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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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生卵イッキ飲みは罰ゲームか?

「あ、そういえば、トウコ。生の卵をうまそうに感じたんだよな?」

「そーっス! 先にちょっとかじってもいいっスか?」


 トウコは大きな卵を前に言う。


「かじるって、殻ごと食べるのかよ!?」

「さすがにカラは捨てるっス!」


 俺は腕を組んで考える。


「それにしても、一キロ以上ありそうだが……全部食えるか?」

「うーん。ニワトリさんの卵だと何個分になるのかなぁ?」


 普通の卵でも生で食べるのは五、六個が限界な気がする。

 罰ゲーム感あるぞ。


「チャレンジっスね! いけるとこまでいってみるっス!」

「全部食べ切らなくても【捕食】が発動することを祈ろうか」


「そーっスね! ワニのときも、全部食べなくてもゲットできたっス!」

「殻から(じか)に飲まなくてもよさそうか?」


「いいんじゃないっスか?」

「では器を用意しますねー」


 リンが大きめのボウルを持ってきた。

 そこへ卵を割り入れる。


「うーむ。見た目はデカいだけの生卵だな」

「少し黄身の色が薄いかもしれませんね」


 俺から見ると、巨大生卵は美味しそうに見えない。

 形は普通の卵とそう変わらないのだが......。


 うーん。でかい!

 大きすぎて感覚がバグる。

 どうも、美味しそう! とはならないんだよな。


 しかし、トウコはよだれをたらさんばかりの顔である。


「おいしそーっス!」

「では大丈夫そうですねー」


「じゃあいただくっス!」


 トウコがボウルに口をつけ、一気に煽っていく。

 ごくごくと喉が動いている。


 すげえな……。どんどん飲んでいく!

 大食いタレントみたいだぞ!


「ぷはーっ! うまーっ!」

「すごいね! 半分くらいは食べたんじゃないかなー?」


「とんでもないな! で、どうだ? スキルは身についたか?」

「なんか来た感じしたっス! えーと――」


 トウコは指先を空中で振る。

 ステータスウィンドウを確認しているのだ。


「――キターっ! 【火耐性】をゲットっス!」

「おお! 捕食成功だな!」


 【捕食】は素材を完食しなくても発動するらしい。


「よかったねー! トウコちゃん!」


 リンはトウコをねぎらうように言う。

 ある意味では(うらやま)しそうに見ているとも言えるんじゃないか?

 ってことは――


「リンも卵を食べてみたらどうだ? 【嫉妬】が説明通りの効果なら――」

「【捕食】のマネができるかもっス!」


 トウコはリンに残った卵を差し出す。

 リンはそれを受け取るが、浮かない顔だ。


「うーん。これって、お料理したらダメでしょうか?」

「生卵イッキ飲みは大変そうだよな?」


 少なくとも俺はイヤだ。

 リンがうなずく。


「はい。でも、少しだけ生卵も食べてみますね……」

「どおっスか? 【捕食】がマネれたら、おいしそうに感じるハズっス!」


 トウコの言葉にリンは首を横に振る。


「うぅん。そういう感じはしないなぁー」


 【嫉妬】の効果はまだはっきりしていない。

 説明によれば――


 ――心から渇望する能力を一時的に使用できる。

 ――使用者が認識しているスキル効果を疑似的に再現する。


 ということだが……。


「【捕食】を強く望まないと発動しないのかな? さっき、リンはどう思ったんだ?」

「私はトウコちゃんが強くなれていいなぁ、と思ったんです」


「ふーむ。強くなりたいというのが願望なわけだ」

「ゼンジさんたちのお役に立ちたい、という感じです!」


「なるほどな。なら、それを強くイメージしながら食べてみたらどうだ?」


 トウコが両手を胸の前で合わせ、ハートを作る。


「強くなーれ! おいしくなーれっ! さあっ! リン姉もごいっしょにっ!」

「つ、つよくなーれ! おいしくなーれー!」


 トウコはリズミカルに動きながら、ハートの形にした手を前に押し出す。


「もぐもぐキュンっ!」

「もぐもぐキュン……?」


 リンはトウコの後に続いて、恥じらいながら謎のポーズを作る。

 メイド喫茶的なノリか!?

 見てるこっちが恥ずかしいのだが!?


 やらされたリンはそれこそ、顔を真っ赤にしている。

 つきあってあげるとは優しい。

 天使か!?


 トウコはやりきった顔で親指を立てる。


「さあ、食べていいっスよ! これで効果倍増(ばいぞー)っス!」

「う、うん……」


 リンは赤くなりながらスプーンですくって卵を口へ運ぶ。

 トウコはそれを見てうんうんうなずいている。


「で、どうだ?」

「……うーん? なにも起きませんねー」


「うえぇー? じゃあもう一回っス!」

「もういいわ! やはり何か条件があるのか……。疑似的に再現ってのもよくわからんし……。検証はまた次回にするか」


 食べる分量が足りない可能性もある。

 まだまだ、わからないことが多い。


 再現するなら、もっとわかりやすいスキルがいい。

 リンが求めていることで、効果がはっきりしたもの。

 それはおいおい試していこう。



 リンはうなずく。


「そうですね。では残りの卵はお料理に使いますね!」

「おう。頼む!」


「タマゴ料理たのしみっス!」

「焼き鳥も作ろうねー」


 大きな卵なので、まだまだ十分な量がある。

 【嫉妬】はさておき、卵の味にも興味あるぜ!

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― 新着の感想 ―
心の底から「羨ましいです。それ、欲しいです。」って思わないと【嫉妬】スキルは発動しないようです。 危険なスキルじゃなくてよかったね。
[一言] てってーてーてけてーてってけてー(◯ッキーのテーマ 流石にイッキは無理だったか… 次は生でなくてもスキルは付くのか捕食なしでもOKなのか! お料理&検証回~♪
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