」


 リンは当たり前のように言う。

 その表情には絶大な信頼が見て取れる。


 いや……帰れるけど。

 ちゃんと二人を安全に送り届けるけど!


 期待が重い!

 ありがたいことだけど!

 期待には応えねばなるまい!



 俺は心配など何もない風を装う。


「……おう。もちろんちゃんと帰れるぞ! 【水噴射】で水路を遡ればいいだけだ!」


 それは魔力と体力を振り絞る必死の作業になる!

 産卵前の鮭みたいに、命がけの川のぼりだよ!


 トウコがほっとしたように言う。


「なーんだ! なら安心っス!」

「ねー」



 しかし、その心配はなかった。


 行き止まりだ。

 ほとんど水の流れがない広い空間である。

 地底湖の小規模版といったところ。


 ヒカリゴケや発光キノコがあるので、かなりの高さがあることがわかる。

 天井は高く、最上部は暗すぎて見えない。


 ヘッドライトの明かりに、チラチラと光る粉が見える。


「むっ! これは()鱗粉(りんぷん)だぞ! 口を(おお)え!」


 俺はマフラーで口元を覆う。

 二人もそれにならう。


「はいっ!」

「げほげほっ! 吸いこんだっス!」


 鞄から蛾対策のフルフェイスヘルメットを取り出す。

 二人にそれを渡し、自分もかぶる。


 鉢金ヘッドライトは首にぶら下げておく。


「吸い込んだならリカバリーポーションを飲んでおけよ!」

「あー。あたしはしびれてもうダメっス! リン姉……口移しでっ」


 トウコがヘラヘラした顔で言う。


「元気じゃねーか! 痺れてるのは理性だけだろ!」


 リンはトウコの演技をスルーして、フタを開けた小瓶を手渡す。


「はい。トウコちゃん!」

「ちぇー。バレたっス!」


 トウコはそう言うとリカバリーポーションを飲み干す。


 俺はほとんど吸い込んでいない。

 少し目がしばしばするくらいだから、ポーションは温存しよう。



「あっ! ゼンジさん、トウコちゃん。あそこに登れそうですよ!」


 リンが指さした先には大きな岩がある。

 船をつければ上に登れそうだ。

 平らになっていて、足場としては悪くなさそうだ。


「ちょっと寄せてみよう。魔力探知で警戒してくれ。トウコは戦闘準備な」


「はーい。異常ありませーん」

「リョーカイっス!」


 足場の先に、元のルートへ戻れる通路があるかもしれない。

 あるいは次の十五階層へ繋がってくれていてもいい。


 そうなれば新パターンだ。

 これまで俺のダンジョンには階段は一か所しかなかった。


 お宝がありそうな雰囲気もある。

 いつもとは少し違う雰囲気に、少しワクワクしてきた俺であった。

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― 新着の感想 ―
[一言] この先もし階段だったら帰るのすごく面倒なやつでは…
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