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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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クモ狩りはラフティングで!

 船に乗り込み激流をくだる。

 水路は狭く、流れは速い。


 ごつごつした壁面にぶつからないように慎重に船を動かす。


 水量が多く、勢いが強い。

 【操水】で流れを操り、勢いを弱めて進む。


 俺たちは暗い洞窟をヘッドライトの明かりを頼りに進んで行く。

 光の届かない先からごうごうと水音が聞こえてくる。


「ゆ、揺れますねー!」

「でも思ったより平気っス!」

「なるべく速度は落とすけど、舌を噛まないようにしろよ!」


 リンの声が小さく震える。


「は、はひっ」


 リンは恐怖に顔を歪めながらも、必死にボートの端を掴んでいる。

 渦に乗り上げ、突きあげられるように船が弾む。


「だいじょー……うっ!」


 噛んだな!

 だから気をつけろって!



 水路は曲がりくねっている。

 加速のついたカーブでは【水噴射】を併用してブレーキをかける。


 壁にぶち当たったり、勢いで転覆してはたまらない。

 補強したゴムボートは、少し岩肌で擦れたくらいなら沈まないだろうが、過信は禁物。


 安全運転でいきたい。

 とはいえ、激流はそれを許してくれない!


 うねる急流が、ボートを大きく揺らす。

 水しぶきが舞い上がり、ヘッドライトの光を受けてキラキラと輝く。


 すでに俺たちはずぶ濡れである。


 小さな滝のような段差が見えた!


「滝だ! しっかりつかまれ!」


 まもなくボートが浮き上がり、次の瞬間には落下していく。

 一瞬の無重力感。そして着水。


「ひゃっほう! 楽しくなってきたっス!」

「ううっ……!」


 トウコはショットガンを掲げて楽しそうにしている。

 リンは涙目で俺を振り返っている。



 ボートは揺れたり跳ねたりしながらも力強く前進していく。


「そろそろクモがいたあたりだ! 糸に注意しろ!」

「あっ! キラッとしたっス!」


 トウコが前方を指し示す。

 ヘッドライトの光を受けて何かが輝いている。


 おそらく糸についた水滴だ。

 水面よりやや上に張り巡らされている!


 俺たちの首くらいの高さである!

 このままいけば巣に突っ込む!


 前回は刀やクナイが糸にからめとられて苦戦した。

 だが今回は違う!


「――【水刃】っ!」


 水の刃が水面を走り、クモの糸を切断する。

 そこをボートは突っ切っていく。


 トウコが拳を突き上げる。


「店長、ナイスっ!」


 俺は【操水】で減速しながら言う。


「トウコ、クモを探せ! リン! 絡みそうな糸を焼き切れ!」


「は、はひーっ!」

「サーチアンドデストロイっス!」


 低い位置に張られた糸をリンが【火魔法】で焼き払う。

 トウコは上方へ銃を向け、きょろきょろと敵を探す。


 リンが放ったファイアボールに照らされ、暗がりにクモの姿が浮かび上がる。


「いたぞ! 斜め上!」


 俺の声に反応したトウコが短銃身(ショートバレル)ショットガンをクモに向ける。

 即座に射撃。


「ピアスショット! ラストショットっ!」


 二連射。

 銃声が洞窟内に反響する。


 狙いは大雑把。

 だがそれでいい。


 揺れる船の上で精密射撃などできないからな。


 ばらまかれた散弾がクモの体を捉え、体液が飛び散る。


 だが致命傷ではない!

 クモは巣の上をすばやく移動していく。


「逃げるぞ! 狙え!」

「あいあいさーっ!」


 トウコは撃ち終えた銃を放り捨て、予備の銃を抜く。

 揺れる船上では弾を込めにくい。

 先に作っておいた銃に持ち替えたのだ。


 激流に船が揺れる。

 クモは糸から糸へ飛び移り、目まぐるしく位置を替える。


「ね、狙えませんっ!」

「外れたっス!」


 壁面に散弾が着弾して火花を上げる。

 当たらないか……!


 俺は急流の轟音に負けじと声を張り上げる。


「なんとか船を止める! 構えろ!」


 術に力を込め、急流に抗う。


 くうっ!

 術のコストが大きい!


 魔力が激しく消費されていく。

 だが、ここが踏ん張りどころだ!


 船を安定させ、敵を狙えるチャンスを作るっ!

 荒ぶる急流をねじ伏せ、揺れを止める!


「今だ! 撃てー!」


「ファイア……ラーンスッ!」

「チャージショットーっ!」


 炎の槍と散弾が闇を切り裂く。

 蜘蛛は天井と壁のスキマへ逃れようとしている。


 だが体を隠すその前に、魔法と銃弾が着弾する。

 バラバラになったクモが飛び散りながら、体を燃え上がらせる。


「わあ! やりましたねー!」

「うへーっ! キモい花火っス!」


 暗い洞窟に落下していくクモの体はさながら花火のようだ。

 燃えるバラバラ死体だけど!


 クモの残骸は落下しながら塵になって消える。


 俺は落ちて来た魔石を引き寄せ、空中でキャッチする。


「よし! 突破できたな!」


 一人では難しいことも、三人なら簡単だ。


「はいっ! よかったですー!」

「あたしたちにかかれば余裕っスね!」


 障害であるクモは取り除いた!

 これで水路の先がどうなっているのか確認できるぞ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 激流から滝まであるのか…すごい立体マップだな
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